松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル「韓国離れ」か? 日韓問題で注目 (3/4)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年07月23日 11時00分

●アップルの動きに注目が集まる

 その一方で、アップルなどの企業はサプライチェーンの組み替えを急いでます。米中問題で既に手を入れ始めているところに、日韓問題も発生し、さらに調達先についての調整が必要になってきました。

 特に、有機ELディスプレーは100%韓国に依存していることから、この問題が長引くと、iPhoneの主力製品向けのディスプレー調達に支障が出る可能性があります。そこで、調達先を変更しようという動きも観測されるようになりました。

 これまでiPhone XSの有機ELディスプレーはサムスンやLGといった韓国メーカーのパーツが利用されてきましたが、Digitimesは中国のBOEに乗り換えるとの見方をしています

 すでにアップルとBOEは有機ELディスプレー供給で昨年から話をしていると伝わってきますが、これはサムスンにほぼ独占されていることから価格が高止まりしていることを嫌気した動きだとみられてきました。しかし今回の供給懸念から、アップルはBOE採用を急ぐのではないか、と見られています。

●ジャパンディスプレイにも白羽の矢が…

 もう1社、有機ELディスプレーの供給で白羽の矢が立ったのがジャパンディスプレイです。

 ジャパンディスプレイはご存じの通り、経営難に陥っている状況で、約720億円の調達をしていますが、Appleは15%の資金を注入することが分かりました。ロイターはこれを「Apple Care」と紹介し、以降の資金調達へのお墨付きを得たといいます 。

 こちらはスマートフォン向けのサイズのパネルの製造にこぎ着けていない状態ですが、2019年モデルのApple Watchのパネルを供給することになりそうだとしています。

 そもそもスマートフォンで競合するサムスンやLGからの調達率を下げていくという基本的な戦略を採ってきたアップルにしてみれば、日韓間の問題がなくても、これらのメーカー以外のディスプレーの採用が現実的になった時点で、そちらにシフトすることは分かっていたことと言えます。

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