arrowsシリーズの堅牢性を支える地下の実験室で地道なテストの数々を見てきた (2/2)

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年08月29日 14時00分

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スピーカーからバッテリー、電波まで!
スマホの基本性能の試験も実施

 この地下実験室では、耐久性のテストだけでなく、スマホの基本性能に関する試験も実施されています。

オーディオ関連試験

 スマホのマイクやスピーカーのノイズキャンセル性能のテストが防音室で行なわれます。この日はデモンストレーションとして、防音室とその外で通話し、防音室の中では新幹線が走っているレベルの騒音の中で会話をしました。防音室の中では、このうるさい環境で相手が聞き取れているのか心配でしたが、外で聞いてみると周りの騒音は一切聞こえず、相手の声だけが聞こえました。これはarrowsの標準機能だそうです。

防音室の中

スマホを取り付ける実験装置

中と外で通話のデモ。防音室の中はかなりの騒音です

ライターの島氏いわく「まったく騒音は聞こえず、声がハッキリ聞こえた」とのこと

バッテリー試験

 急速充電の試験です。過去モデルのarrows Weと最新モデルのarrows Alphaの充電速度の比較で、arrows Alphaは同梱される90W充電器を使って、約15分ほどで50%を超えていたのが確認できました。

充電スタートした直後。すでに差が出ています

15分後、arrows Alphaは53%まで充電されていました

ネットワーク試験

 この試験では地下に実験室があることのメリットが存分に活かされています。それは、地下ゆえ外部の電波が届きにくいから。近距離無線通信(FeliCa)の試験では、さまざまなリーダーを使っての認識テストが行なわれます。たとえば、JRのグリーン車に乗るときに、天井にあるリーダーにピっとスマホをかざしますよね? それとまったく同じ環境を作って、自席のリーダーにかざしたときに隣のリーダーが誤反応しないよう、ミリ単位で部品の配置を調整しているのだとか。

地下だけど天井がかなり高くなっています

FeliCa(おサイフケータイ)のリーダー

JRのグリーン車に設置されているリーダー

 FeliCaはお金を扱うものなので、無駄に電波が広がってしまってもいけません。手のひらくらいの距離しか飛ばないよう、最新の注意を払ってチューニングしているのです。

FeliCaの電波の飛ぶ範囲はこの手のひらくらい

 次はトゲトゲがインパクトの電波暗室での試験です。特別な装置を使ってスマートフォンを360度回転させ、電波の放射をモニタリング。端末を手に持った時や通話時に耳に近づけた時の電波特性を評価します。昔は人が中に入って、この試験をしていたそうです。中に入る人のことを思うと……技術が進歩してよかった。

電波暗室の中

このようにスマホを取り付けて360度回転させる

一瞬ビックリしますが、これも電波暗室の実験機材です

このような結果が出ます

 余談ですが、この暗室の横はぽっかり空いたスペースになっていました。担当者に話を聞くと、地デジやワンセグ用の暗室もあったのですが、時代の流れで撤去されたとか。

かつて、ここにはワンセグなどの電波暗室があったそうです

【まとめ】FCNTの歴史の中で
試験内容も時代に合わせて進化している

 FCNTでは、落下した端末の外側だけでなく、内部にもダメージがないかをチェックするなど、堅牢性だけでなく安全性にもこだわっていることがわかりました。同社はフィーチャーフォン時代(富士通時代)から本体の堅牢性には定評があり、スマホ時代に突入してからはディスプレーの割れにくさなどが重要視されるようになり、試験内容も時代に合わせて変えていると言います。

富士通からFCNTになっても基本コンセプトはぶれません

レノボ傘下で再出発したFCNT。今後の展開にも注目です

 FCNTの地下実験室は、単なる試験施設ではなく、arrowsブランドが誇る「壊れにくい」という信頼性と安全性を、徹底的な試験と開発メンバーの献身的な努力によって具現化している場所であると言えるでしょう。手作業によるアナログな検証から最先端の電波測定まで、多岐にわたる試験がこの特別な空間で行なわれ、それが高い堅牢性を誇る最新モデル「arrows Alpha」となってユーザーに提供されているのです。

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