一番気になる発熱はどうなのか?
歴代モデルで比較した
最近のスマホは高性能なSoCのおかげでどんどん性能が良くなるものの、悩ましいのが本体の発熱。昨年発売されたXperia 1 IVはかなり高い性能を持ちながらも、負荷が大きくなると本体の背面が熱くなってしまって、たとえばカメラ撮影している最中に機能制限がかかってしまう事が何度かありました。つい処理能力ばかりを気にしがちですが、実際にはより長く安定してパフォーマンスを発揮してくれることが理想です。スマホを使ううえで一番重要ともいえる部分が、Xperia 1 Vでは果たしてどうなのか?
Xperia 1 Vは、SoCに「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載して「Snapdragon 8 Gen 1」比で電力効率が40%も改善。 ソフトウェアによって、カメラ動作時の消費電力も20%削減。加えて、熱拡散シートの体積がXperia 1 IV比で約60%拡大したことで放熱性能も向上していると公式にも書いてあったので、否が応でも期待が高まります。
手っ取り早くスマホの性能を判断する材料としてベンチマークテストで検証をしてみます。比較するのは、Xperia 1 V、Xperia 1 IV、Xperia 1 IIIの3モデル(参考までに、Xperia PRO-I はXperia 1 IIIと同じSoCです) 。「AnTuTu Benchmark」で計測したスコアを比べてみると、Xperia 1 V、Xperia 1 IV、Xperia 1 IIIの順にスコアが高くなっている事がわかります。
さて次に、すぐ2回目のベンチマークを測ってみました。すると、3機種ともにスコアが下がっています。これは、ベンチマークテストという高負荷な処理をすることにより、スマホ本体の温度上昇によって内部で意図的にパフォーマンスが抑えられるために、スコアが下がる傾向にあります。
ただ、おもしろいことにXperia 1 Vの2回目のスコアは、Xperia 1 IVの1回目のスコアよりも高いことも見てとれます。あくまでも1つのベンチマーク結果に過ぎませんが、相対的に見てXperia 1 Vの性能の高さがうかがえます。
ここで1つの興味というか、疑問がわきます。本体の発熱がパフォーマンスに影響するのであれば、本体を冷却しながらベンチマークテストをするとどうなるのか? Xperia 1 VとXperia 1 IVにゲーミングギア「Xperia Stream」を装着して再度計測してみました(Xperia 1 III は非対応のため未計測)。
両機種ともおもしろいようにベンチマークスコアがのびました。ここで興味深いのはスマホ本体の温度の推移です。Xperia 1 IVは本体の熱が最大38.3度まで上昇しているのに対して、Xperia 1 Vの本体の熱は最大35.1度までにおさまっているうえ、ベンチマークテスト後半では本体の熱がかなり低く抑えられています。Xperia 1 Vは、スコアが高いにもかかわらず、発熱自体がXperia 1 IVよりも少ないという事もわかりました。
今度はもっと長く負荷をかけつづけた場合のパフォーマンスの変化を調べてみました。ベンチマークテスト「3DMark」で、最も負荷の高い「Wild Life Extreme」を20回連続でテストする「Wild Life Extreme Stress Test」でのスコアの推移を見てみます。
20回計測したスコアのグラフを見ると以下のような事がわかります。
Xperia 1 Vは、4回目まで高いスコアを出し続け、それ以降は徐々に低下するものの、それでも2000以上のスコアをキープ。
Xperia 1 IVは、1回目こそ高いスコアだったものの、2回目以降は急激に低下。後半は1回目の半分の1300前後のスコアでようやく安定しました。
Xperia 1 III は、最初のスコアをピークとして低下していき、その後はとてもゆるやかに下がっていくという結果でした。
またスコア以外にも、20分間ベンチマークを実行している中での「バッテリー消費」「本体温度」「フレームレート」の3項目についても推移をチェックしてみました。
■Xperia 1 V
バッテリー:79%から70%へ減少(約9%減少)
本体内温度:25~45度
フレームレート:3~27FPS
■Xperia 1 IV
バッテリー:84%から74%へ減少(約10%減少)
本体内温度:27~43度
フレームレート:6~19FPS
■Xperia 1 III
バッテリー:59%から46%へ減少(約13%減少)
本体内温度:27~43度
フレームレート:6~11FPS
それぞれの数値に振り幅があるとして、Xperia 1 Vは最も高いフレームレートを出しながらも、バッテリーの消費は一番少ないというデータが読み取れて、電力効率の良さがうかがえます。
以上のようにベンチマーク結果でもSoCや本体の発熱処理の傾向がわかりますが、今度はもっと実情にあわせた使い方で違いがあるのか? 「Videography Pro」アプリで4K120Pの動画をいつまで録画し続けられるかのテストをしてみました。
4K120Pでの動画撮影というのは、スマホにとって非常に負荷がかかるもので、結果として発熱で本体に制限がかかり安全のため停止してしまうのがお約束。専用のカメラや動画機でも限界撮影時間があるので、スマホに限ったものではありません。
検証時の気温は、およそ24度。Xperia 1 IVで録画をスタートしてみると、約9分で発熱の制限によって停止しました。次に、Xperia 1 Vで同じく4K120P動画を撮影してみます。すると、Xperia 1 Vの約2倍の長さにもなる約19分まで録画し続けることができました。
シューティンググリップ接続で
動画撮影時間が1時間以上に延びた!
