求められるのはコンシェルジュのような端末
URBANOは、ケータイの多機能が使いたいけれど、ワカモノ向けの端末はしっくりこないという「アダルト層」を開拓した。洗練されたデザインと使いやすい機能をパッケージにした1つの答えとして仕上がっている。
では、URBANOの後継機になるアダルト層向けの端末を今後も展開していくのだろうか? 山田氏は「年齢による区切り方は必ずしも必要ない」と指摘する。
「同じ40~50代でも、初めてケータイを手にするユーザーもいれば、ケータイが出始めた頃から使っているヘビーユーザーもいます。前者はURBANOのようなケータイが使いやすいでしょうし、後者はむしろPC連携などの機能を欲しがるかもしれません。特定の年代の中でもユーザーは一様ではないし、年代で興味がばっさり変わるというわけではないのです」
自分のイメージにあうケータイの中に、自分のライフスタイルとフィットする機能が入っていれば、自分だけのケータイになるはずである。鏡を置いているケータイショップは少ないが、それこそ時計や眼鏡を試すように、ケータイも自分との相性を鏡で見て選ぶべきモノになっていると僕は思う。
より多様化が進むアダルト層に対しては、単にテクノロジーをうまく紹介するだけでなく、ホテルのコンシェルジュサービスのように、わがままを言ってもらい、それに応えるサービスも今後大きな可能性があるだろう。
各キャリアから年齢以外の属性によって端末群が構成されるようになってくると、自分にぴったりのケータイをもっと手に入れやすくなるのではないだろうか。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。