iPhone 12シリーズはHDRビデオの撮影と簡易編集、そして高精細なSuper Retina XDRディスプレイによる視聴が単体で楽しめるスマートフォンだ。ユーザーが自身で撮影したHDRビデオや、動画配信をiPhone 12シリーズで快適に楽しむ方法をまとめてみよう。
世界で初めてDolby Vision体験を
撮影までカバーしたiPhone 12シリーズ
HDR(High Dynamic Range)とは映像により表現できる輝度の幅を拡げて、明暗や色合いのリアルな再現力を高める高画質化技術だ。直近で発売されたスマホの中ではソニー「Xperia 1 II」「Xperia 5 II」などの機種もスマホ単体でHDRビデオの撮影と簡易編集、ディスプレイによる視聴が楽しめる。
HDRには幾つかの技術方式があり、米ドルビーラボラトリーズが開発したDolby Vision方式のHDRにより「撮る・見る・作って残す」ことができるスマホはiPhone 12シリーズの4機種が世界初となる。
ほかのHDR10やHLGといったHDR方式に対して、Dolby Visionはより多くの色深度情報が扱えたり、映像のフレームごとに輝度情報を持たせて動的な設定と再現ができるため画質面で有利とされている。
ただしDolby Visionは現在時点では、まだ一般に広く対応機種が普及するHDR10やHLGに比べて互換性が低いことも課題にされる。iPhone 12シリーズで撮影したHDRビデオをテレビなどのDolby Visionに対応する機器に映して見たい時に、若干の制約がつきまとうことを覚えておきたい。
カメラアプリの設定。HDRビデオはファイルサイズが大きくなる
iPhone 12 ProをリファレンスにHDRビデオを撮影する前に「設定」アプリから以下を確認しておこう。
「カメラ」アプリを選択後に「ビデオ撮影」を開く。ここで「HDRビデオ」のトグルがオンになっていることをまず確かめる。
ビデオ撮影の画質は、後ほど大画面テレビで見ることも想定して1080pのフルHD解像度以上で撮っておきたい。できれば4K画質が望ましいが、設定の注記を見ればわかる通り、4K画質を超えると動画のファイルサイズもかなり重くなってくる。iPhoneのストレージ残量を見ながらのかけひきになる。

iPhone 12 Pro/iPhone 12 Pro Maxは4K/60fpsのHDR動画が撮れる。ファイルサイズは大きくなるので、HDRビデオを多用する予定があれば内蔵ストレージは大きめの端末をあらかじめ手に入れたい
iPhone 12 ProシリーズのHDR撮影は4K/60fps(秒間に60コマの動画を撮影)が選べる。iPhone 12とiPhone 12 miniは最高画質が4K/30fpsまでだ。子どもやペットなど動きまわる被写体をきれいに、かつスムーズなHDR動画で残したい場合はより滑らかな4K/HDR動画が撮れるProシリーズを選ぼう。ただし動画のファイルサイズはとても大きくなるので、内蔵ストレージの余力は確保しておきたい。