arrowsシリーズの堅牢性を支える地下の実験室で地道なテストの数々を見てきた (1/2)

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年08月29日 14時00分

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 arrowsシリーズでおなじみのFCNTが、スマートフォンに関する地下実験室をメディア向けに初公開しました。電波や洗う実験などスマートフォン全般をテストする場所なのですが、なぜ地下なのかにも理由があるので詳しく見ていきましょう。

 同社最新モデル「arrows Alpha」での堅牢性や防水性、MIL規格準拠の仕様は、この実験を経てできあがったのです。

堅牢性を確認する落下テストは
さまざまなシチュエーションで耐久性を測る

テスト1 1.5mコンクリート面落下試験:

  まずは落下試験から。専用装置で1.5mの高さからスマートフォンをコンクリートに向けて落下させ、MIL-STD-810G規格が定める6面+12稜(角や隅)+8角(かど)の合計26方向から落下させます。コンクリートに叩きつけられてもディスプレーは割れませんでしたし、問題なく動きましたが、さすがに表面には傷が入っていました。

1.5mの高さにスマホをセットし、落下させます

 なぜ1.5mなのかと言うと、人が通話のために耳に当てたときの高さがだいたい1.5mなのだとか。

 また、10cmの高さから6面+4稜の計10方向×1200回(合計1万2000回)もの落下を繰り返すテストもしています。

繰り返し落下試験の装置

テストを経ても、このようにしっかり動きます

多少の傷は入りましたが、動作には問題ありませんでした

テスト2 尖った物体の落下試験

 円錐やV溝ビットと呼ばれる先端が尖った鉄の塊をディスプレーに落下させる試験で、見るからに痛そうです。円錐落下試験では尖った円錐を60cmの高さからディスプレーに落下させ、割れないかを調べます。実際にやってもらいましたが、割れることなく、傷も目視できないレベルでした。

このように円錐を落とします

ディスプレーは無事です。傷も見えません

 また、V溝ビットの落下試験では、最も脆い部分と言われるディスプレーとサイドのフレームの間(エッジ部分)に落とし、強度を調べます。こちらも、フレームには多少の傷が入ったものの、画面表示には問題ありませんでした。

これがV溝ビットの落下試験。スマホの弱い部分に直撃です

傷は付くものの、普通に使えてしまいました

テスト3 曲げたりねじったりする試験

 3点曲げ試験と呼ばれる、スマホを折り曲げるテストです。本体の両端を保持し、中央に圧力をかけて耐久性を試験します。ズボンの後ろポケットにスマホを入れて座ってしまった場合などを想定しています。パキっと折れてしまうようではダメですからね。ねじり試験ではその名のとおり、スマホ本体をねじって圧力をかけるテストです。バッグやリュックの中にスマホを入れておくと、どんな圧力がかかってるからわかりません。

そのほか、このような耐久試験があります

電源ボタンの耐久性もテストします

テスト4 ハンドソープ丸洗い試験

 arrowsシリーズの特徴の1つである「ハンドソープで丸洗いできる」。これも過酷なテストの結果、搭載されているのです。

人力でひたすら洗います

 普通の流し台で、“人力で”1000回以上丸洗いをします。もちろん、1人でやるわけではなく、交代制だそうです。ただ人によって洗い方がバラけるといけないので、液体量や浸漬時間、洗浄時間といった条件を厳しく管理しています。ちょっと面白かったのが、何回洗ったかを壁に貼ってある紙に「正」で記録していくところ。なぜここだけアナログなのか、そもそも1000回以上洗うなら正の字じゃ計算しづらいんじゃ……と思いましたが、自動化が難しいからだそうです。

洗い終わったら「正」の字で記入します。数えるのも大変ですね

 こちらの試験では、洗ったあとにUSBポートが正しく動作するのか、水が本体内に入っていないかなどを確認します。もし何かあれば分解してチェックし、原因究明のためさらに数千回洗うことになると言います。高い防水性能を支える地道な努力を物語っています。もしかしたら一番過酷な試験かもしれません。

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