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ジンバル不要のカメラを搭載、コンパクト・ハイエンドに磨きをかけた「Zenfone 9」 (2/2)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2022年11月03日 15時00分

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発熱への対処は大幅に強化
ゲームプレイ時も安心

 性能面を確認すると、チップセットはクアルコム製のハイエンド向けとなる「Snapdragon 8+ Gen 1」で、メモリは8GB/16GB、ストレージは128GB/256GB(いずれもモデルによって異なる)。メモリやストレージに違いがあるとはいえ、性能的にはROG Phone 6にかなり近くゲーミングスマートフォン並みの性能を持っている。

 それゆえベンチマークの結果も非常に高く、AAAクラスのゲームも快適に動作するのだが、多くの人が気にするのは発熱であろう。Zenfone 8はフル性能でゲームプレイすると本体を持ちづらくなるほどの発熱が生じていたことから、サイズがあまり変わっておらず発熱への対処が難しいZenfone 9もこの点が懸念されるところだ。

「Geekbench5」におけるZenfone 9のCPUベンチマークの結果

「3DMark」(Wild Life Extreme)におけるZenfone 9のベンチマークの結果

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定は、現行のAndroidスマートフォンの最高設定まで引き上げることが可能だ

「原神」のグラフィックス設定はデフォルトで「中」。最高設定にしても動作に問題はない

 だがZenfone 9はベイパーチャンバーを新たに搭載し、ヒートパイプの面積をさらに広げるなどして発熱対策により力が入れられている。そうしたことから実際に長時間ゲームプレイをしてみても、表面が40度を超える温度には達するが持ちづらいほど熱くなることはなく、安心感が高まっている。

ゲームプレイ中に「Game Genie」で温度を確認してみたが、45度を超えることはあまりなく手に持ってプレイするのが厳しいほど熱くはならないようだ

 ただそれゆえか、本体のパフォーマンスを制御する「システムモード」はZenfone 8と比べ簡素化されており、あまり細かな設定はできなくなっている。設定がわかりやすくなったとは感じるが、細かなカスタマイズがしたい人には残念かもしれない。

「システムモード」は4つの中から1つを選んでややカスタマイズする仕組みとなり、Zenfone 8のようにCPUやGPUの性能を細かくカスタマイズすることはできなくなっている

 パフォーマンスだけでなく音響面もROG Phone 6同様、音質をカスタマイズできる「オーディオウィザード」もを新たに搭載するなど力が入れられている。加えてディスプレーのリフレッシュレートも120Hzと滑らかなので、大画面にこだわらなければゲームプレイはかなり快適といえるだろう。

音響面も強化されており、ROG Phone 6同様「オーディオウィザード」による音質のカスタマイズもできるようになった

 もう1つ、コンパクトモデルで気になるバッテリー容量だが、こちらは4300mAhと最近のハイエンドスマートフォンとして見れば小さいものの、4000mAhだったZenfone 8と比べると増量がなされている。30Wの急速充電や、バッテリーケア機能には引き続き対応しているのでそうした部分も安心感は高いといえる。

 モバイル通信に関しては、物理SIM×2のデュアルSIM仕様で、多くのSIMフリースマートフォンと同様5Gにも対応するが、ドコモの4.5GHz帯(バンドn79)に対応していないので利用するならドコモ回線以外のSIMを用いるのがベストだろう。ただ、Zenfone 8に続いてIP65/IP68の防水・防塵性能を備え、FeliCaに対応していることから、国内で安心して使えるのは大きなメリットだ。

SIMは物理SIM(ナノSIM)×2で、トレイは上下に挿入するタイプとなる

 ちなみにZenfone 9には、別売りとなるがいくつか純正の周辺機器も用意されており、その1つが「Zenfone 9 Connex Accessories Set」になる。これは背面下部に穴の開いたケースをZenfone 9に装着し、穴の部分に付属のアイテムを装着することで機能を拡張できるというもの。

「Zenfone 9 Connex Accessories Set」の本体ケースには穴が開いており、そこに別途アイテムを装着して利用できる

 アイテムとしてはクレジットカードなどを一緒に持ち歩けるカードホルダーと、Zenfone 9を立てて動画視聴などがしやすくなるスマートスタンドの2つが用意されている。このうち後者については、設定によりスタンドを立てると自動的に特定の動画アプリを起動させることも可能となっている。用途に応じて使い分けられる点は非常に便利なので有効活用したい所だ。

カードホルダーを装着したところ。財布がなくてもカードなどを入れておけるので便利だ

スマートスタンドを装着すると、動画視聴時などにスタンドとして利用できる。スタンドを立てた時に特定のアプリを起動できるよう設定も可能だ

【まとめ】洗練度は高まったが
コンパクトモデルへの逆風が気になる

 Zenfone 9はコンパクトでハイエンド、かつ日本仕様に対応するというZenfone 8のコンセプトをしっかり引き継ぎながらも、ゲームプレイ時の発熱というコンパクトモデルならではの弱点をクリア。なおかつ背面デザインや6軸ハイブリッドジンバルスタビライザーで独自性も発揮できている。カメラモジュールの大型化で「Zenfone 8 Flip」まで存在したフリップカメラのモデルがなくなりZenfoneらしい特徴を打ち出すのが難しくなっていた中にあって、Zenfone 9はうまく特徴付けをすることにより新しいZenfoneらしさを打ち出すことに成功したといえるだろう。

 ただその特徴を市場が受け入れるかどうかは別の話だ。iPhoneの「mini」シリーズの販売不振で、コンパクトモデルの劣勢が明確に示されてしまったスマートフォン市場で、とりわけハイエンドを求める層に対してコンパクトであることがマイナス要因に働く可能性は少なからずある。発売後の市場での評価が気になるところだ。

ASUS「Zenfone 9」の主なスペック
ディスプレー 5.9型有機EL(20:9)120Hz対応
画面解像度 1080×2400
サイズ 68.1×146.5×9.1mm
重量 169g
SoC Snapdragon 8+ Gen1
内蔵メモリー 8/16GB
内蔵ストレージ 128/256GB
OS Android 12(ZenUI 9)
無線LAN Wi-Fi 6E
カメラ画素数 5000万画素+1200万画素(超広角) イン:1200万画素
バッテリー容量 4300mAh(30W対応)
生体認証 ○(側面指紋)
防水/防塵 ○/○(IP68)
USB端子 Type-C
イヤホン端子
カラバリ ミッドナイトブラック、ムーンライトホワイト、スターリーブルー、サンセットレッド
 

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