えーっと、今回は残念なお知らせからです。かなり悲しいお知らせ。なんと、2025年10月4日、うちの黒猫ミルが永眠してしまったのである。なんてこった。4歳半。想像だにしなかった年齢である。何があったのか。
死因は、肥大性心筋症による肺水腫、でいいのかな。前日、ちょっと様子がおかしいというので病院に連れて行ったら、移動中に悪化したらしく(移動時の緊張や興奮で悪化することはよくあるそう)、即緊急入院。
肺と胸に水が溜まってるというので処置をしてもらいつつ、詳細に検査をした結果、今まで見つかっていなかった肥大性心筋症が判明したのである。どうも先天性らしく、5歳くらいで発症するか、年を取ってから発症するかのふたつの山があると先生に言われたわけで、4歳半で発症というのは不思議ではないらしい。まさかそんな命にかかわる病気を抱えていたとは夢にも思わなかったよ。
4日朝、いったん症状が落ち着いたといわれて安心したら、その夜に容態が急変。あわててかけつけた1時間ほどあとに病院で息を引き取ったのだった。もっと早く医者に連れて行くべきだったとか(早く見つかれば心臓病の薬を飲みつつなんとか元気に過ごせたかもしれない)、もっと……が……だったとか毎回猫が亡くなると何かしら思い出しては悔やむわけだが、今回は若かっただけに青天の霹靂すぎて何がなんだかである。
前回、夜の寺猫写真が何枚かあったのは、ちょうどその時間、寺の境内にあるペット斎場でミルが荼毘に付されていたのである。落ち着かないので猫を撮ってたわけだね。
かくして、この連載で哀しみのお裾分けである。されても困るだろうが。
うちに来て、たった4年であるが、写真が大量にあるので今回はその振り返りその1。最初はこれ。ミルを撮った最初の写真だ。我が家にくる数日前のミル(このときはまだ名前はない)。
猫の保護をしている知人が、とある駐車場で猫が子供を産んでしまったので保護したいというので、相談を受けたのがはじまりだった。そこで一緒に様子を見に行ったら、ひょっこり顔を出してくれたのである。当初、うちに来る予定はなかったのだが、紆余曲折を経て、じゃあうちで引き取りましょうかとなったのである。
そして無事捕獲され、獣医さんのところで検査されて、1泊したあとにうちにやってきたのがその3日後。とりあえずケージでなれさせる。まだ顔が不安げ。
そして、黒の子猫がいかに危険かを目の当たりにすることになる。黒いので、物陰に隠れるとすぐ行方不明になるのだ。しかもなれない家だと、こわがって狭い隙間に入りたがるので大変なのだ。
感動したのはどんな暗い場所にいても、iPhoneが見つけてくれること。iPhoneのカメラを向けると、ちゃんと黄色い枠が出て猫と認識して、しかも写真を撮れちゃう。
今まで何匹か猫を飼ってきたけど、その中で一番厄介だったのがミル。何でも嚙むし何でも食べちゃう。ちょうどいいカゴがあったので入れてやると……破壊をはじめるという。
こんな調子で編んだ籠はかなりやられた。玄関にあったサンダルは嚙んでボロボロにするし、あるとき帰宅したらトイレのスリッパがなぜかリビングに転がってる。おかしいと思って猫チェック用にセットしてあったスマートカメラを見返すと、きちんと締まってなかったトイレに入り、スリッパをくわえて持ってきたシーンが記録されていた。
極めつけは深夜の紐食い事件である。
2022年6月のこと。目を離しているスキに、床に落ちてた紐を食べちゃったのだ。このときは深夜も受け付けている動物救急病院へ自転車で走り、緊急手術になった。幸い開腹はしなくて済んだけれども。そういえばこのときも、本当に紐を食べてしまったのか確認するためにスマートカメラの録画を見直したら、そのシーンがばっちり写ってた(深夜に愛猫が緊急手術! わが家のセキュリティカメラが決定的瞬間をとらえてた!)。
猫を飼っているみなさま、家を空けるときのみならず、常時ペット監視カメラを稼働させておくがよいですよ。最新のカメラならペット検出機能もついてるし。
さらにさらに、なんか動いてるものがあると攻撃するのである。あるとき、デジカメレビューの連写作例を撮ろうと、テーブルの上にプラレールをセットしてスイッチを入れた途端、モーター音を聞きつけてどこからともなく走ってきて、これである。ロマンスカーが黒い怪物に襲われて大脱線。
何にでも手や口を出すので目を離せなかった。床の上に間違って食べられては困る紐状のものは絶対に置かないとか、ストラップ類は片付けておくとか。
毎日のブラッシングに執着していたのも、ミルらしかった。毎日何度かやってきてはブラッシングをねだっていた。忙しくて放置しておくと、ブラシ置場の前でじっとそれを見つめて待ってる。そしてブラッシングしてやると、喜んだりもだえたりするのだった。
こうやって振り返ると、結構手間のかかる猫だったな。常に何かしらやらかしていたので、健康には気を付けていたのだが、まさか心臓に疾患を持っているとは夢にも思わなかった。
そして、体調不良になるちょっと前、iPhone 17 Proが届き、今度のiPhoneはインカメラの性能が上がっているようだ、ということで猫自撮りしたのがこちら。
かくして、ここ30年くらいではじめて家に猫がいない日々が始まった。なかなか慣れない。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/