あの「G'zOne」が復活! 開発者が語る「G'zOne TYPE-XX」誕生秘話

文●佐野正弘 編集●ASCII

2021年12月06日 10時00分

 今年8月にKDDIが発表した4G対応携帯電話「G'zOne TYPE-XX」。かつてカシオ計算機が開発し、auブランドから提供されて根強いファンを持つタフネス携帯電話「G'zOne」シリーズが、初代モデルの登場から20周年を記念して復活、発表直後より期待を集めていた同機種だが、12月10日についに発売されることとなった。

 その発売に先駆けて実施された説明会では、KDDIのパーソナル企画統括本部 プロダクト企画部の近藤隆行氏がG'zOne TYPE-XX誕生の経緯や狙い、そして端末の随所に込められたこだわりなどについて説明した。

20周年を機に復活をはたした「G'zOne TYPE-XX」。G'zOneならではのデザインと、従来以上に高い耐久性を備えているのが大きなポイントだ

最長15年利用、熱心なユーザーに応えた企画

 G'zOneシリーズは初代「G'zOne C303CA」が発売されて以降、折りたたみ型の「G'zOne TYPE-R」やスマートフォン型の「G'zOne IS11CA」など、長きにわたって継続的に投入されてきた。だがカシオが携帯電話事業から撤退することを受け、2012年の「G'zOne TYPE-L」を最後にシリーズは終了している。

2000年に発売された初代G'zOne「C303CA」は、ストレート型で丸いディスプレーが特徴的。KDDIの前身である日本移動通信(IDO)やDDIセルラーグループから提供されていた

 一方でauブランドではタフネスモデルを継続的に投入しており、過酷な環境で働くハードワーカーやアウトドアの愛好家などから着実な支持を得ていることから、そうした顧客の要望には応えていきたいと近藤氏は話す。ただ、すでに同社のタフネスモデルの主力は京セラの「TORQUE」シリーズに移っている中、メーカーが撤退したG'zOneシリーズを復活させる理由はどこにあったのだろうか。

 近藤氏がその1つに挙げているのが、G'zOneシリーズに根強いファンがついていることだ。現在もなおG'zOneシリーズの端末を使い続けている愛好家が多くいるそうで、利用者の98%は折りたたみ型を使っているとのこと。もっとも長いユーザーでは15年にわたって同じ機種を使っているそうで、中には予備のG'zOneをストックしている人もいるなど、かなりの熱心さがうかがえる。

3Gの終了が間近に迫る中、G'zOneシリーズの端末を10年以上使い続けている人が存在し、今後もG'zOneを使い続けたいという根強いファンの存在が今回の企画に至っているという

 そうした人たちは今後もG'zOneシリーズを使いたいと考えているが、メーカーが撤退しているため新機種が登場せず不満を抱いているという。しかもauは3Gのサービスを2022年3月に終了する予定で、4G非対応の折りたたみ型のG'zOne端末はそれ以降使えなくなってしまうことから、同じブランドでの後継モデルを望む声が多かったようだ。

 そうしたユーザーの思いに応えるべく、20周年を記念して商品化されたのがG'zOne TYPE-XXである。ただ商品化に至るまでには多くの課題があったそうで、検討開始から製品化に至るまで4年の歳月を費やした結果、発売が「21年目になってしまった」と近藤氏は話している。

 中でも大きな課題は、撤退したメーカーのシリーズを復活させながらも、ファンから支持が得られる内容にする必要があることだ。そこでauでは端末のデザインをカシオに依頼。カシオで歴代のG'zOneを手掛けたチームが再集結してデザインを手掛けるに至ったという。

 一方で、実際に端末を開発・製造するメーカー選びにはかなり苦労したそうだが、最終的には京セラが担当することになった。ただ京セラは、TORQUEブランドを持ち現在もタフネス端末を手掛けていることから、近藤氏によると「最初の段階では賛成・反対があり、非常に苦労した」そうで、「京セラの懐の広さが成功の1つのキーになっている」とも話している。

当時のメーカーが撤退していることから多くの課題があったが、デザインをカシオ、開発や製造を京セラが担当することで提供に至ったとのこと

 近藤氏は、G'zOneユーザーにG'zOne TYPE-XXを使ってもらうことで、京セラ製端末の耐久性を感じてもらうことが今回の企画の裏テーマになっているとのこと。auの現在のタフネスモデルはあくまでTORQUEシリーズが主体であることから、G'zOne TYPE-XXを機としてTOQRUEシリーズへの移行を促す狙いも大きいようだ。

