Pixel 10はグーグルの最新AI&CPUの組み合わせで最強進化!

100倍ズームがスゴすぎる「Pixel 10 Pro」はカメラ以外のAI機能も充実 (2/2)

文●佐野正弘 編集●ASCII

2025年08月28日 09時00分

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先読みして情報を提示する「マジックサジェスト」が追加

 Pixel 10 Pro、ひいてはPixel 10シリーズは、カメラ関連以外でもAIを活用した新機能の多くが、最初から日本語で利用できる。PixelシリーズはAIを強く打ち出しながらも、カメラ以外のAI関連機能は発売当初は日本語で利用できないものが多かっただけに、この点は大きな進化ポイントといえるだろう。

 そうした新機能の1つが「マジックサジェスト」だ。これは「Gmail」「Googleカレンダー」などスマートフォンやアプリの情報をもとに、ユーザーが必要な時に必要な情報を先回りして提示してくれるもの。たとえばメッセージアプリでやり取りしている相手から明日の予定を聞かれた際に、カレンダーアプリを提示して予定を確認しやすくしてくれたりする。

「Gmail」などアプリの情報を基に、必要な場面で情報を提示してくれる「マジックサジェスト」。たとえば相手から特定の日付に関するメッセージが届いたら、返信に必要な情報やアプリを自動で提示してくれる

 ただマジックサジェストが機能するシーンは、フライトや宿泊予約、具体的な場所や時間の指示やデータがある場合に限られるし、利用できるアプリも、現在のところは「電話」「メッセージ」「Gboard」などグーグル製のアプリに限られている。日本であれば「LINE」など、広く普及しているサードパーティー製アプリへの対応が進んでいない点は、どうしても惜しいと感じてしまう。

 また、マジックサジェストはオンデバイスでAI処理する関係上、対応するアプリから事前に情報を取得する必要がある。設定からマジックサジェストをオンにすることで、対象とするアプリから自動的に情報の取得や更新はなされるのだが、最初のデータ取得には時間がかかるほか、その後のデータ更新にも約24時間を要することから、登録したデータがすぐ反映されるわけではないことに注意だ。

マジックサジェストの利用にはアプリ内のデータ取得・更新が必要。設定画面で更新状況は確認でき、どのアプリから情報を取得するか選ぶこともできる

 ほかにも外国語との音声通話をAIで通訳し、それを話した人の声で伝えてくれる「マイボイス通訳」など、Tensor G5のパワーを活用したAI関連機能は多く提供されるのだが、発売前ということもあって実際の利用はできなかった。発売後は順次対応が進むと考えられるだけに、今後に期待したい。

 なお、従来提供されている「Gemini Live」や「かこって検索」などは継続して利用できるほか、新たに「NotebookLM」のアプリが標準でプリインストールされたことも、大きな変化といえるだろう。執筆時点では確認できなかったが、Pixel 10シリーズではレコーダーアプリで文字起こししたテキストをNotebookLMに直接取り込めることから、よりNotebookLMを活用しやすくなるのではないだろうか。

人気が高まっているグーグルのリサーチアシスタントツール「NotebookLM」がプリインストール。用意した資料の概要をポッドキャスト風の音声にして聴ける、人気の機能も利用可能だ

ゲーミング性能は抑え目も
国内で安定して使える性能

 では、AI以外の実力はどのようなものか。チップセットはここまで触れてきた通りTensor G5、メモリーは16GBでストレージは256/512GBとなるが(モデルによって異なる)、気になるのはTensorシリーズの弱みとされてきたCPU、GPUの性能だろう。

 発売前ということもありベンチマークは実行できなかったので、主要なゲームで確認してみたが、大抵のゲームは問題なくプレイできる性能を持つ点は従来のTensorシリーズと変わらない。ただ、クアルコムの「Snapdragon 8 Elite」搭載機種などと比べるとやはり性能が落ちる印象で、ゲーミングには依然課題がある。

