Pixel 10はグーグルの最新AI&CPUの組み合わせで最強進化!

Pixel 10シリーズを過去モデルと比較レポ! 最新のグーグル製AIが使えて利便性は大幅アップ

文●山本 敦 編集●ASCII

2025年08月28日 02時00分

 グーグルの新しいGemini搭載Androidスマホ、「Google Pixel 10シリーズ」を発売前に試しました。新しい生成AI関連の機能や、2024年モデルとの比較にも触れながら実機をレポートします。

Pixel 9と比べたデザインの変化
加工など細かい部分が変わった

 今回は8月28日に発売を迎えるハイエンドモデルの「Google Pixel 10」、フラグシップモデルの「Google Pixel 10 Pro」と「Google Pixel 10 Pro XL」を試しています。

2025年の新しいPixel 10シリーズから、先行発売されるPixel 10、Pixel 10 Pro、Pixel 10 Pro XL(写真左から順に)の実機をレポートします

 いずれもグーグルが2024年に発売したGoogle Pixel 9シリーズの後継モデルです。サイズはPixel 10とPixel 10 Proが約6.3型、Pixel 10 Pro XLが約6.8型。新色を加えていますが、外観のデザインは背面のシンボルロゴが煌めくメタル素材になったこと以外、Pixel 9とほぼ変わっていない印象を受けました。

 本体メインフレームの素材はリサイクルアルミニウム素材で、Proが光沢感のあるポリッシュド加工、Pixel 10はつや消しのブラッシュド加工です。

左がPixel 10、右がPixel 9。よく見るとカメラのレンズの数が違うことから、3機種の中では一番見た目の区別が付きやすいかもしれません

 ケースもPixel 10シリーズ専用です。背面カメラバンプの位置と形状が似ていたので、試しにPixel 9 ProのケースをPixel 10 Proに装着してみたところ、見た目がキツめですがなんとか付きました。

 ただ、新しいPixel 10シリーズの専用ケースはマグネットで固定できるQi2互換のPixelsnapアクセサリーです。ワイヤレス充電器のパフォーマンスを最大に引き出すためにもPixel 10シリーズの新アクセサリーに買い換えた方が良さそうです。

Qi2規格に準拠した新しいPixelsnapアクセサリーの専用ケース

 ユーザーインターフェースのデザインは新しい「Material 3 Expressive」にアップデートされています。スマホ本体の柔らかくラウンドしたコーナーの形状を、Google純正アプリを含むボタンやアイコンなどインターフェースの各所にも活かして、リズミカルな操作感を生み出しています。もっとも、見た目の変化はアップルが秋に正式公開するLiquid Glassデザインほどには大きくないです。

右側がPixel 10シリーズの新しい「Material 3 Expressive」。ラウンド形状を少し強調したデザインになりました

 ロック画面には、ユーザーが自身で撮影した人物やペットなどのポートレートを配置して、アニメーション効果などが付けられる「ライブエフェクト」機能を新設しています。さらにPixel 10 Proシリーズには「常に表示状態のディスプレイ」に、壁紙として設定した画像のボケ味を加えて、ロック画面にカラー表示ができる機能も加わります。

ロックスクリーンにアニメーション効果が付けられる「ライブエフェクト」の機能を追加

 大画面のPixel 10 Pro XLは、内蔵するスピーカーユニットを強化して、ステレオ再生の音質を高めています。聴き比べてみましたが、低音を中心にサウンドの量感はPixel 10の方が増しています。ただ、音の出口となるスピーカー部のスリットが、新世代の機種も変わらずトップは正面、ボトムは側面に向いているため、音像定位の抜け感がもうひと声ほしい感じです。

左側がPixel 10 Pro XL。ボトム側はスピーカーからの音の出口となる、スリットのデザインが変更されています。SIMカードスロットも本体の上部に移動しています

