カメラ性能はMagic V5が圧勝
フラッグシップクラスの性能
今回のレビューは香港で8月6日に行なわれた香港向け発表会で実機を撮影した。あいにく大雨の中での開催だったため、屋外での写真撮影をすることはできなかった。とはいえ、前述したように5000万画素クラスのトリプルカメラの搭載は他社のフラッグシップモデルに匹敵する。
HONORのカメラUIは旧ファーウェイ時代の流れをくんでおり、ファーウェイ製品に近い。静止画はデジタルで最大100倍にも対応し、AI補正も行なわれる。望遠カメラはテレマクロ撮影も可能だ。動画の最大録画画質は4K 60fpsとなる。
実機での作例を撮ることはできなかったが、発表会ではGalaxy Z Fold7との撮影比較例がいくつか披露された。特に大きな差が出るのは超広角、3倍望遠カメラで、特に望遠では夜景撮影時も光がにじむことなく、照明などもしっかりと表現できる。しかも、3倍だけではなくデジタル10倍や30倍でも大きな差がみられた。Magic V5はカメラフォンとしても十分使えるのだ。
3つのアプリを切り替えできる優れたUI
折りたたみスマートフォンは今や大手メーカー各社が手掛けているが、ハードウェア性能以上に差が出るのがソフトウェアの部分だ。特に開いたときのほぼ正方形のメインディスプレーをどのように活用できるかで、使い勝手には大きな差が出る。Magic V5は新たに画面の「縦3分割」表示に対応した。
2分割や3分割表示をする場合は、メイン画面のクイックツールバーの「クイックレイアウト」をタップ。すると2分割または3分割の表示がポップアップする。ここで3分割を選ぶと、3つのアプリを順番に起動させ、同時に表示できるのだ。ただし、3つのアプリが同時に縦に並ぶのではなく、「1つの若干隠れた画面」「2つの縦長画面(スマートフォンの一般的な表示サイズ)」が並ぶ。
隠れている部分をタップやドラッグすれば、それを含む2画面表示が可能となり、逆に反対側のアプリが隅に隠れて見える。3つのアプリを切り替えて表示が可能であり、大きな画面を有効利用できるUIとしてなかなか優れていると感じられた。
さらに1つの画面だけを大きく表示することもできる。折りたたみスマートフォンでこのようなUIを搭載するのはMagic V5が最初となる。
ただし、実際に使ってみると、この3画面表示に対応していないアプリがかなり多く見られた。予想に反してグーグル系のアプリはほぼ対応しているが、HONOR独自のアプリ(設定画面を含め)は対応していないものも……。今後のアップデートで対応することを望みたい。
iPhoneや他社スマホにもワンタッチでファイル転送可能
Magic V5はファイル転送も大きく進化した。Androidスマートフォン標準のQuick Shareをグローバルモデルに搭載しているが、それだけではなくHONORのシェアアプリをiPhone、iOSデバイス、シャオミ、vivo、OPPOにインストールすると、AirDropのようにワンタッチでファイルを送受信できるのだ。なお、ファーウェイのスマートフォンとは標準でファイル送信に対応している。
実際にiPhoneに写真を送ってみた。あらかじめiPhoneにHONOR ConnectをApp Storeからインストールしておく。Magic V5で写真を選び、シェアを選択、画面には付近にあるiPhoneが表示されるのでタップする。
すぐにAirDropのようにファイルが直接送信される。送信速度は速く、Bluetoothなどのように時間がかかることはない。現時点で多くのメーカーのスマートフォンに直接ファイルを送れるのはHONORのスマートフォンの利点であり、Magic V5を選ぶ選択肢の1つになるだろう。
Magic V5はヨーロッパ各国で30万円前後、東南アジアでは2割ほど安く25万円を切る価格で販売されている。サムスンにとっては強力なライバルとなるが、折りたたみスマートフォンの認知度やユーザー層を大きく拡大する起爆剤になる製品だろう。折りたたみスマートフォンの性能・機能アップが今後さらに進んでいくに違いない。