「原神」のグラフィック設定を確認すると、デフォルトで「中」。最近のハイエンド向けチップセット搭載機種では「高」となることが多いだけに、ゲーミングに関しては依然弱さがある

 それ以外の性能について確認すると、バッテリーは4870mAhと、Pixel 9 Pro(4700mAh)と比べやや増えているものの、5000mAhが一般的となりつつある昨今では少なめとも言える。一方で、従来と同様にIP68の防水・防塵性能とFeliCaにも対応していることから、国内での利用には過不足ない。

 そして通信に関しては、SIMスロットがある通り物理SIMとeSIMのデュアルSIM構成で、従来通りデュアルeSIMでの運用も可能だ。携帯4社から発売されるだけあって、4.5GHz帯(バンドn79)など5Gの主要周波数帯にも対応するが、ミリ波は非対応となっている。

【まとめ】AI強化はうれしいが
128GBモデルがないのが悩ましい

 まとめると、Pixel 10 ProはPixel 9 Proと比べデザインやハード面での進化は限定的であるものの、Pixel 9シリーズでは日本語対応が遅れたAI関連の新機能が、最初から充実した状態で提供されることは大きな進化といえるだろう。PixelシリーズはAIを売りとしているだけに、発売当初からマジックサジェストをはじめとした多くのAI関連機能が利用できることは、AIのアピールに大きくつながるのではないだろうか。

 悩ましいのが、国内では128GBモデルが姿を消したため、価格が17万4900円からとなってしまったこと。128GBモデルが用意されるのは下位の「Pixel 10」のみだが、こちらも性能は控え目とはいえ新たに望遠カメラが搭載され、マジックサジェストなど多くの機能は共通して利用できるにもかかわらず、価格は12万8900円とかなり安くなる。将来のAI機能強化や100倍ズームなどに強いこだわりがない限り、積極的にPixel 10 Proを選ぶモチベーションが弱くなってしまったのが残念だ。

  Pixel 10 Pixel 10 Pro Pixel 10 Pro XL
価格(税込) 12万8900円(128)
14万3900円(256)
17万4900円(256)
19万4900円(512)
19万2900円(256)
21万2900円(512)
ディスプレー 6.3型有機EL
(20:9)
60~120Hz対応
6.3型有機EL
(20:9)
LTPO 1~120Hz対応
6.8型有機EL
(20:9)
LTPO 1~120Hz対応
画面解像度 1080×2424 1280×2856 1344×2992
サイズ 72×152.8×8.6mm 72×152.8×8.6mm 76.6×162.8×8.5mm
重量 204g 207g 232g
CPU Google Tensor G5
内蔵メモリー 12GB 16GB
内蔵ストレージ 128/256GB 256/512GB
外部ストレージ ×
OS Android 16
対応バンド 5G:サブ6(n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26
/28/30/38/40/41/66/71/75/77/78/79)
4G LTE:1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19
/20/21/25/26/28/29/30/32
/38/39/40/41/42/48/66/71/75
W-CDMA:1/2/4/5/8
4バンドGSM
無線LAN Wi-Fi 6E Wi-Fi 7
カメラ画素数 48メガ(1/2型、
マクロ、OIS)
+13メガ
(超広角)
+10.8メガ
(光学5倍、OIS)
/イン10.5メガ
50メガ(1/1.3型、OIS)
+48メガ(超広角、マクロ)
+48メガ(光学5倍、OIS)
/イン42メガ
バッテリー容量 4970mAh
(30W対応)
4870mAh
(30W対応)
5200mAh
(45W対応)
Qi ○(Qi2、最大15W) ○(Qi2、最大25W)
FeliCa/NFC ○/○
防水・防塵 ○(IP68)
生体認証 ○(画面内指紋+顔)
SIM nanoSIM+eSIM(eSIM×2)
USB端子 Type-C
イヤホン端子 ×
カラバリ Indigo、Frost、Lemongrass、Obsidian Moonstone、Jade、Porcelain、Obsidian

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