■アフターコロナを見据えて足場を確保
KDDIとしては単にmenuの事業拡大を支援するだけでなく、au PAYやPontaポイント、1500万会員のサブスク「auスマートパス」と連携させ、au経済圏の拡大も図っています。アプリの画面上ではちょっとした変化に見えますが、今後の展開を見据えるとなかなか興味深い動きといえます。
というのも、経済再開に伴ってフードデリバリーの成長は鈍化する可能性があるためです。デリバリーでラクをすることを覚えた人は多く、お金で時間を買えるメリットは今後も変わらないとはいえ、それだけで成長が続くかは難しいところです。
その上、競争激化も予想されています。ドコモは出前館と組んでいた「dデリバリー」を6月に終了。foodpandaとFOODNEKOは事業統合で生き残りを図ったものの、米国最大手のDoorDashが配達員の募集を始めるなど日本上陸の準備を進めています。
スマホの画面には限りがあるため、頻繁に使わないフードデリバリーのアプリは隅に追いやられていくでしょう。ホーム画面の一等地に残れるのは1つか2つかもしれません。そこでau PAYのような「スーパーアプリ」との連携が重要になってくるわけです。
au PAYは単なる決済アプリを超えて、いろいろなサービスを統合したスーパーアプリとして存在感を高めています。menuはそこに加わることで、フードデリバリー市場で生き残るための足場を確保したといえるでしょう。