アスキースマホ総研・白書

iPhone 8に買い換えるべき人ってどんな人? 7ユーザーはどうする? (1/3)

文●島徹 編集●ASCII編集部

2017年10月18日 17時00分

前へ 1 2 3 次へ

iPhone 8シリーズで処理性能はどこまで向上した?
ベンチマークアプリで徹底検証

 iPhone 8シリーズのチップ「A11 Bionic」を改めて説明しておこう。高性能2コア+高効率4コアのCPUと3コアのGPU、機械学習処理に長けたニューラルエンジンなどで構成されている。

 なお、iPhone 8 PlusとiPhone 8ともに同じチップを搭載するが、メモリー容量はiPhone 8 Plusが3GBで、iPhone 8が2GBと違いがある。

 肝心の性能だが、アップルの発表ではiPhone 7シリーズのチップ「A10 Fusion」よりCPU性能が高性能コアが25%、高効率コアが70%優れており、トータルで最大70%高速だという。また、GPU性能は最大30%優れているとのことだ。

 では、実際の処理性能は従来のiPhoneとどれくらい違うのか、ベンチマークテストやゲーム、ARアプリを動かした際の挙動から見ていこう。

【ベンチアプリ編】SoCベンチマークで性能チェック

 新チップ「A11 Bionic」やストレージの実力を各種ベンチマークでチェックしていこう。

GeekBench 4でCPU性能をチェック

 CPUの処理性能を計測するGeekBench 4(4.1.2)では、すべてのCPUコアを利用した場合の最大処理速度を計測できる。

GeekBench 4(4.1.2)

 iPhone 8シリーズの性能だが、アップルの発表どおりiPhone 7と最大70%もの差を記録している。ただし、実際にiPhoneを操作する際にベンチアプリのようにすべてのCPUコアをすべて動かすことはまずない。ふだんの処理は、負荷に応じて最適なCPUコアだけを割り当てることで省電力化を実現している。体感動作に近い結果を知りたいなら、AntutuやSpeedmeterの結果を見ると良いだろう。

3D Mark(Sling Shot Extreme)でGPU性能をチェック

3D Mark(Sling Shot Extreme)

 GPUを中心としたグラフィック性能を3D Mark(Sling Shot Extreme 2.2)でテストした。こちらもアップルの発表どおり約30%の性能増だ。スコアーはiPhone 8 Plusがもっとも優秀だった。このテストにおけるiPhone 8との違いはメインメモリー容量ぐらいなので、そこで差が出た可能性もある。

Antutu Benchmark v6.3で総合性能をチェック

Antutu Benchmark v6.3

 Antutuは3Dグラフィックや実際のアプリの動作を含めた総合テストだ。スコアを比較すると、iPhone 8シリーズはiPhone 7より25%性能が向上している。

Speedmeter1.0でブラウザー性能をチェック

 Speedmeter1.0は、WebKitチームが開発したWebアプリの応答速度を中心に測定するベンチマークだ。今回はiPhone標準のSafariブラウザーで動かし、iPhone自体の処理速度の違いを見るために利用した。

Speedmeter1.0

 結果は、iPhone 8シリーズはiPhone 7と比べ約50%高性能だ。アップルはCPUの高効率コアがこれまでと比べて70%向上したと公表しているが、このコアの改良が大きい差となった可能性がある。なお、今回テストしたスマホでSafariが気になるほどもたつく製品はなかった。いずれのスマホも、ブラウザーの利用ぐらいなら十分すぎるほど高速だ。

ストレージ速度をチェック

内蔵ストレージの速度テストとして、PerformanceTest Mobile 1.2のStorage速度のテスト結果を抜き出して掲載した。1秒あたりの転送速度を計測している。ただし、内蔵ストレージ容量が多いほど高速なのと、テストを繰り返した場合の変動幅が大きいので、結果はおおまかな傾向としてみてほしい。

PerformanceTest Mobile 1.2

 結果としては、iPhone 8やiPhone 7シリーズは内蔵ストレージの読み込み(Read)や書き込み(Write)が高速になっている。これはアプリのロード時間やインストールなどにも影響する。

 iPhone 6sの書き込み速度が極端に遅いのは、ストレージ容量が少ないからと見られる。後日、iPhone 6sの64GBモデルでもテストしたところ読み込みが毎秒609MB、書き込みが毎秒93.9MBと、iPhone 8やiPhone 7シリーズほどではないが、そこそこ高速に動作することがわかった。

【ゲーム編】高画質ゲームやARは快適に動作するか?

 スマホで高性能CPUやGPUの性能を発揮できる手軽な方法は、高画質ゲームアプリやARアプリなどだ。

 まず、高画質3Dグラフィックの人気ゲームとして「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」の動作を確認した。

 iPhone 8はそもそも画面解像度が750×1334ドットと低いので、最高画質が“3Dリッチ 標準”となる。このモードはiPhone 8でも7でも6sシリーズでも動作する。違いとしては、iPhone 8のほうが7より6sより熱を持ちにくかったこと。

 次に、iPhone 8 Plusの場合はフルHD(1080×1920ドット)の解像度を生かした“3Dリッチ 高画質”設定を選べる。このモードはiPhone 6s Plusではコマ落ちが激しく、iPhone 7 Plusでは快適に動くものの、かなりの発熱がある。だが、iPhone 8 Plusではやや熱を持つ程度で余裕を持って動作した。まだフルHD解像度で高画質3Dグラフィックを要求するアプリは少ないが、今後そういったタイトルが増えたとしても、iPhone 8 Plusは存分に楽しめる性能があるといっていい。

iPhone 8 Plusなら、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」の「3Dリッチ 高画質」もなんなく動かせる

 ARKit対応のゲームは「Arise」などいくつか試してみたが、iPhone 8シリーズとiPhone 7やiPhone 6sの間で動作に違いは見られなかった。現時点でリリースされているタイトルの多くは、3Dグラフィックなどに負荷をかけるものが少ないためだろう。今後、よりARアプリの開発が本格化すればiPhone 8シリーズでないと動かないようなアプリが出てくるのかもしれない。

Ariseは、現実の平面の上に展開された3Dの空中浮遊都市を主人公がゴールにたどり着けるようiPhoneを動かして謎解きするゲーム

前へ 1 2 3 次へ

mobileASCII.jp TOPページへ