G'zOneならではのデザインと歴代最強のタフさ

 G'zOne TYPE-XXの特徴の1つは、やはりG'zOneらしいデザインであろう。背面ディスプレーにはモノクロのサークルディスプレーを搭載し、テンキーにも円形のものを採用、さらにスクリュー型のバッテリーロックを備えるなど、折りたたみ型としては前機種となる「G'zOne TYPE-X」に近いイメージながらも、初代のC303CAを強く意識したデザインとなっている。

G'zOne TYPE-XXの正面。背面ディスプレイに円形のディスプレイを搭載するなど、イメージとしては「G'zOne TYPE-X」に近い

ちなみにこちらがG'zOne TYPE-X。バンパーの位置などは異なるが、ディスプレイやカラーリングなどは近いことが分かる

開いたところ。キーは丸型で、こちらも初代を意識したものとなっている。ちなみにディスプレーサイズは3.4型

 近藤氏によると、当初カシオが手掛けたコンセプトデザインと最終的な製品のデザインを比べた場合、強度を高めるためバンパーとプロテクターを追加した以外は大きく変わっておらず「京セラの高い技術力があったからこそ実現できた」高い再現度とのこと。ちなみにプロテクター部分は空洞になっており、内部の温度センサーに外気を取り込むという機能も持たせているという。

コンセプトデザイン(右)と最終形(左)を並べたところ。プロテクターやバンパーを装着したこと以外は大きな違いは見られず、再現性はかなり高い

 本体だけでなく内部のインターフェースもG'zOneらしいデザインやサウンドが取り入れられており、着信音はG'zOne TYPE-Xのものをリメイクしたり、メモリー容量の都合で搭載できなかったものをプリセットしている。カシオ製端末で人気を博した「カシオペンギン」が隠れキャラとして登場するギミックも用意されているという。

 そしてもう1つの特徴は、G'zOneシリーズの代名詞でもあった高耐久性だ。近藤氏によるとその性能は「歴代最強」とのことで、高さ1.8mからの耐衝撃性能に加え、MIL規格の19項目に対応。折りたたみ型の端末として初めて塩水噴霧にも対応したことから、船上での利用にも役立つのではないかと近藤氏は話している。

もちろん高い耐久性を備えており、MIL規格の19項目に対応。塩水噴霧への対応は折り畳み型としては初だという

 また、アウトドアで役立つ8つのアプリも搭載されており、船での利用を意識してか魚の活性度を表示するアプリも追加されているとのこと。加えてホイッスルやクマ鈴などのブザー音を鳴らせる機能も備えており、万が一の時にも役立つようになっている。

アウトドアで使える8つの専用アプリを用意。船での利用を意識してか、魚の活性度を表示するアプリが追加されている

 なおG'zOne TYPE-XXの本体価格は5万2800円だが、3Gからの巻き取りを意識した端末ということもあって、近藤氏によると以前のG'zOne端末から無料で機種変更できるプログラムも用意されるとのこと。また別売りにはなるが、専用の卓上ホルダーなど周辺機器もいくつか提供される。

専用の周辺機器も用意。卓上ホルダーはロックナットソケットを意識したデザインとのこと

 またauでは、G'zOne TYPE-XXの発売に合わせて「au CASIOケータイグランプリ」を2021年12月6日から2022年1月10日まで開催する。これはG'zOne TYPE-XXを含む、歴代のカシオ製端末36機種の中から、ユーザー投票で1位を決める。KDDIのオウンドメディア「TIME&SPACE」でG'zOne TYPE-XXを取り上げたところ、SNSなどで大きな反響を得たことから実施するに至ったそうで、TIME&SPACE内の専用ページから1日3機種、好きな機種を投票できる。

G'zOne TYPE-XXに合わせ、歴代のカシオ製端末36機種のナンバー1を決める「au CASIOケータイグランプリ」も実施される

説明会ではG'zOneシリーズをはじめとした歴代のカシオ製携帯電話がずらり。カシオペンギンの元祖「W41CA」や、「EXLIMケータイ」の名前に懐かしさを感じる人も多いのでは

 また、投票機種をTwitterにシェアした人の中から、抽選で特別グッズをプレゼントする。C303CAをモデルにしたリングライトや、G'zOne TYPE-XXをモデルにしたモバイルバッテリーなど、G'zOneファン注目のアイテムが揃っているので、興味のある人は参加してみよう。

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