●MacとiPadの大きな差別化:Apple Pencil
iPadOSとmacOSの接近により、iPadの立場がiPhone寄りからMac寄りへと移行していくことになります。しかしながら、ここでiPadとMacの明確な違いもまた発見することになります。現段階では。
iPadOS 14はiOS 14に搭載された新機能に加えて、Apple Pencilの機能拡大が目立ちます。「スクリブル」(Scribble)と言われる機能は、手書き認識と文字列処理を高度に組み合わせた機能です。
もっとも単純な機能は、テキストフィールドにApple Pencilで文字を書くと、それが自動的に手書き認識され、テキストとして入力される仕組みです。ちなみに現段階では英語、中国語のみのサポートとなっています。
「メモ」アプリでは手書きした文字をApple Pencilでぐるりと囲んで選択してコピーし、他のアプリに貼り付けると、テキストとして貼り付けられる仕組みも備えました。
まだ日本語での手書き入力を試すことはできませんが、Apple Pencilの活用範囲が広がることは、iPadらしさをより広げ、Macとの差別化を大きくしていくことになるのではないでしょうか。
その点から考えると、普段のコンピューティングは基本的にiPadでした方が、Apple Pencilも含めたあらゆる体験を網羅することができるのではないでしょうか。
アップルが今後、技術的には既にとろけつつあるMacとiPadにどんな境界線を引くのかが気になります。たとえばFinal Cut ProやLogic Proといった根強い人気があるAppleのプロ向けアプリは、すでにApple Siliconでも実行可能なバージョンが作られています。
これがMac向けなのか、iPadにも来るのかは、一つの分かりやすい、あえて設定する境界線になるでしょう。その意味で、普段はiPad、でもメインマシンはMacという体制が最適解であり続けるのかもしれません。