海外でスマートフォンを展開しているvivoの「V」シリーズは、人物撮影を強化したスマートフォンだ。ニッチな用途と思われがちだが、SNSへアップする自撮りや「映えるポートレート」を求める層に人気だという。特に東南アジア各国では、同社の主力モデルとして販売されている。
今回はVシリーズの現行モデル「V40」をマレーシアで試すことができたので、レビューをお届けする。
高級感ある紫のボディーとオール5000万画素のカメラ仕上げ
V40の主なスペックはチップセットがクアルコムのSnapdragon 7 Gen 3、ディスプレーは6.78型で解像度は2800×1260ドット、最大輝度は4500ニトと屋外の直射日光下でも見やすい明るさだ。OSはvivo独自のFuntouchOS 14を搭載で、ベースはAndroid 14だ。ユーザーインターフェースはかなり独特なものだが、タイルを多用した使いやすいカスタマイズが行なわれている。
カメラはカールツァイスとのコラボレーション。vivoのフラッグシップカメラフォン「X」シリーズ同様に、あらゆるシーンで最適な撮影条件を自動で判断するAIモードも搭載している。
メインカメラは5000万画素でソニー「IMX921」センサーを採用、1/56インチ、F1.88でOIS搭載だ。もう1つのカメラは5000万画素の超広角、センサーメーカーは非公開でF2.0となる。
上位モデルの「V40 Pro」は、この2つのカメラに加えて5000万画素の2倍望遠を搭載し、チップセットがMediaTekのDiemensity 9200+となっている。ほかの基本スペックはほぼ同等で、両モデルともフロントカメラも5000万画素を搭載。つまり、V40シリーズのカメラはすべて5000万画素になっている。
本体カラーはシルバーとパープルの2色展開だが、パープルは中国の昔の皇帝に愛された色を再現したかのような美しい色合いだ。V40はフラッグシップモデルではないものの、その外観から高級感を十分に味わうことができる。ケースを付けずにこのまま使いたくなる、そう思わせてくれる仕上げと感じた。背面は平滑感が高いながらも、指紋のあとはほぼ残らない。
本体サイズは約75×164.2×7.6mm、重量は約190gと、軽量コンパクト。バッテリーは5500mAhで、80Wの急速充電に対応する。
ディスプレーは側面の角を丸めた、いわゆるエッジ形状である。エッジディスプレーは最近のモデルではあまり見られなくなっているが、V40は本体が軽いため側面部分に手のひらが触れても誤作動がなく、薄さも相まってポケットやカバンからの出し入れもしやすい。
色温度を変えられるLEDライトが視覚的に楽しい
改めてカメラを見てみよう。上部側(写真右側)の円形カメラバンプの中に、2つのカメラが納められている。「ZEISS」の青いロゴはツァイスとの協業の証だ。その下の楕円形の中にはLEDライトを搭載。このLEDライトは後述するが色温度を変化させることができる。このLEDライトは過去のモデルからVシリーズの一つの特徴となっており、形状を変えながら性能を高めることで小型化も進めてきた。小さいライトながら驚くほどの光量を放つことができる。
カメラのUIは一般的なものだ。望遠がないことから、倍率の切り替えもワンタッチでは2倍までとシンプル。デジタルでは20倍の望遠までに対応する。動画は最大4K 30fpsまでの撮影が可能
ツァイスとの協業が活かされているのが、同社の歴代の名レンズをデジタルで再現したボケで、レンズ特性に合わせた玉ボケなどを、レンズを変えるように指定できる。映える写真撮影に適した機能と言えるだろう。
そして人物撮影用にはポートレートレンズキットと呼ぶ、切り替えモードが使える。24mmランドスケープ、35mmストリート、50mmナチュラル、50mmクラッシックと、シーンに応じた焦点距離をワンタッチで切り替えることができるのだ。一方でフロントカメラを使った自撮りをする場合は、画面をLEDライトとして使うことができ、色温度を自在に変更できる。
背面のLEDライトも色温度を変えることが可能なほか、光の強度も調節できる。ある程度明るい場所でも人物に近寄った時に肌の色を整える効果も期待できるだろう。LEDライトの調整はカメラアプリ内のライトのアイコンをタップ、スライドバーが表示されるのでそれを動かすだけと簡単だ。
実際にLEDライトの色を変えてポートレート撮影をした。もちろん普通に写真を撮影して、あとからレタッチしてもいいだろうが、V40ならば撮影時に実際の肌や背景の色を確認しながらライティングを調節することが可能であり、撮影後のひと手間も不要になる。
こちらはフロントカメラを使った自撮り例だ。画面のライティングは白色で撮影した。