Google自慢のAIやカメラの新機能が充実

 Google Pixel 10シリーズは、グーグル独自設計による最新のSoC「Google Tensor G5」を搭載しています。さまざまなAI機能のオンデバイス処理も快速にこなせるように、チップに含まれるTPUのパフォーマンスに合わせてGoogle DeepMindのエンジニアがデバイスに搭載するGemini Nanoのモデルとの最適化を図っています。

 今回は発売前に実機を試したためか、筆者が取材をした時点ではまだGeminiが関わる生成AI系の機能のすべてがフル稼働していないように見えました。なので、試すことができたものを報告します。

 純正カメラアプリに加わる「カメラコーチ」は、Pixel 10シリーズで写真を撮影する際に構図設定をサポートしてくれる機能です。被写体をバランスよく写真のフレーム内に収めるのが苦手という方は、AIのナビゲーションに沿って写真を撮れば悩みが解消されるかもしれません。カメラアプリを起動して、画面右上に表示されるカメラのアイコンをタップするだけです。

Pixelのカメラによる写真撮影の構図づくりをサポートしてくれる「カメラコーチ」。なお、カメラコーチはPixel 10がネットワークにつながっていないと使えません

 筆者も試してみました。写真の勉強にもなる面白い機能ですが、シャッターを切るまでに数ステップの手順を踏む必要があります。ゆえに人間やペットなどの被写体は、カメラを構えてからシャッターを切るまでの「間」にイラっとしてしまいそうです。最初は花や建物など、静物の撮影から試すのがよいでしょう。

 Pixel 10 Proシリーズは最大100倍デジタルズーム撮影時に、粗っぽくなる写真のディティール情報を自動で補ってくれる「超解像ズームPro」が使えます。デジタル30倍以上の高倍率ズームで撮影した写真はこの機能の対象になります。

 「フォト」アプリから写真を選択すると、後処理加工で超解像ズームProがかけられます。超高倍率の100倍ズーム時はディティール補完が不自然になることもありますが、明るい場所で撮った写真には概ねよい効果が得られました。

遠くを飛ぶJALの飛行機を100倍ズームで撮影。ディティール補正の結果、ロゴや窓の形状がやや不自然になるものの、機体のかたちはシャープに再現されます

 今年のモデルは末弟のPixel 10も、望遠カメラを足したトリプルレンズカメラを搭載しました。光学ズームは5倍対応。デジタルの超解像ズームはPixel 9の8倍から、Pixel 10は20倍にジャンプアップしています。被写体に近接できるマクロ撮影にも対応しています。

Pixel 10にも望遠カメラを追加。トリプルレンズ搭載になりました

 Pixel 10 Pro XLとPixel 10でディナーを撮り比べてみました。Proの写真解像度設定は標準の12.5MPから変えていません。Pixel 10の写真は全然負けていないと思います。

Pixel 10で撮影した写真(左側)とPixel 10 Pro XLの写真(右側)。実力差はほぼ感じられません

 Proの方には上級者向けのカメラ制御が可能になる「Pro設定」や、8Kビデオ撮影の機能などがあります。これらに強いこだわりがなければ、Pixel 10は手軽にきれいな写真が撮れるスマホだし、グーグルならではのAIフォト機能にも遜色がありません。2025年モデルは“無印”のPixel 10のオトク感が、これまでよりもさらに強く感じられると思います。

 ほかにもPixel 10シリーズは、スマートフォンとして初めてC2PAコンテンツクレデンシャルを内蔵しました。C2PAとは、デジタルコンテンツに「誰が・どのように作ったか」という来歴と信頼性に関するメタ情報を付与して、フェイク画像の拡散を防止する可視化向上のための国際標準規格です。

 Pixel 10シリーズで撮影した写真をフォトアプリで選択して、画面を上方向にスワイプすると写真データのメタ情報が表示されます。そこから画面を下にスクロールすると「作成方法」として、Pixel 10シリーズのカメラで撮ったことや、AIツールで編集・エンハンスしたことを明示する情報が確認できます。同じメタ情報は、C2PAに対応するアドビのフォトショップなど、デジタル写真編集アプリケーションからも見られます。

