【まとめ】通信会社がモータースポーツを支援する意義
日本において、野球やサッカーに比べるとマイナーと言わざるを得ないモータースポーツ。そのモータースポーツを日本のインフラ企業が積極的に支援する意義とは何なのだろうか?
まず、通信会社がサーキット全域に5G通信環境を整備することで、観客は自席で快適に動画視聴や情報取得ができ、リアルタイムでレースに集中して楽しめる。これにより、従来より現地観戦の課題だった「通信がつながりにくい」「レースの状況がわからない」という不満を解消しつつ、ファンの満足度やレースそのものの価値向上に直結するだろう。
さらに、高度な通信インフラは、レース運営や安全管理にも不可欠。無線通信やデータ伝送の安定化は、アクシデントが起きたときに関係者間の迅速な連絡や緊急対応の向上になる。
次に新しい観戦スタイルやサービスの実現だ。5Gを始め、先進通信技術を活用することで、ライブストリーミングやマルチアングル映像、AR/VRを使った観戦体験など、今までなかったサービスが得られるようになる。現地だけでなくサーキットに行けないファンもレースを楽しめるようになり、モータースポーツの裾野拡大に貢献する。サーキットは遠方にあるため、金銭的にもスケジュール的にもファンがみんな来られるわけではないという、最大の障壁が取り除かれるのだ。
また、モータースポーツは地元地域の理解が不可欠。モータースポーツ会場のDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)推進は、地域のスポーツ振興や経済活性化にも繋がる。通信インフラを整備することで、イベント時の観光促進や地域ブランド価値の向上にも繋がるだろう。
今回のインタビューでも関係者が語っていたが、通信会社がチームやイベントのスポンサーとなることで、ブランドの認知度向上や新規顧客の獲得が期待できる。また、社内コミュニティーが生まれたり、社員のエンゲージメントが向上するなど、インナーブランディング(社内でのブランディング)効果も生まれているようだ。
すでに通信と自動車は切っても切れない関係になっているが、それはモータースポーツでも同じで、通信環境を整備することで、モータースポーツの満足度があがり、通信会社としてもファン獲得や自社の技術をすぐにユーザーに体験してもらえるなど、共生関係になっているのである。