荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ”

10年ぶりに登場した高級コンデジ「ソニー RX1R III」は機動力高めで猫撮りに最適

文●荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

2025年08月14日 12時00分

隙間からしゅっと手を出しておもちゃを捉えた瞬間をゲット。AFはカメラ任せ。顔にだけピントがあって前後がほわっとぼけてるのが楽しいのだ。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 真夏の、しかも8月8日に新製品が発売されるってあまり聞かないのだけど、出ちゃいましたよ、ソニーの「RX1R III」。これには驚いた。なお、価格はソニーストアオンラインショップで65万8900円。

 RX1というのは2012年に発売されたRX1が初代機。RX1Rはそのバリエーション。初代機が2012年で2代目の「RX1R II」が2016年発売。そして2025年に3代目なのだ。間が空きすぎてて、新型が出るとは皆思ってなかったので驚いたというわけ。

 このRX1Rは35mm F2.0の単焦点レンズを搭載した、画質とコンパクトさを追求した高級コンパクトデジカメ。小さくてシンプルで高画質なのだ(その分価格も高いけど)。

四角くてシンプルでカール・ツァイスのレンズを搭載したRX1R III。約6000万画素のセンサーを持つハイエンドコンパクトだ

 Cyber-shotシリーズではあるのだけど、中身は最新のαシリーズ並なので、AFは速いしサクサク撮れるしもちろん猫瞳AF付ってことで猫を撮るのである。

 35mm単焦点で望遠に強いわけじゃないので、これは室内猫だなってことでいつもの「保護猫シェルターqueue」へ出動。製品写真と一緒に写っているミケから。前後のボケがきれいで階調も柔らかくて、さすがって感じ。

くつろいでるところにおじゃまして1枚。肉球のピンクもきれいに。消極的に撫でさせてくれるよい猫です。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 35mmって焦点距離が絶妙で、近い距離の猫を撮るのにいい。比較的軽いので左手でおもちゃを操りながら、右手で撮るって芸当も簡単である。

左手でおもちゃをあやつりつつ……白黒のハチワレを狙ってたら、横からキジトラ子猫が飛び込んできた瞬間の図。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 冒頭写真もそのパターンで遊びながら撮ったもの。足を怪我しているため治るまでケージに保護されている子猫がいたのである。その子が遊びたくてしょうがない顔をしてたのでちょっと遊んで上げたのだ。

 その猫と色は違うけど兄弟なのがこちら。ちょっと高いところにいるところをローアングルで。

おもちゃでいっぱい遊んだけど、この高いところに飛び乗ってちょこんとしてる姿が可愛かったのでそれを採用。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 人になれてて遊びたがる猫もいいけれども、この日は人になれておらず、近づくとにらみつける猫がいつものベッドから外に出て、撮りやすい場所にいてくれたのである。「これ以上近づくなよ」って感じで、にらみつける顔がカッコよかったのでギリギリまで近づいて1枚。

じとっと睨んでる顔がいいキジトラ。近づくんじゃないよといってるので近づきません。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 もう1匹、近づくと必ずシャーッと威嚇していた猫もケージから外に出て、ガラス窓に吸盤で張り付いたベッドにいたのだ。近づくと睨むけれども威嚇はしなくなってた。

 シェルターのスタッフさんに聞くと、相変わらず撫でさせてはくれないけど、威嚇はしなくなったそうだ。ちょっとは警戒心も薄れてきたのかも。

この猫の名前は覚えてる。「わさび」。シャーッと威嚇はしなくなったけど、睨み顔は変わらない。この表情もまたよし。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 そしてもう1匹。こちらもまだ人になれてなくて、目を合わせてくれないふさふさ猫がいるのである。いや、人にはなれているそうなのだけど、まだシェルターにはなれていないようで、不用意に近づくと猫パンチが飛んでくる。でも、このふさふさっぷりを撮りたいなと思ってシャッターを切った1枚。

よく見ると蛇口のステンレスに目が映ってるのがミソ。カメラ任せのフォーカスだったけど、いい感じに合ってくれた。2025年8月 ソニー Cyber-shot RX1R III

 さてカメラの話。このカメラ、絞り開放で撮るとほどよく柔らかくてい綺麗なぼけの描写を楽しめるのだ。めちゃ高級なお値段なのでおいそれとは買えないけど、絞りリングと電子ダイヤルでマニュアル露出を楽しみつつ撮るのが楽しい。

 カッコよくてよく映るカメラなのである。趣味の高級猫スナップカメラである(もちろん猫以外を撮ってもいいのだけどね)。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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