Pixel 10シリーズで撮影したことや、AIフォト編集機能の履歴が各データに書き込まれます

AIで「音楽を作成」するレコーダーの新機能

 そしてもう1つ、筆者のようなライター業に携わる方々の“強い味方”であるGoogle Pixel純正の「レコーダー」アプリがGeminiのAIパワーでさらに進化しました。注目したい「使える機能」と「楽しい機能」が1つずつあります。

 使える機能は、音声からテキストに起こしたデータを「NotebookLMに共有」する機能です。Pixel 10シリーズにNotebookLMアプリを導入しておけば、レコーダーアプリから数ステップでNotebookLMに文字起こしの結果を転送して、テキストの整理整頓や要約ができます。録音内容をポッドキャストの番組のようなオーディオコンテンツに仕上げてくれる「音声解説」を生成する作業も、1台のPixel 10だけでスムーズに完結します。生成された音声解説を、仕事の合間の移動時間にイヤホンで聴ける手軽さも魅力です。

NotebookLMで「音声解説」を生成すると、インタビューの記録音声などをポッドキャストの番組を楽しむように聞き直せます

 楽しい機能は、録音した音声にレコーダーアプリ上で背景BGMを足して「音楽を作成」する機能です。仕事のインタビュー音源にBGMを足しても「なんのこっちゃ?」ですが、試しにGeminiに書いてもらったリリックに、リズムを付けて朗読した音声ファイルを元に「音楽を作成」してみました。すると、そこそこにクールなラップ調の楽曲に聞こえます。おそらくベースにはGoogle DeepMindが開発する音楽生成AIモデル「Lyria」があるのでしょう。

 筆者にはこの機能の遊び心がとても刺さりました。今後もぜひ、楽器など演奏した音を「多重録音」できる機能などを拡充してもらいたいです。

 上の動画は、Pixel純正レコーダーアプリでオリジナルの「音楽を作成」してみました。筆者が愛する出身地、千葉県のアンセムです。

Geminiが先読み提案してくれる「マジックサジェスト」

 Pixel 10シリーズが搭載する「マジックサジェスト」は、Geminiがユーザーの“したいこと”や“すべきこと”を先読みしながら提案するAIエージェント機能です。

 マジックサジェストを利用するために、まず端末の「設定」から「マジックサジェスト」を選択して、「情報や操作を提案するためのデータソース」のメニューに並ぶ「基本データを使用する」と「最近の画面アクティビティのデータを使用する」にそれぞれチェックを入れます。すると、ユーザーがPixel 10を使ってメールや電話、メッセージ、スクショの情報などを端末が参照して、Geminiが文脈(コンテクスト)を読み取りながら関連した提案を提示します。

 たとえば筆者が「●●さんの電話番号を教えて」という内容のメッセージを受けると、連絡帳に登録のある電話番号であれば、Geminiが返信メッセージに番号を素速く提示してくれます。

「マジックサジェスト」を使うためには、最初に本体の設定からユーザーの個人情報へのアクセスを許可します。電話帳に登録されている電話番号を返信するように、マジックサジェストが提案してくれます

 この機能はGmailやGoogleカレンダーなど、Googleサービスで日ごろからパーソナルな情報を管理している方はより明らかな便利さが実感できるかもしれません。筆者はグーグルのサードパーティーのサービスばかりを使っているので、Geminiがサジェストしてくれる場面にまだあまり出会えていません。もう少し使い込んでみようと思います。

Pixel 10が先攻。新iPhoneとの対決に注目

 Pixelシリーズのエコシステムには、スマートフォンから少し遅れて新しいスマートウォッチの「Google Pixel Watch 4」やワイヤレスイヤホンの「Google Pixel Buds 2a」も加わります。それぞれにまた別途レポートしたいと思いますが、Pixel 10シリーズのスマホに対応するQi2準拠の新しい「Pixelsnapアクセサリー」が充実することも大きなニュースです。

