Apple Musicは、iOS 26へのアップデートに伴い、ユーザーの音楽体験を革新的に進化させる複数の新機能を導入しました。音楽ファンが求める最高の体験を提供するため、音質、利便性、そして参加性の三つの柱を強化しています。
本稿では、アーティストとファンをつなぎ、まるで楽曲の中にいるかのような没入感を提供する、これらの新機能の詳細を紹介します。
音楽体験をシームレスに!
「オートミックス」と「ライブラリ強化」
音楽ファンにとって、ライブラリの利便性は非常に重要です。今回のアップデートでは、お気に入りの音楽にアクセスしやすくするため、最大6つのアイテム(アーティスト、プレイリスト、アルバムなど)をライブラリ内でピン留めできる機能が追加されました。これにより、ピン留めされたアーティストやアルバムの新しいリリースは、発売と同時にトップに表示されるようになります。
また、他社のストリーミングサービスからApple Musicへの移行をより容易にするため、他のサービスで作成したプレイリストをApple Musicのライブラリに簡単に追加できる機能も導入済みです。これは、設定メニューから音楽アプリのオプションを選択することで利用可能です。これで、SpotifyやYouTubeなどのライブラリを読み込めるようになります。
さらに、楽曲と楽曲の繋がりを滑らかにする「Auto mix(オートミックス)」機能が実装されました。これはAIを活用し、曲の属性を解析した上で、次の曲への移行において、いつビットをマッチングさせ、ストレッチさせるかを決定します。これにより、あたかもDJがノンストップでつないでいるかのようなシームレスな再生体験が実現します。この機能はデフォルトでオンになっているので、必要ないならオフにしましょう。
なお、再生体験を損なわないよう、クラシック音楽など特定のジャンルでは自動的に無効化されます。また、オートミックス中もハイレゾロスレスを含む高品質な再生が維持されます。
ホームパーティーやBBQなど、大人数で集まるときに流しておけば、DJイベントのようになりそうです。
プレミアム体験の基盤「空間オーディオ」
Apple Musicが提供するプレミアムサービスの根幹には、高品質なオーディオ体験があります。Apple Musicは、CDと同等かそれ以上の音質であるロスレスとハイレゾロスレスを提供しています。
特に没入感の鍵となるのが「空間オーディオ(Spatial Audio)」です。これは2021年頃から提供を開始している機能で、音をオブジェクトとして配置し、リスナーを取り囲むように響かせます。AirPods MaxやAirPods Proなど、Appleのエコシステム内で使用すれば、高額なステレオ機材がなくとも、ダイナミックな音場を体験できます。
海外だけでなく、日本のトップクリエイターから新人まで、多くのアーティストがこの空間オーディオでの作品提供を進めています。まだまだ対応楽曲は増えていくことでしょう。
言葉の壁を超える「歌詞の翻訳機能」
アーティストの楽曲の背後にある意図を理解し、その世界と繋がる上で、歌詞は非常に重要です。昔はアルバムのライナーノーツ(歌詞カード)などをむさぼり読んだ人もいるのでは? 最近はストリーミングが主流になり、そんな体験をしたことがない人もいると思いますが、どんなことを唄っているのかは知りたくなりますよね。
Apple Musicは、オーディオを聴いても言語が理解できない方のために、「歌詞の翻訳機能」を新しく導入しました。
この翻訳機能の最大の特徴は、単なる機械翻訳に頼らない、その精度の高さにあります。AIによる一次翻訳をしたあとに、その言語のネイティブスピーカーである言語専門家に、文脈や文化的な要素、スラングなどを確認し、アーティストが本当に意図しているところを正確に翻訳できているかを検証します。たとえば、歌詞内のマイル表記をキロメートルに変換して表示するといった、細かい調整も含まれています。
現在、英語から日本語、韓国語から日本語といった言語の組み合わせが利用可能となっており、K-POPなど、非英語圏の楽曲を深く楽しみたいユーザーにとって、非常に価値のある機能と言えます。この翻訳のアップデートは継続的に行なわれる可能性があり、同じ楽曲でも3ヵ月後に歌詞が少し変わってる、なんてこともあるでしょう。
なお、現在は1曲につき1言語の翻訳なので、たとえばK-POPの歌詞にハングルと英語が混ざっていた場合、ハングルのみを翻訳して、英語はそのままです。
みんなで唄おう! 「Apple Music Sing」のPartyで楽しむ
2022年に導入された「Apple Music Sing」は、AIがボーカルとインストゥルメンタルの部分を分離し、ユーザーがアーティストの声を小さくしてデュエットやソロ歌唱をできるようにした機能で、いわゆるカラオケです。
そして今回、この「Sing」機能を多人数で楽しむための「Party」機能が追加されました。ユーザーは自身のiPhoneをマイクのように使用し、アーティストのボーカル音量をコントロールできます。また、ほかの人が歌っている間に次の曲を追加したり、絵文字を送ったりするなど、ソーシャルな要素を通じて、皆で一緒に音楽を楽しめるようになりました。
【まとめ】音楽がただ聴くためのものから
みんなで楽しめるものに
今回のApple Musicのアップデートは、音楽ストリーミングサービスが単なる「音源を提供する場」から、「ユーザーが音楽の世界に没入し、参加し、共有する場」へと進化したと言えます。
歌詞の翻訳機能は、特にグローバルなコンテンツを楽しむ日本のファンにとって、言葉の壁を大きく取り払い、海外アーティストをより身近に感じる機会を提供するでしょう。
また、Automixやライブラリの強化は、日常的な音楽再生の利便性を高めます。これらの新機能は、Apple Musicが提供する没入的なユニバースをより強固なものとしています。
今年はiTunesが日本上陸して20周年。現在は名称もApple Musicになって役割も変わりましたが、音を楽しむというコンセプトは一貫して変わってなさそうです。