ここ四半世紀、いろいろ買ったスマートウォッチ系腕時計の数をキチンと数えたことはないが、筆者一人でもかなりの業界貢献度だと信じて疑わない。
もう昨今のスマートウォッチには十分懲りたはずだが、今回、「S99」なる“中華スマートウォッチ”を某ウェブサイトのニュースで垣間見て、さしたる期待もなく衝動買いしてしまった。
ところが皮肉なもので、中一日で速攻で届いたS99は、これぞガジェットユーザーがまさに夢にまで見た変態スマートウォッチだった。
いや、本来、25年前にスマートウォッチの未来を目指して国産の腕コンピュータが競って登場した頃は、まさにS99のようなモノを目指していたに違いない。それがいつの間にか、スマホのコバンザメのようなアンパイ路線商品に変わり果てたに過ぎない。
スマホに頼らず自立するスマートウォッチ「S99」
S99は、お世辞にもセレブとも豪華とも言えないシンプル過ぎる黒いボール紙のパッケージに入ってデリバリーされてくる。
実際にその本体に触ってみると、S99は極めて面白い、ワクワクするガジェットだ。ただし、昨今のどこにでもあるスマートウォッチのように、ただスマホとオーナーの間に割って入って、さほど重要でもないお知らせのたぐいをパシリのように知らせてくれるだけの外付け液晶ディスプレーのような腕時計ではない。
S99は、スマホに頼ることなく自立して、自らがスマホとまったく同じネットワーキング機能を備えており、あわよくばスマホを亡き者に追い込んでやろうと考えている野心プロダクトだ。
パッケージには、S99本体、小型のUSB/ACアダプター、充電用USBケーブル、充電用マグネットアダプター(クレイドル)、ミニプラスドライバー、背面フタ用スペアネジ、英文取説、日本語仕様・保証説明書が入っている。
現代のスマホを腕時計サイズにシュリンクしたS99の設定手順は、まず充電、起動、Wi-FiでGoogleアカウントの登録やログイン、必要アプリのDL・導入・設定、そしてSIMの設定、チューニングという順番で、ほぼスマホと同じ手順だろう。
内蔵バッテリーへの充電は付属のS99専用のマグネットアダプターをmicroUSBケーブルの先に取り付けて行なう。
充電が終われば早速起動だ。腕時計文字盤に向かって右側2時の位置にあるボタンを3秒ほど長押すればS99は小気味良い振動とともに起動する。Andoridのスタートアップ文字が表示され、腕時計表示の状態となって停止する。
S99右側面の4時位置にあるボタンは「リターンボタン」と記されているが、イメージ的には一個前のメニューに戻ると言った「キャンセルボタン」に近いイメージだ。右側の2つのボタンの間には、500万画素カメラのレンズ部分がある。
そして腕時計の左側面に小さな穴の空いた部分があるが、そこがスピーカー。そしてS99を腕に装着した状態で手前に来るラグに空いた小さな一つの穴がマイクだ。