ケータイが個人のパートナーとして働く未来
僕は以前とあるフリーペーパーの記事で、ケータイの未来像について「そっと耳打ちしてくれる良きアシスタント」というイメージだという内容を投稿したことがある。ケータイは端末の中に電話帳とグループ分けによるソーシャルネットワークの情報、コミュニケーションの履歴、現在位置、スケジュールの情報などが入っている。
これだけの情報があるだけで、ケータイが勝手にできることはたくさんある。
たとえば現在位置とスケジュールを照らし合わせて、次の予定のための移動経路の検索をする。オンタイムで到着するのか、遅刻するのか。途中の経路で運行に支障が出ていないかどうか。こういった情報は瞬時にわかる。さらにもし遅れたときのためのメールを下書きしてくれるとか。
ここにおサイフケータイでの改札の情報、買い物の決済の情報といった行動、食べ物の情報などの、ケータイを介して取得できる行動情報や、睡眠、血圧、血糖値といったヘルスケアの情報などもケータイが取り得る情報だ。
これらの情報が手元にある、というより、そばにいてかわいらしく自律的に動くロボットが蓄積・分析してくれる存在がPolarisということになりそうだ。
ケータイが自動的に取得する情報やユーザーが能動的に入力する情報をミックスして、それらを分析し、結果をロボットから直接テレビ画面で確認できる。先に述べたフィードバックの面、手元の相棒たるロボットを存在させている面で、ライフログをユーザーが活用する際の心のハードルをうまく下げることに役立つのではないか、と期待している。
今現在でも、もしかしたら自分のことを一番よく知っている存在がケータイかもしれない。そんなケータイと対話を始めたとき、人はどう変化するのだろうか。
筆者紹介──松村太郎
ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性に付いて探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET。