石川温のPCスマホニュース解説

バルミューダの名前に負けた「BALMUDA Phone」 (2/4)

文●石川温

2021年11月20日 09時00分

寺尾玄社長の強い意思でものづくり

 BALMUDA Phoneは、同社の寺尾玄社長の強い意志でものづくりをしている。

 寺尾社長は「iPhoneがスタンダードになりすぎてしまった」と語り、BALMUDA Phoneでは4.9インチのコンパクトな筐体を設計した。

 確かにiPhoneはスタンダードであり、日本であれば4〜5割を占めるシェアを持っている。寺尾社長は「今のスマートフォンがあまりにも画一的になってきた。iPhoneとAndroidで種類はあれど、私にはほとんど同じに見える。スマートフォンの世界では選択の自由がない。今のスマートフォンの画一性はiPhoneのせいだ」だと主張する。だからこそ、バルミューダが新規参入するチャンスがある、というわけだ。

 確かにiPhoneだけを見れば画一性があるといえる。デザインが大きく変わるのは2年に1回。4モデルが登場しても画面サイズは違えどデザインテイストは統一されている。いまだに画面上にはノッチがあり、カメラの出っ張り部分も目立つ。世界中で売ることを求められているため、iPhoneは保守的なデザインになっているといえる。

 寺尾社長はiPhoneに飽きが来て、「だったら、面白いスマートフォンを自分で作ってやろう」ということでBALMUDA Phoneの開発に着手したのだろう。確かに個人の信念だけでスマートフォンを作れれば、世間にはない見た目、ユーザー体験が得られる画期的な製品ができる可能性が高い。

 いま、ほとんどのメーカーは市場調査をして、「持ちやすいデザイン」「欲しがるデザイン」「買ってくれる本体カラー」などを調べまくっている。結果、売れ筋になるスマートフォンはどれも似たようなデザインになりやすい。

 バルミューダは市場調査をしない会社らしいが、むしろそういった世間の一般的な声は一切無視し、寺尾社長がやりたいようにすれば、個性的なスマートフォンになったはずだ。

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