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ゲームに特化した「Xperia 1 IV Gaming Edition」はゲーミングスマホと何が違うのか (2/2)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2022年11月03日 12時00分

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Xperia 1 IV専用の冷却設計、その効果は

 Xperia Stream for Xperia 1 IVの大きな機能の1つとして、装着してゲームをプレイすると冷却ファンが動作し、本体を冷却してパフォーマンスや持ちやすさを維持してくれることが挙げられる。では一般的なゲーミングファンとどのような点が違うのかというと、本体全体をまんべんなく冷やしてくれる点だ。

 ゲーミングファンの多くは装着した場所に空冷、最近ではペルチェ素子などを加えて発熱しやすい場所を集中して冷やすようになっている。ただ熱源が複数あると本体が冷えにくかったり、熱源に応じて装着場所を選ぶ必要があるため場所によってはゲームプレイに支障が出たりするのが難点だ。

 だがXperia Stream for Xperia 1 IVは、冷却ファンと独自の構造で本体の背面だけでなく前面にも風を送って冷やす仕組みとなっており、ゲームプレイしていると指にほんのり風を感じる。Xperia 1 IVはゲーミングに強いとはいえ専用に設計されたスマートフォンではなく、ゲーミングスマートフォンのように冷却しやすいよう熱源を集中させている訳ではないことから、こうした仕組みを採用しているようだ。

 ではその冷却効果はどの程度なのか、ゲームモードを「パフォーマンス優先」にした状態で「原神」を20分プレイし、前面、背面の温度を測定してみた。まずはXperia 1 IV単体でプレイした場合だが、前面の温度は前面が約40~45度、背面が約35~46度で、前面にした状態で中央のやや左寄りの部分が熱くなりやすいようだ。

「パフォーマンス優先」で「原神」をプレイし、20分経過した後の前面の温度。中央左側の部分の方が熱くなりやすいようだ

背面の温度。やはり45度を超えるくらいまで温度が上がってしまう

 一方、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着してプレイした場合の温度を確認すると、前面の温度は約30~39度。背面に至っては冷却効果に加え、厚めのボディーにより本体の熱源から距離ができることもあって約21~26度にまで下がる。寒い日などは逆に指が冷えてプレイしづらかった程で、冷却効果はてきめんといえるだろう。

Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着し、同様の条件でプレイした後の前面の温度。40度を切るくらいまで温度が下がっていることがわかる

熱源のスマートフォンに直接触れない背面は20度台となるため、熱さはほぼ感じず快適なプレイが可能だ

 もう1つ気になるバッテリーの持続時間だが、ファンの回転を「Auto」にして給電せずに「原神」をプレイし続けてみたところ、バッテリーが5%を切るところでファンが停止し、最終的には約2時間でバッテリーが切れた。給電なしでもそこそこの時間、ゲームプレイはできるようだ。

 ちなみにファンの設定は、「Game enhancer」を呼び出した後に「ゲームモード」を選択することで設定可能。ファンの回転だけでなくシャッターキーでファンのオン・オフを制御したりもできるようになる。

冷却ファンに関する設定は「Game enhancer」上で可能。ファンの制御や使用するタイミングなど、細かな設定ができる

ライブ配信などに便利な有線の端子類を用意

 そしてもう1つ、Xperia Stream for Xperia 1 IVを装着すると利用できるようになるのが有線のインターフェース類だ。実際、下部にはUSB Type-C端子のほか、イーサネット端子、HDMI端子、そして3.5mmのイヤホン端子が備わっており、それらにケーブルを接続することで各機能を利用することが可能だ。

側面下部を確認すると、USB Type-C、イーサネット、HDMI、3.5mmイヤホン端子の4つが用意されていることが分かる

 イーサネット端子は有線でネットワークに接続することにより、Wi-Fiやモバイル通信で発生しがちな通信の不安定さをなくし、オンラインゲームの安定的なプレイを実現できるようになる。性能的には100BASE-TXなので実はWi-Fiや5Gよりも最大通信速度が落ちるのだが、ゲーム中に大容量通信をするケースは少なく、有線LAN接続で安定した通信を確保しやすくなることから「ゲーム中にネットワーク接続が一時止まってしまい、その間にやられてしまった」という経験がある人にメリットが大きいだろう。

