楽天モバイルでの新規契約時の事務手数料が一部有料化される。これまでは何回でも無料だった事務手数料が、11月19日から累計で5回線目からは3850円が必要となる。ごく一般的なユーザーならあまり関係ない話かもしれないが、格安SIMのヘビーユーザーだと対象になることも考えられる。今後どうなるのかも含めて考えてみたい。
過去に累計4回線は格安SIMマニア以外も達しているかも
あらためて有料になる条件を見ていこう。2025年11月19日以降に新規契約する場合で、累計5回線以上の場合に3850円が必要となる。
契約事務手数料の4回線だが、意外に達してしまう可能性がある。累計の計算は、楽天モバイルが本格展開した2020年4月8日以降に契約したすべての回線。たとえばサービス開始当初は「1年無料特典」「1GBまで0円」といったキャンペーンやプランを展開していたので試しに契約して、その後に解約した回線も含まれる。また、家族回線を契約していた人もいるだろう。
my 楽天モバイルにログインすると、過去の回線の一覧が出てくる。ここに4回線以上、表示されているユーザーが11月19日以降に新規契約する場合は3850円がかかるようになる。楽天モバイルに契約して、一旦他社に転出して、再度加入した場合はそれで2回線となる
なお、my 楽天モバイルにログインすると、回線のプルダウンリストがあり、過去の回線がずらっと出てくる。そこに4つ以上あれば11月19日以降に新規契約する際は手数料が必要となる。
「値上げしない」宣言をした楽天モバイルだが
プランや手数料は細かく変更を繰り返してきた
楽天モバイルといえば、通信量無制限で月3278円という料金が若年層を中心に高い人気となっている。特に自前で回線を持つMNO同士で比べるとその安さは明らかだ。もちろん、エリアや通信品質では3大キャリアと同等とは言えないが、コストパフォーマンスが非常に高いのは間違いない。
そのため、多少の値上げや事務手数料の一部有料化があったとしても、コストパフォーマンスの優位さは揺るがないものの、今回の手数料一部有料化は残念な部分があることも確かだ。
同社トップの三木谷浩史氏が「値上げしない」宣言をしていることもあり(「楽天モバイルが「料金値上げしない」宣言!「U-NEXT」との最強タッグでエンタメも無制限へ」)、「通信量無制限で月3278円」の部分は死守すると思われる。しかし、それ以外の点はじわじわと手数料などを増やしてくることも考えられる。
2020年4月からの「1年間料金無料」キャンペーンは特別としても、過去にも「1GB未満は0円」を大々的に打ち出したものの、2022年9月には3GB未満と同様の月1078円の料金が必要となった。このタイミングでは多くのユーザーが離れたとされた。
2023年1月には、ホームルーター専用料金プラン「Rakuten Turbo」が登場。月4840円のプランで、ホームルーターの代金は別。最初の3年間は月額3685円と割引されるが、通常の楽天モバイルのプランが3278円であり、モバイルルーターも販売機器としてラインナップしているため、「Rakuten Turbo」の存在意義は? という見方もあった。
そして、2025年4月1日以降、1年以内に解約した場合には「プラン料金の月額最低利用金額の1ヵ月分」として1078円が解約事務手数料としてかかるようになった。
さらに「Rakuten最強U-NEXT」プランが10月から開始した。U-NEXTとセットのプランだがU-NEXTのポイントが付かないなど、そこまでオトクとは言いがたいうえ、料金は常に上限の一段階なので、通信量が少ないユーザーだと逆に割高感がある。そんなプランの登場で、値上げへの布石では? 見られたことからも、前述の「値上げしない」宣言につながったとも言える。
次にどんな手があるのか 勝手に想像してみた
「値上げしない」宣言は守られるとしても、値上げしないと解釈できる範囲で費用負担が増える可能性はありえる。
ここから先は想像でしかないが、たとえば通信量無制限時の月3278円を守るために、これまでの3GBまでの1078円、20GBまで2178円の段階性をなくす、もしくは段階を変更してくる可能性はある。
少ししか使わないユーザーからも月3278円が掛かるという料金プランについては、2020年3月の発表時点では誰もが無制限で3278円としてスタートしていることから、元に戻すだけという言い方ができなくもない。
さすがにそのような変更では、一気に解約者が増える可能性があるのと、今後の加入者の心理的ハードルを高めるだけなので、加入者数を伸ばしたい楽天モバイルが実施するとは考えにくい。
より有り得そうなのは段階の変更だ。月1078円で使える通信量を3GBから減らすことや、上限の3278円に達する段階も20GBからもう少し減らすなどが考えられる。
また、Rakuten Linkの無料通話も可能性としてはあるかもしれない。Rakuten Linkアプリ経由での国内通話かけ放題は使ってる筆者自身が申し訳なくなるくらいオトクだ。その半面、現在では電話番号による通話の機会がほとんどない人もいるので、ここを有料化すれば、多くの加入者には影響はなく、たくさん電話を発信する人を制限することが可能になる。
Rakuten Linkを使わないで通常の発信をする際に適用される通話定額オプション「15分(標準)通話かけ放題」(月1100円)の加入が頻繁に促されることを考えると、Rakuten Linkの有料化はないとは言い切れないだろう。
そして、もう1つ、筆者が勝手に想像しているのは「Rakuten最強U-NEXT」や別の特別プランに限った販売促進策だ。3大キャリアの場合、ショップでオトクにスマートフォンを購入する条件として、指定プランに加入限定ということがよくある。安い料金プランは対象外なことが多く、要は高めの月額料金で割り引いた分を回収するという方法だ。
楽天モバイルでは、端末の割引販売だけでなく、楽天カードの特典、楽天ポイントの倍率のアップなどで高いプランに誘導をすることもできる。Rakuten最強U-NEXTだけとは限らないが、有利な加入条件を示すための新たな料金プランができる可能性もあるだろう。



























