Pixel WatchはApple Watchのライバルになれるか?
Pixel Watchは5月にグーグルが実施した開発者向けイベントで発表されて以来、筆者もとても楽しみにしていたデバイスです。
グーグルがウェアラブルデバイス向けに開発するWear OSの最新バージョンである「Wear OS 3.5」を搭載しています。
80%リサイクルステンレスを使用するケースのサイズは、41mmと少し小ぶりです。正円形ケースの隅々まで展開する有機ディスプレイは視認性も高く、シンプルなデザインに好感を持ちましたが、やや「ガジェット感」は強めなスマートウォッチです。筆者は最近Apple Watch Ultraの、しっかりとした「腕時計感」に触れてしまったせいか、Pixel Watchにもある程度の重厚感を期待していました。本機には現在グーグル傘下のFitbitブランドによるフィットネス、ヘルスケアの知見が惜しみなく投入されます。ワークアウトなどにものすごく使い勝手が良ければ、コンパクトで軽いPixel Watchの特徴が魅力として活きてくると思います。
グーグル初のスマートウォッチは、これから強敵であるApple Watchとの競争を戦うことになります。これまでWear OSを搭載するスマートウォッチの魅力は「AndroidスマホとiPhoneの両方で使えること」だと筆者は思っていたのですが、残念なことにPixel WatchやWear OSとTizenの統合後に発表されたGalaxy Watch 4以降はAndroid 8.0以上のデバイスにしか対応していません。
Pixel Watchについて、グーグルはその理由を「特にPixelシリーズのスマートウォッチやワイヤレスイヤホンとのシームレスな使い勝手を実現することを優先したため」と説明していますが、一部の機能だけでもiPhoneと一緒に使えるようにするべきだと筆者は強く思います。
iPhoneユーザーも手軽に試すことができれば、Pixel WatchがApple Watchよりも軽量&コンパクトで、低価格、バッテリーが少し(約6時間)長持ちな使い勝手を実現したことが活きて、Apple Watchからの乗り換えを真剣に検討するユーザーが増えるかもしれません。
今後ソフトウェアアップデートなどによるリカバリーは効くのでしょうか。発売後の展開にも要注目です。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。