安心・安全のiPhoneという高い壁も
バルミューダのニッチな立ち位置は分かりましたが、そういう人に最適なスマホとしては「iPhone」が存在します。iPhoneをやめてまでバルミューダを選ぶ理由はあるのでしょうか。
合理性のかたまりのようなiPhoneとは違って、バルミューダフォンの曲線を描く丸っこいボディはたしかに魅力的です。iPhoneにはあらゆる種類のケースがあるとはいえ、安っぽいものも少なくありません。バルミューダフォンの質感を気に入る人はたしかにいそうです。
一方、独自アプリ路線はいばらの道になりそうです。端末の差別化に向けて多くのメーカーが取り組んできたものの、使い勝手が変わること、OSアップデートが難しくなるなど副作用も多いのです。その結果、何もカスタムしない「ピュアAndroid」を最適解と考えるメーカーが増えています。
バルミューダは少なくともAndroid 12への更新と、2年間のセキュリティアップデートを提供するとしています。しかしiPhoneならアップデートに不安を抱く必要はないことを考えると、iPhoneに慣れたユーザーに振り向いてもらうのはなかなか難しそうです。
一方で、端末事業の立ち上げとしてはキャリアに採用された時点で一定の成功を収めたといえるでしょう。バルミューダは12月末までに27億円の売上を見込んでおり、キャリア市場とSIMフリー市場の比率が一般的には8:2程度であることを考えれば、売上の大半はソフトバンク経由とみられます。
全国のソフトバンク店舗にはバルミューダ製品を知らないスタッフもいるため、ブランド理解を含めたトレーニングを進めていくとのことです。バルミューダは第2、第3の製品開発にも着手しており、来年以降も継続的なキャリア採用があるかどうかが注目ポイントになるでしょう。