「会話できるAI」登場、グーグルのAIや検索アルゴリズムは恐ろしく進化 (2/2)

文●石川 温 編集●飯島 恵里子/ASCII

2021年05月21日 12時00分

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機能的な進化で驚かせて欲しかったAndroid

 一方、やや期待外れだったのがAndroid関連だ。

 次期バージョンとなる「Android 12」では、新たなデザイン思想となる「Material You」を発表した。ユーザーが設定している壁紙から、ベースとなる色を決定し、その色調に合わせたロック画面やウィジェット、時計表示になるという。ウィジェットに関しても統一感を出すようになり、シンプルでスッキリとした見た目に生まれ変わる。

 確かに、見た目には目新しい感じがするが、もうちょっと機能的な進化で驚かせて欲しかったというのが本音だ。Androidには2画面や折りたたみなど、先進的な形状をしたデバイスも出始めている。これらのスマホはいまのところ、まだ使い勝手においても洗練さが欠けているようにも感じる。2画面や折りたたみなどが、もっと使いやすくなるUIを提案して欲しかったのだ。

 Android 12では、アプリがカメラやマイクにアクセスしていると、画面右上にインジケーターが表示されるようになる。アプリが勝手にユーザーを撮影したり、録音したりするのを防ぐというものだ。プライバシー保護の観点で導入されたのだろうが、すでにiOSでは導入済みだ。どちらかというと「後追い」の感じがしてしまうのが何とも残念だ。グーグルであれば、もっと違ったアプローチでユーザーのプライバシーを保護できたのではないか。

 今回、デバイス関連で驚きと言えば、Wear OSとTizenが統合しサムスン電子がWear OSベースのスマートウォッチを開発するという発表があったことだ。「Wear OSとTizenが統合」と聞いて具体的にどうなるとか思っていたら、なんと今後はTizenがベースとなり、スマートウォッチが開発されていくのだという。

 グーグルとしても、スマートウォッチではアップル・Apple Watchに歯が立たない状態であった。サムスン電子としても、Tizenのエコシステムを拡大できず、アプリが揃わないという弱点を抱えたままだった。グーグルとサムスン電子がタッグを組むことで、打倒・Apple Watchの機運が盛り上がると、面白いことになりそうだ。

 Androidスマホのように、Wear OSを採用するメーカーが増え、様々なデザインやブランドからスマートウォッチを選べるようになると、Apple Watchには脅威になるのではないか。

 やはり、グーグルの強みは検索やマップ、AIなど、一度使ったら辞められなくなるサービスの使い勝手の良さだ。まさに「グーグル沼」にハマっている感覚すらある。今後、グーグルはスマートウォッチなどデバイスの魅力を高めることができるようになれば、さらに世界を股にかけるIT企業として確固たる地位を築くのではないだろうか。そんなことを予感させられる2021年の基調講演であった。

 

筆者紹介――石川 温氏

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。

 

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