松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル「M1版MacBook Pro」と、その先にあるもの (3/3)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年11月26日 09時00分

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●残されたIntelモデルと次のApple Silicon Mac

 アップルはMacBook AirこそすべてをM1チップに統一しましたが、MacBook Pro 13インチ、Mac miniには、Intelモデルを残しました。

 M1チップの方が性能が高く、安いのですが、それでもWindows起動などのソフトウェアの互換性や、Thunderbolt/USBポートの数、より高いパフォーマンスへのニーズなどから、当面存在しうる旧モデルを選択したいというニーズに応える意味もありそうです。もっとも先述の通り、アプリに関しては急速に移行が進みそうです。

 モデルごとにもう少し細かく見ると、同じ13インチMacBook Proでも、先述の通りハイパフォーマンスモデルは、まだM1搭載へとモデルチェンジしていません。またiMacは21.5インチ、27インチの両モデルとも、Apple Silicon搭載モデルはアナウンスされませんでした。そう考えると、Thunderboltが4ポートあるモデルは、まだモデルチェンジを迎えていないわけです。

 そうなると、次なるApple SiliconのターゲットはMacBook Pro 13インチの上位モデル、MacBook Pro 16インチ、Mac mini上位モデル、iMac 21.5インチモデルになっていくのではないか、と思います。そして現在のM1チップではなく、より高性能なチップが用意されるのではないかという予測もできます。

 M1チップは、もしiPadに搭載されるなら、A14X Bionicと名乗るような仕様でした。CPU、GPUのコアを増やす点もA12に対してA12XやA12Zが採っていたアプローチと同様です。ただ、M1は統合メモリなどの違いも存在していますが。

 そう考えるとM1チップをさらに強化する「M1X」のような存在が出てくるのか、あるいは次のA15をベースとした「M2チップ」として登場するのかは、注目すべき点だと思います。

 後者の場合、元となるA15は引き続きiPhoneを前提に作られるはずで、それを拡張したからといって無闇にコア数が大きく増えたり、アーキテクチャが根本的に変わるとも考えにくい。そして登場タイミングは次の秋になってしまうでしょうから、ここから1年間、新しいApple Silicon Macが出てこないというのは、マーケティング的にも勢いを削ぐ空白になってしまいそうです。

 その点で、性能やコア数などを向上させる「M1X」のような製品の方が、可能性が高いのではないか、とも思いました。ただ、マーケティングというキーワードを出してしまったので、M1XよりM2の方が違いを理解してもらいやすいと言うことであれば、中身はどうであれM2という名前を選ぶこともあると思います。果たして……。

 余談ですが、21.5インチ、4Kディスプレイを搭載するiMacの下位モデルは、M1搭載で生まれ変わっても良かったのではないか、と思う節もあります。パフォーマンスを考えても、そしておそらく10万円前後という価格に設定できそうな点も含めて、iMac 21.5インチはありだったのではないか、と思うのです。

 しかしその選択肢をとらず、レガシーな仕様を引き続き採用し続けている点は、特に大量導入の教育機関向けや、とにかく安いオールインワンMacが欲しいというステイホーム需要もありますが、8年経った現在のデザインを刷新するタイミングが近いことを示唆しているのではないか、とも思いました。

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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