絞りの効果については、さすがに遠景ではほとんど描写の違いはないが、ある程度被写体に近寄って撮影すればボケ感の変化を実感することができる。
撮っていて気が付いたのは光源が写り込むような逆光も、絞り値によって描写が変化するということ。ゴーストやフレア―が豪快に発生しやすいスマホカメラだが、絞り値を変更することで異なる写りが楽しめるのは面白い。

逆光で絞りF2とF4を撮り比べ。コチラはゴーストの描写がかなり異なる。状況によって使い分けるのがベスト。写真左:絞りF2・シャッタースピード1/2000秒。写真右:絞りF4・シャッタースピード1/500秒
積層型&像面位相差AFの高速レスポンスにも注目で、AF/AE追従で秒20コマの連写が可能だ。たまたま撮り歩いていた道沿の人形を「顔/瞳AF」が認識したので、そのまま近づきながら連写撮影してみた。その間常に瞳を追従しピントもしっかりと合わせ続けてくれた。
積層撮像素子の「RX」シリーズユーザーにはお馴染みの、動体歪みを防ぐ「アンチディストーションシャッター」も搭載。通常の撮像素子搭載の標準カメラと撮り比べてみると、かなり効果が実感できる。

走る列車を積層型撮像素子の広角カメラ(デジタルズーム50mm相当で撮影)と通常撮像素子の標準カメラで撮り比べた。右の標準カメラでは車体が歪んでいるが、左の広角カメラでは真っ直ぐに写っている。写真左:広角カメラ・絞りF2・シャッタースピード1/2500秒。写真右:標準カメラ・絞りF2.4・シャッタースピード1/2500秒・ISO200
意外(といっては失礼だが)と侮れないのが超広角カメラと望遠カメラの画質の高さだ。厳密に見比べれば1型広角カメラとの差はあるのだが、超広角カメラは歪み補正のオンオフが設定可能で、あえて歪みを残しワイド感を強調することができる。望遠カメラもキレのあるシャープ感で細部の描写は引けを取らない。
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超広角カメラは設定で「歪み補正優先(初期設定)」と「画質優先」を選択できる。「画質優先」で撮影すると歪みが目立つが、魚眼レンズのような写りで面白い。超広角カメラ・絞りF2.2・シャッタースピード1/800秒・ISO80。
高感度特性も良好で従来のスマホカメラと一線を画す逸品
高感度の画質はやはり撮像素子サイズが大きい1型広角カメラが有利で、ISO800までは画質劣化はなく、ISO1600を超えるとノイズ処理の影響で解像感低下が見られるがISO3200でも十分常用範囲だ。
超広角カメラはISO400を超えると画質劣化が感じられ、画質を重視するならISO800程度までに留めておきたいところ。標準カメラは超広角カメラよし少し耐性があり、コチラはISO1600までは常用できそうだ。
実際に夜の街を撮り歩いてみると、広角カメラの場合はプログラムオートではISO800を超えそうになるとシャタースピードが遅くなり、1/4秒(プログラムオートではこれ以上のスローシャツターにはならない!)より暗い状況になってからISO800を超える設定らしい。
なお超広角カメラと標準カメラのプログラムオート時のシャッタースピード下限は1/8秒なので、こちらのほうがISO感度は上がりやすい傾向になる。
「XperiaPro-I」は、カメラマニアからすると画質調整機能が無いことや、プログラムオートのシャッタースピード制限など自由度が低いのは気になる。価格も決して安くはないので、カメラとしては更なる魅力が欲しい気もする。例えば1型撮像素子のレンズが超広角だったり、ボケに特化した中望遠だったりすると、カメラマニアとしてはさらに触手が動くだろう。
しかしシャッターボタンで撮影する感覚や、AFのレスポンスは、スマホとは異なる快適さだった。現状のスマホで、ハイエンドカメラに最も近い性能を備えていることは間違いないだろう。