 マグネットでしっかりと固定されるワイヤレス充電器など、グーグル純正のアクセサリーが揃うほか、Qi2のベースになったアップルのMagSafe対応のアクセサリーも使えるようになります。たとえばスマホの背面に装着できるポータブルバッテリーやポータブルストレージなど、MagSafe対応アクセサリーはすでに多くの製品が充実しています。

 Pixel 10シリーズのユーザーがMagSafeアクセサリーのエコシステムの恩恵を受けられることは大きなメリットになると思います。

アップルがiPhoneのアクセサリーとして発売している、MagSafeワイヤレス充電器が使えます

 Pixel 10シリーズは、2024年にグーグルが発売したPixel 9シリーズから価格が据え置かれました。Googleストアで販売される最小ストレージモデルの価格は、Pixel 10が12万8900円、Pixel 10 Proが17万4900円、Pixel 10 Pro XLが19万2900円です。

 8月末時点、アップルがApple Storeで販売しているiPhone 16シリーズの価格を、Pixel 10シリーズと同じストレージサイズのモデルどうしで比べてみます。iPhone 16は124,800円、iPhone 16 Proは174,800円、iPhone 16 Pro Maxは189,800円です。iPhoneの現行モデルに比べると、Pixel 10との価格差は大きくありません。

 「魅力的なAI機能を満載している」ことにおいては、この秋の新モデルとして先攻を取ったPixel 10シリーズが強いインパクトを打ち出しました。9月10日深夜の発表が期待されている、後攻アップルの新しいiPhoneがどんなスマホになるのか、価格も含めて大いに注目です。もっともiPhoneを待たずにPixel 10シリーズを買ってしまうのも全然アリだと思います。

  Pixel 10 Pixel 10 Pro Pixel 10 Pro XL
価格(税込) 12万8900円(128)
14万3900円(256)
17万4900円(256)
19万4900円(512)
19万2900円(256)
21万2900円(512)
ディスプレー 6.3型有機EL
(20:9)
60~120Hz対応
6.3型有機EL
(20:9)
LTPO 1~120Hz対応
6.8型有機EL
(20:9)
LTPO 1~120Hz対応
画面解像度 1080×2424 1280×2856 1344×2992
サイズ 72×152.8×8.6mm 72×152.8×8.6mm 76.6×162.8×8.5mm
重量 204g 207g 232g
CPU Google Tensor G5
内蔵メモリー 12GB 16GB
内蔵ストレージ 128/256GB 256/512GB
外部ストレージ ×
OS Android 16
対応バンド 5G:サブ6(n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26
/28/30/38/40/41/66/71/75/77/78/79)
4G LTE:1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19
/20/21/25/26/28/29/30/32
/38/39/40/41/42/48/66/71/75
W-CDMA:1/2/4/5/8
4バンドGSM
無線LAN Wi-Fi 6E Wi-Fi 7
カメラ画素数 48メガ(1/2型、
マクロ、OIS)
+13メガ
(超広角)
+10.8メガ
(光学5倍、OIS)
/イン10.5メガ
50メガ(1/1.3型、OIS)
+48メガ(超広角、マクロ)
+48メガ(光学5倍、OIS)
/イン42メガ
バッテリー容量 4970mAh
(30W対応)
4870mAh
(30W対応)
5200mAh
(45W対応)
Qi ○(Qi2、最大15W) ○(Qi2、最大25W)
FeliCa/NFC ○/○
防水・防塵 ○(IP68)
生体認証 ○(画面内指紋+顔)
SIM nanoSIM+eSIM(eSIM×2)
USB端子 Type-C
イヤホン端子 ×
カラバリ Indigo、Frost、Lemongrass、Obsidian Moonstone、Jade、Porcelain、Obsidian

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