松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップル「M1版MacBook Pro」と、その先にあるもの (2/3)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年11月26日 09時00分

●Big Surで開発者の移行は迅速

 ここで、M1搭載Macとともにバージョンアップが11月12日(米国時間)と発表されたmacOS 11.0 Big Surの存在があります。

 Intel MacとM1 Macでは、プロセッサやメモリなど、多岐にわたって違いがあります。Big Surはこの違いを吸収する役割を果たすことで、アーキテクチャの移行をこれまでになくスムーズにこなそうとしています。

 M1はAシリーズと同じように、性能コアと効率コアがそれぞれ4つずつ搭載される非対称のマルチコアプロセッサとなっています。一方、元々採用していたIntelチップは複数のコアとハイパースレッディングによって、同じコアで構成された対称型マルチコアプロセッシングを行なっていました。

 そうした違いがあっても、パフォーマンス管理を最適化する役割を果たすのがBig Surです。加えて、M1には、GPUだけでなく、16コアのニューラルエンジン、機械学習処理アクセラレータ、HDRアクセラレータなど、様々な専用エンジンが搭載されており、これらへの処理の振り分けも担当するシステムになっています。

 結果、アプリ開発者やユーザーは、思ったほどの移行コストをApple Siliconに払わなくて良いことになりました。加えてPhotoshopやOfficeなどの主要Intel向けアプリもRosetta2でコードが翻訳され、M1搭載Macで問題なく動作しています。

 しかも、PhotoshopもOfficeも既にApple Siliconでネイティブ動作するベータ版を公開しており、GoogleもChromeブラウザのApple Silicon版を既に用意しました。思った以上に開発者側の意向は素早く進んでいる印象ですね。

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