【どっちが買い?】Apple Watchと「Google Pixel Watch 4」を比べて良いところを検証 (3/3)

文●山本 敦 編集●ASCII

2025年10月09日 02時00分

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Geminiを積極的に使いたくなるレスポンスの心地よさ

 Pixel Watch 4はWear OS版Geminiを搭載するスマートウォッチです。4G LTE、あるいはWi-Fi経由でネットワークにつながっている時にはウォッチ単体でGeminiを呼び出して、情報の検索、リマインダーの設定、届いたGmailの内容確認、フィットネス機能の音声操作などさまざまな使い方ができます。

Wear OS版のGeminiを搭載。クアルコムの最新SoCとArmのコプロセッサCortex-M55による機敏な動作を実現しています

 ウォッチのGeminiを呼び出す方法はいくつかあります。一番シンプルなのは右側のサイドボタンを長押しする方法です。頻繁にGeminiにリクエストすることが決まっていれば、タイルから「Geminiアクションを追加」してクエリに登録すると、ウォッチのGeminiに話しかけなくても画面タップだけで呼び出して答えを聞くこともできます。

クエリに登録するとタップ操作だけでいつものGeminiへのリクエストが素速く呼び出せます

 ウォッチを装着している手首を上げて、口もとに近づけるジェスチャー操作だけでGeminiを呼び出すこともできます。ジェスチャー操作を認識する感度はウォッチの設定から変えられます。

 実際に使ってみると、手首を上げて反応してくれないとイラッとくるし、逆に反応が鋭すぎると用もないのにGeminiを呼び出してしまいます。結局はサイドボタンを押すか、従来通り「OK Google」と話しかけて呼び出す使い方が筆者にはしっくりときました。

手首を持ち上げてGeminiを起動することもできますが、反応の鋭さをどのように設定するかが悩み所でした

 実機で試すと、ボタン操作等から呼び出した直後のGeminiのレスポンスがとても良いことに驚きます。リクエストを伝えてから回答が戻るまでの反応も良好です。ポケットからスマホを取り出さなくても、テクニカルタームや英単語の検索、電車やバスによる移動ルートを調べる用途などに役立ちました。

電車による移動ルートの検索などに活用しやすいでしょう

Apple Watchに負けない便利なアプリも揃う

 ほか、筆者がApple Watchでよく使うアプリは、Pixel Watch 4にもほぼ同じ使い方ができるものがあります。「心電図」=「Fitbit心電図」、「マインドフルネス」=「Fitbit Relax」などです。

 「Keep メモ」はPixel Watch 4から音声、またはソフトウェアキーボードを使ってメモを作成して、Googleアカウントで共有しながら内容を参照したり追記もできます。Apple WatchもwatchOS 26から「メモ」アプリが登場しましたが、作成したメモに追記ができません。こちらはPixel Watch 4の方に軍配が上がります。

Pixel Watch 4から入力したメモを、Googleアカウントを介して様々なデバイスで参照・追記できる「Keep メモ」がとても便利

 ライターの仕事に不可欠なPixelスマートフォンの「レコーダー」もウォッチに最適化されたアプリが標準搭載されています。Googleアカウントを経由して、ウォッチで録音したファイルが即座にスマホのレコーダーアプリに同期します。ウォッチ単体でできるのは録音まで。スマホで文字起こしを生成もできますが、“後から生成”すると精度がかなり落ちるので実用的ではありません。

 音声レコーダー機能の使い勝手がさらに良くなれば、Pixel Watchの優れた携帯性とあいまって、ビジネスツールとしての価値が向上します。グーグルにはぜひ改善に注力してほしいです。

音声レコーダーもさらに強化してほしいウォッチのアプリです

 Google Pixel Watch 4は、優れたスマートウォッチとして評価できます。しかし現状は対応しているスマホがAndroid 11以降のAndroidスマホのみです。日本で高いシェアを持つiPhoneとペアリングできない点は、大きな課題だと筆者は思います。

 現状、Apple WatchもAndroidデバイスに対応していないことから状況は「五分」と言えますが、追いかける立場にあるPixel Watchが、この壁を超えて積極的にiPhone対応を実現すれば、スマートウォッチ市場全体の競争軸が変わり、市場を活性化してくれるのではないかと筆者は期待しています。

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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