セッションには公共セクターからの参加もありました。米国連邦通信委員会(FCC)のコミッショナー、Jessica Rosenworcel氏は、策定を依頼された「ウェブのためのマグナカルタ」の中に、障害者にもウェブアクセスの可能性を広げるべきである点を指摘しました。
盲目ながら伝説的なミュージシャンとして知られるスティービー・ワンダー氏がFCCを訪れ、Rosenworcel氏と会談したそうですが、米国の障害者たちのために、コミュニケーションやメディアの技術に対するたゆまぬ努力を続けている人物と評価していました。
現在ビデオや音声も扱えるようになってきたウェブですが、やはりその中心は視覚に頼るメディアであることに変わりはありません。Rosenworcel氏は、ウェブのビデオに対するクローズドキャプションの政策についても触れており、ウェブの力をすべての人に届ける努力の重要性を改めて気づかせてくれました。
今回のセッションの最後に壇上に立ったTim Berners-Lee氏は、「ウェブに集まった人たちの情熱の素晴らしさに驚いた」とスピーチを始めました。当初HTMLタグは6個からスタートし、コラボレーションの必要性からW3Cが生み出された経緯を紹介し、仕様策定に携わった人々に敬意を表しました。
技術の進歩はインターネットの加速そのものとの指摘もしています。10bpsから始まったインターネットは、現在10Gbpsで、ここまで高速化が進んだ技術はないでしょう。
インターネットはすでに「我々の生活の基盤」となっており、これを脅かすものと戦う必要がある。オープンで独立していて、民主的であったことがウェブの成功の理由だとすれば、不公平性を正し、人類が立ち向かう問題解決を成し遂げる社会変革のシステムとして、解決法を見つけなければならない。
ウェブの祖が、未来のウェブに託す思いは、非常に力強く、難しく、希望にあふれるものでした。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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