Apple Musicの新サービス、ロスレスと空間オーディオを楽しむ方法 (5/5)

文●山本 敦 編集●飯島恵里子/ASCII

2021年05月27日 09時00分

前へ 1 2 3 4 5 次へ

Apple TV 4Kも「ドルビーアトモスによる空間オーディオ」の再生環境の中軸となるデバイスだ

様々なヘッドホンやイヤホン、ドルビーアトモス対応の
サウンドバーなどで楽しめる

 ドルビーアトモスによる空間オーディオが楽しめるデバイスはiPhone、iPad、Mac、およびApple TVになる。

 iPhone、iPad、Mac、Apple TVでは、Bluetoothでワイヤレスヘッドホンやイヤホンを接続して聴く楽しみ方がある。ワイヤレスヘッドホンやイヤホンは、メーカーを問わず対応するようだ。アップルが設計したH1チップまたはW1チップを搭載するApple、Beatsの機種をペアリングした場合、空間オーディオに対応する楽曲を再生した時、自動的にドルビーアトモス再生を選択する機能が立ち上がる。

 あるいは空間オーディオに対応する楽曲を、通常のステレオ再生で聴きたいこともあるだろう。ミュージックアプリの「Dolby Atmos」の設定項目を、「Automatic」から「Off」に切り換えればいい。この設定が「Always On」になっていれば、アップルのデバイスにペアリングされているすべてのワイヤレスヘッドホンやイヤホンで、ドルビーアトモスによる空間オーディオが楽しめる。

 iPhone、iPad、Macの場合、内蔵スピーカーによる再生も一応できる。最良の没入感を得るならば、やはり24インチの4.5K Retinaディスプレイとリッチなサウンドシステムを併せ持つ新しいiMacが現状ベストな選択と言える。

 Apple TVの場合、ドルビーアトモスに対応するサウンドバーやサラウンドアンプにHDMIケーブルで接続して聴く方法もある。または生産を完了したHomePodを1台、または2台ペアリングしてホームシアターオーディオとして、ドルビーアトモスによる空間オーディオを楽しむ環境も構築できる。

コンテンツのバラエティが一気に充実したApple Music

 今回Apple Musicのドルビーアトモスによる空間オーディオとロスレスオーディオの新機能は、すべての登録ユーザーが追加費用を負担することなく楽しめるものだ。ロスレス再生についてはAmazon Music HDが国内では先行する形で提供していたが、今回のアップルによる発表を受けて米国から先行する形で、Apple Musicの個人プランと同じ価格に下げた。Spotifyも年内に、ロスレス形式の新しい音楽ストリーミングサービス「Spotify HiFi」を準備していると伝えられている。国内でも通信キャリアが提供するデータ通信プランは容量無制限、あるいは大容量のものが増えている。今後は、外出先でより音質の良いロスレスで聴く楽しみ方が主流になるのかもしれない。

 Amazon Music HDではワイヤレススピーカー向けに、ドルビーとソニーの技術を採用する立体サラウンド再生のコンテンツを揃えている。こちらが本稿執筆時点でまだスマホやタブレットによるモバイル再生に対応していない。iPhoneとの親和性も高く、またロスレスからサラウンドまでバラエティに富んだ楽しみ方ができるようになったApple Musicが、他社が提供する定額制音楽配信サービスよりも豊かな品揃えの面で一歩リードする形になった。夏以降、各社によるサービスのシェア競争に現れる影響にも注目が集まるだろう。

 

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

■関連サイト

前へ 1 2 3 4 5 次へ

mobileASCII.jp TOPページへ