山根博士の海外モバイル通信

体温計スマートウォッチやQi充電バッテリーもあるGioneeの楽しいIoT製品

文●山根康宏 編集●ASCII

2021年04月29日 10時00分

IoT製品を次々と出すGionee

 トップがマカオで問題をおこし、一度は倒産した中国のスマートフォンメーカー、Gionee(ジオニー)。しかしインドの子会社は健在で、2018年に親会社変更による独立を受け、今も新製品を次々と出しています。とはいえシャオミなど大手メーカーの新製品攻勢にはついていけないのが実情です。そこで最近はスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスも強化し、総合IoTメーカーへと変身しようとしています。

インドで独自展開を行なっているGioneeインド

 Gioneeがインドで販売しているスマートフォンは低価格モデルが中心。最新かつ最上位モデルとなる「Gionee Max Pro」も6.52型(1560x720ドット)ディスプレーにチップセットはUNISOCのSC9863A、メモリー3GB、ストレージ32GBと先進国ならエントリークラスの性能。カメラも1300万画素+200万画素とベーシック。フロントカメラも800万画素です。

エントリークラスの性能のGionee Max Pro

 しかしバッテリーは6000mAhと特大なのはインドならではの性能。長時間使えることがなによりも求められるのでしょう。価格も6999インドルピー、約1万円と手ごろです。インドではシャオミの「Redmi」シリーズが人気ですが、価格もさることながら大容量バッテリーは多くの消費者が求める性能です。

6000mAhのバッテリーが最大の売りだ

 しかし最上位モデルがこのスペックということは、ほかのスマートフォンは価格だけで競争する製品しか現時点では投入されていないのです。それに対してIoT製品は「G Buddy」というシリーズで6つのカテゴリの製品をラインナップしており、面白そうな製品も販売しています。

GioneeのG Buddy。Androidスマートフォンで使える

 まずはモバイルバッテリー。最上位モデルの「PB10K1WL」は10000mAhの容量に、Type-CとType-A端子を1つずつ搭載、さらに本体表面にはQi方式のワイヤレス充電アンテナを内蔵。つまりこの上にスマートフォンを載せるだけで充電できるわけ。日本などではUSBケーブルをなくしたり忘れても外出先ですぐ買えるでしょうけど、インドはそうもいかないかもしれません。またケーブルを持ち運ばなくてもいいのは便利。価格は1499ルピー、約2200円です。

ワイヤレス充電に対応したモバイルバッテリー「PB10K1WL」

 スマートウォッチも他社と差別化する製品を出しています。「GSW5 Thermo」は体温計付きのスマートウォッチ。3.3型ディスプレーにバッテリーは160mAhで5日間の連続利用(最大待ち受け15日間)が可能。心拍系のほか運動量の測定もできるアクティビティートラッカーです。今の世なら常に自分の体温は確認しておきたいもの、スマートウォッチに温度計内蔵は有用な機能でしょう。価格は2299ルピー、約3300円です。

温度計内蔵のスマートウォッチ「GSW5 Thermo」

 ヘッドフォンは無線・有線様々なタイプを提供。小型サイズのいわゆる「Buds」も2種類を販売しています。上位モデルの「ATOM」は円筒形ケースにバッテリーが内蔵されていますが、バッテリー残量表示計も備えています。価格は1299ルピー、1900円。このようにGioneeのIoT製品はいずれもかなり安いのも特徴になっています。

1回の充電で5時間、バッテリー充電器では追加2回分の充電ができる「ATOM」

 スマートフォンのラインナップはエントリーモデルだけで、上位モデルも多数展開するシャオミ、OPPO、realmeなどと比べると見劣りします。しかも、インド市場は中国大手メーカーが続々と低価格機を投入しており、開発力で劣るGioneeは今後も劣勢が続くでしょう。とはいえ一時は「Selfiestan」というキャッチコピーでインドセルフィースマートフォンの四天王とも言われたGionee。インドの若い世代に対してはまだまだ強いブランド力を持っています。

インドでGioneeが絶頂だった2017年、セルフィー世代をSelfiestanと呼ばせた

 そういえば日本に参入したrealmeはスマートフォンは投入せず、ウェアラブルデバイスなどIoT機器の展開からはじめています。スマートフォンは他社製品を使っていても、周辺機器はおしゃれで信頼性のあるrealmeを使ってもらう、と若い層に訴えようとしているわけです。インドにおけるGioneeの今の製品展開戦略も、同じ考え方なのでしょう。

Gioneeのウェアラブルデバイスをさりげなくつけてもらう、そんな売り方をしている

 スマートフォンの価格は年々引き下がっており、今では2~3万円の低価格モデルでも日常的に使うには十分な性能の製品が出てきています。Gioneeが現在インドで販売しているスマートフォンはスペックの低いエントリーモデルばかりで他社より見劣りしますが、1~2年もすれば1万円程度でミドルレンジ、2万円程度でミドルハイレンジの製品も出せるようになるでしょう。しばらくはIoT製品を強化しブランド力を維持し、数年後には改めてスマートフォンで大手メーカーに挑む、Gioneeはそんなことを考えているのかもしれません。

 日本のrealmeも、IoT製品で認知度を高めてからぜひともスマートフォンの日本投入をしてほしいものです。

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