 HDMI端子はゲームプレイよりむしろ、ゲームのライブ配信などをする際に役立つ端子であり、ケーブルを接続するだけでゲームの映像をディスプレーだけでなく、キャプチャーボードなどにも簡単に出力できる。端子もミニHDMIやマイクロHDMI端子ではなく、通常サイズのHDMI端子だというのも利便性が高い。

HDMI端子はライブ配信用の映像出力に役立つが、もちろんディスプレーへの出力も可能だ

 有線接続で気になるのは、やはりケーブルが邪魔になってゲームプレイに支障が出てしまうのでは? ということ。もちろんしっかり考慮がなされており、すべての端子を中央下部に集中配置することで、本体を手にした時にケーブルが指に一切触れない仕組みとなっていることから、試しに全端子にケーブルを接続してプレイしても、ゲームプレイに影響することはなかった。

実際にすべての端子にケーブルを挿入して「PUBG MOBILE」をプレイ。ケーブルが下部に集中するため指に触れて邪魔になることはなく、プレイも快適だ

【まとめ】ゲーミングスマホよりプロ・セミプロ向け機能が充実

 ここではXperia Stream for Xperia 1 IVの使用感を中心にレビューしてみたが、Xperia 1 IV Gaming Editionはゲーミングスマートフォンとは設計思想が違っており、通常のスマートフォンをゲームする時だけ強化する、という発想で作られているようだ。

 それゆえゲーミングスマートフォンのような目立つデザインではなく、日常的なスマートフォンとしてXperia 1 IVを活用しやすい。それでいて、ゲームプレイ時はXperia Stream for Xperia 1 IVを装着することでプレイが快適になり、配信などもやりやすくなることからeスポーツのプロやセミプロ、さらには日常的にライブ配信をしているストリーマーなどにとってメリットが大きいといえる。

 その一方で、ゲーミングスマートフォンのように専用のトリガーなどが用意されているわけではなく、ゲームプレイ時のカスタマイズ性は高くないのに加え、本体の一部が光る仕組みなどもない。またソニーストアでの価格は18万9200円と、「ROG Phone 6 Pro」(16万9800円)や「Black Shark 5 Pro」(11万8800円)、「REDMAGIC 7」(上位モデルで13万7520円)といった最近のゲーミングスマートフォンと比べても高い。

 そうした要素を考慮すると、やはり趣味でゲームを楽しむアマチュア向けというより、Xperiaシリーズのフラッグシップモデルと同様“好きにこだわる”ゲームのプロ・セミプロに向けた製品といえそうだ。

 なお、Xperia Stream for Xperia 1 IV自体は単体販売もなされているので(ソニーストアとドコモオンラインショップで2万3100円)、安くはないがすでにXperia 1 IVを持っている人なら負担を抑えて環境整備ができることも覚えておくといいだろう。

  Xperia 1 IV(SIMフリー)
メーカー ソニー
ディスプレー 6.5型有機EL(21:9)
画面解像度 1644×3840ドット
サイズ 約71×165×8.2mm
重量 185g
CPU Snapdragon 8 Gen 1
メモリー 16GB
ストレージ 512GB
OS Android 12
4G対応周波数 B1、3、4、5、7、8、12、13、17、18
19、21、26、28、38、39、40、41、42
5G対応周波数 n3、n28、n41、n77、n78、n79
カメラ アウト:約1220万画素(24mm、標準)
+約1220万画素(16mm、超広角)
+約1220万画素(85-125mm、望遠)
+3D iToFセンサー
/イン:約1200万画素
バッテリー容量 5000mAh
防水/防塵 ○/○(IPX5/8)
生体認証 ○(指紋)
デュアルSIM nanoSIM+eSIM
USB端子 Type-C
カラバリ ブラック、アイスホワイト、パープル

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