Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く

日本では「Xperia Z4」として登場した「Xperia Z3+」を知っているか?

文●君国泰将 編集● ASCII

2021年02月17日 12時00分

海外ではXperia Z3が人気だったから!?
イレギュラーモデル「Xperia Z3+」

 国内では発売されなかったXperiaのグローバルモデル。今回紹介するのは2015年第2四半期に登場した「Xperia Z3+/Z3+ Dual」です。コードネームはIvy、シングルSIM・デュアルSIMのモデル番号はともに「E65xx」でした。

Xperia Z3+

 Xperia Z3+は、Xperiaの歴史をみても非常にイレギュラーなモデルであり、海外ではこの名称で発売されながら、日本国内では「Xperia Z4」として発売されたモデルです。

 本体サイズは約72×146×6.9mm、重さは約144g。Xperia Zシリーズの流れをくむオムニバランスデザインを踏襲し、フレームにはアルミ板から削り出したメタルフレームと背面に強化ガラスを採用し、コーナー部分には使い込んでも輝きと色味を失わない樹脂の二層加工を施しています。本体のカラバリはより金属的な質感を上げた印象を強める、ブラック、ホワイト、カッパー、アクアグリーンの4色展開でした。

 ディスプレーサイズは、5.2型(1920×1080ドット)。ディスプレーはより視野角の広いIPSパネルを採用し、幅広い色再現領域を持つ「トリルミナスディスプレイ for mobile」や、ソニー独自の超解像技術「X-Reality for mobile」を搭載して、動画もよりリアリティー豊かに再現する、といったXperiaの高画質の特徴は継続しています。

 スペックはCPUにSnapdragon 810(MSM8994/2.0GHz+1.5GHz、オクタコア)を採用。メモリーは3GB、ストレージは32GB、外部メモリーは、最大128GBのmicroSDXCに対応します。microSDカードとnanoSIMカードは同じトレイに載せて本体に挿入するタイプに変更されました。バッテリー容量は2930mAhで、約17時間の長時間連続通話時間(3G)を保ち、待機中の動作を制限して駆動時間を長持ちさせる「STAMINAモード」を搭載しています。OSは、Android 5.0(Lollipop)。

 リアカメラには、コンパクトカメラと同等のセンサーサイズ1/2.3型、約2070万画素のイメージセンサー「Exmor RS for mobile」を搭載し、35mm換算で25mmの広角撮影が可能。画像処理エンジン「BIONZ for mobile」を採用して、ISO感度もスマートフォンでありながら静止画でISO12800、動画時でも3200と非常に高感度に、暗所でもノイズを低減した、動く被写体もブレを抑えた鮮明な画像を撮影できました。さらに動画撮影は、4K(3840×2160ドット/30p)での記録が可能です。

 インカメラは約510万画素、焦点距離25mmの広角レンズを搭載。シャッターを押す際のブレ防止や、0.5/2/10秒と、3種類のセルフタイマーのパターンの設定ができるので、自撮り機能が大幅に強化されました。

 オーディオ機能としては、CDを上回る豊かな情報量を持つハイレゾオーディオ音源の再生も可能。MP3やAACといった圧縮音源の解像度をハイレゾ相当にアップスケーリングするDSEE HX技術を搭載しています。Bluetoothで接続した際に、従来(SBC)の最大約3倍のデータを転送できる「LDAC」にも対応しているので、ワイヤレスでも高音質を楽しめました。さらに専用のイヤホンを使用することで、周囲の騒音を約98.0%カットできるデジタルノイズキャンセリング機能もあり、ポータブルオーディオプレイヤーとしても優秀だったのです。

 また、使用しているヘッドホンで一定時間音楽を聴いていると、ヘッドホンの周波数特性を測定して、最適な音質になるよう自動調整する機能もあったので、自前のヘッドホンでもより良い音が堪能できました。

 そのほか、IP65/IP68相当の防水性能と防塵に対応。それまでXperiaシリーズのサイドにあったマグネット充電端子はなくなり、microUSB端子がキャップレス防水となっています。

 国内ではXperia Z4として発売されていたモデルと内容はまったく同じと言ってもよいにもかかわらず、なぜグローバルモデルでのネーミングをXperia Z3+としたのか? という声が多かった本端末。実際、前モデルのXperia Z3に比べるとCPUやそのほかの機能としても進化点はありましたが、外観上のデザインはほとんど変わらなかったので、Xperia Z3+というネーミングは的を射ていたのかもしれません。

 日本ではおよそ半年サイクルで新モデルを発表するという市場の中で、Xperiaシリーズもたしかにその流れの中にありました。

 2013年前半と後半に「Xperia Z1」と「Xperia Z2」、2014年後半に「Xperia Z3」ときて、2015年前半タイミングでは「Xperia Z4」がわかりやすいことも事実ですが、ソニーモバイルとしてはおそらくグローバルと同じようにXperia Z3+にしたかったのではないでしょうか。

 しかし振り返ると、この半年後に国内外共通してモデルチェンジして登場した機種は「Xperia Z5」であり、結果としてナンバリングされながらもグローバル市場では「Xperia Z4」というモデルは不在となった、非常に稀なXperiaだったのです。

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