ドコモが首都圏での最大震度7を想定した「総合防災訓練」を開催! ドローン中継局も披露 (1/2)

文●村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII

2022年11月18日 12時00分

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 ドコモグループが11月9日に「総合防災訓練」を開催した。首都直下型地震を想定し、通信の応急復旧措置がデモンストレーションされ、関係機関との連携や、避難場所に用意される機器なども紹介された。ドコモは毎年こうした訓練を行なっているが、関係者や報道陣に広く公開するのは3年ぶりとのことだ。

災害発生時には5つの応急復旧措置が可能

 訓練は東京臨海広域防災公園で実施された。ドコモの災害への取り組みを紹介し、「防災についての学びの場にしていただきたい」という目的もあり、「みんなの防災カレッジ」というサブタイトルが掲げられていた。

「総合防災訓練2022 - みんなの防災カレッジ -」として開催

まず、NTTドコモ 常務執行役員 ネットワーク本部長の小林 宏氏が登壇。「災害対策にはさまざまな機関との連携が大切」と、来場した関係者に挨拶を述べていた

続いて、ドコモ 災害対策室長の塩野貴義氏が登場

ドコモの災害対策を評価する立場として、災害リスク評価研究所の災害リスクアドバイザーで、立正大学 外部研究員、BCPコンサルタントの松島康生氏も参加

塩野氏と松島氏が訓練を解説した

 首都圏で最大震度7の地震が発生し、基地局が停電した場所を想定して訓練が始まった。緊急地震速報のアラートが鳴り、基地局とみなした建物に3台の車両が登場。1台目には「可搬型衛星エントランス基地局」が搭載されており、運ばれてきた基地局が素早く組み立てられる工程が披露された。

人が持ち運べるサイズに分けられたパーツを組み立てて、衛星と通信するパラボラアンテナが素早く設営された

 2台目は「衛星エントランス搭載移動基地局車」。あらかじめ基地局が搭載されている車両で、救済に必要なすべての設備がパッケージされていて、被災地に迅速に向かうことができる態勢になっている。ここではアンテナを伸ばす工程を見ることができた。

携帯電話用のアンテナは約15mの高さまで伸ばせる

衛星基地局も車載されている。南の空に向けると自動で向きを調整して電波をつかむ

 3台目は「移動電源車」。基地局やノードビル(交換機や無線ネットワーク制御装置などが設置されている建物)が停電した場合に、電源を供給する車両。供給する電力によって、車両の大きさが異なり、NTTビルに給電できる大規模な移動電源車も展示されていた。

基地局を模した建物にプラグで接続し、あっという間に給電できる態勢になった

訓練会場に展示された大型の移動電源車。多数の通信設備を備えた10階建てのビルに丸ごと給電できるそうだ

 ドコモは近年、ドローンの開発・活用に力を入れているが、今年2月から電波を中継する「ドローン中継局」の運用も開始した。この日の訓練では実演されなかったが、実物が展示されていた。陸上からケーブルで給電するため、長時間浮かんで、基地局の電波を中継できる仕組み。理論上は100メールくらいの高さまで浮上でき、ドローンの下に通信エリアを構築する。

すでに運用が始まっているドローン中継局。後方の白い板の部分が基地局からの電波を受信するレピーター。この日の訓練では使われなかったが、訓練の終了後に報道向けに浮上させるデモンストレーションが披露された

 なお、大規模災害が発生した際に運用する基地局として「船上基地局」もあるという。文字通り、船に搭載した基地局で、海上から陸上に向けて通信エリアを構築できる仕組みだ。

船上基地局は陸に向けて広域の通信エリアを確保できるほか、救援物資の運搬にも利用される

災害時の応急復旧措置として5つの対策が講じられる

ドコモは「システムとしての信頼性向上」「重要通信の確保」「通信サービスの早期復旧」を「災害対策3原則」としている

塩野氏は携帯電話で通話・通信ができる仕組みについても解説。無線を用いるのはごく一部で、多くは伝送路(有線)を用いるため、設備や伝送路の迅速な復旧が重要であることが説明された

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