参考までに、Xperia 1 VやXperia 1 IVには、シューティンググリップ「GP-VPT2BT」と接続することを条件に、スマホ本体が高温になってもより長い時間使用できるという「撮影持続モード」という機能があるので、こちらも結果も記載しておきます(ドコモとau版には非搭載)。
「撮影持続モード」を利用してみたところ、Xperia 1 IVでは約17分まで撮影でき、Xperia 1 Vにいたってはなんと1時間以上の撮影が可能でした。外気温が上がるとこのとおりではなく、大幅に短くなると予想されるので参考程度にしてください。こうしたテストをしてみると、Xperia 1 Vは、単純にSoCの性能の高さだけではなく、より安定して長時間使えるのということが実感できました。
【まとめ】マニアしか喜ばない突き抜けた機能を搭載するのが魅力
筆者の解説している内容が偏りすぎていて、Xperia 1 Vの魅力が界隈の一部の人にしか伝わらないのでは、とだんだん不安になってきました。とにかく、Xperia 1 Vはカメラがめちゃくちゃイイ! と思ってください。αシリーズやVLOGCAMの最新モデルに入ってて、Xperiaにも欲しかった機能も採用されており、写真を撮るのも、動画を撮るのも実に楽しくなっています。
専用ディスプレーになる「外部モニター」アプリも、eスポーツで役立つ「ゲームエンハンサー」も、ソニー・ピクチャーズの作品が観られる「BRAVIA CORE for Xperia」も、どれもマニアックすぎて一体誰が使うのか? と思うようのなものばかりです。ソニーユーザーしか喜ばないんじゃ? と思われるかもしれませんが、その突き抜けっぷりが魅力なんです。
イメージセンサーの世界トップシェアを持つソニーが、一番良いスマホ用のセンサーを真っ先に載せてきてくれたり、SIMフリーモデルをキャリアモデルのおよそ1ヵ月のタイムラグで販売したりといった、革新が見られたのも、Xperia 1 Vが初めてでしょう。
これだけ詰め込んでくれたら、使わない理由がありません。とりわけ、重度なソニーユーザーはもちろんのこと、自分のテイストを盛り込んだ写真を撮りたい、日常をVLOGで記録したい、シネマティックな動画を撮りたいという人にとっては、強烈なツールになるのは間違いないので、筆者がソニーマニアだということをさっ引いても、超が付くほどオススメです。
Xperia 1 Vの主なスペック | ||
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メーカー | ソニー | |
ディスプレー | 6.5型有機EL(21:9、120Hz) | |
画面解像度 | 1644×3840ドット | |
サイズ | 約71×165×8.3mm | |
重量 | 187g | |
CPU | Snapdragon 8 Gen 2 | |
メモリー | 12GB(SIMフリーは16GB) | |
ストレージ | 256GB(外部最大1TB) | |
OS | Android 13 | |
カメラ | アウト:48MP(24mm相当、標準) +12MP(16mm相当、超広角) +12MP(85-125mm相当、望遠) /イン:12MP |
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バッテリー容量 | 5000mAh | |
防水/防塵 | ○/○(IP65/68) | |
生体認証 | ○(指紋) | |
USB端子 | Type-C | |
カラバリ | ブラック、プラチナシルバー、カーキグリーン(SIMフリーのみ) |