アップルが新しい第2世代のAirTagを発売しました。AirTagとは、ビジネスバッグやスーツケースなどの持ち物に装着して、未然に紛失を防止するためのスマートタグ(忘れ物タグ)です。
2021年に発売された初代モデルと比べて、第2世代のAirTagはどこが変わって、どこが進化しているのか、実機をレポートします。
新旧AirTag、見た目の違いと「音」の違い
まずは見た目のチェックから。本体のデザインやサイズは“まったく”と言っていいほど変わっていません。初代AirTagに対応するアクセサリーがそのまま使えるのはありがたいことですが、カラバリ展開があってもよかったかもしれません。
むしろ新旧モデルはどのように見分けられるのでしょうか? よく目をこらすと、背面側金属プレートの刻印の内容が少し違っていました。第2世代のAirTagは文字数がやや少なめで、すっきりとした印象を受けます。防塵防水等級がIP67であることが明記されました。なお、IP67対応というスペック自体は初代モデルから変わっていません。
AirTagは、ユーザーが持ち物を見失った時に音を鳴らして、チャイム音を手がかりに探せるデバイスです。iPhoneとペアリングした後に、探すアプリから「サウンドを再生」してみると違いはすぐにわかります。
本体の密閉性を高めるため、一般的なスピーカーのように音孔は設けていません。代わりに振動素子を背面の金属プレートに直接あてて、プレートを振動させることで音を鳴らすアクチュエーター方式のスピーカーシステムを採用しています。
初代AirTagのチャイムはこのような感じでした
新しいAirTagのチャイム。高音域がより強く聞こえるようにチューニングされています
第2世代のAirTagは、本体のサイズアップを抑えながら、より大きな音を出せるようにエンクロージャーの役割を果たす本体内部の構造をブラッシュアップしています。さらに、人の耳が警告音として知覚しやすい高音域にチューニングを寄せたことで、少し離れた場所からでもAirTagの位置が把握しやすくなりました。
初代AirTagからチャイムのメロディ(パターン)自体は大きく変わっていませんが、音の印象が変わって感じられたのは、音圧の向上と再生音域の最適化が図られたためです。
最新UWBチップにより
正確な場所を見つける機能が進化した
AirTagを装着したキーホルダーやバッグなどが、自宅のどこかにあるはずなのに見つけられないこともよくあると思います。このような時には、AirTagの「正確な場所を見つける」機能が活躍します。
第2世代のAirTagにはiPhone 15以降のラインナップ(iPhone 16eは除く)、iPhone Air、Apple Watch Ultra 2以降、Apple Watch Series 9以降、AirPods Pro 3 MagSafe充電ケースにも搭載されている、アップルが開発した第2世代の高性能な超広帯域(Ultra Wide Band:UWB)チップが搭載されています。
その結果、iPhoneの「探す」アプリから「持ち物を探す」タブを選択して、AirTagを装着したデバイスを「探す」機能を選択すると、現在デバイスがある場所までの距離と、方向を矢印により指し示してくれます。「サウンドを再生」する機能と併用すれば、失いものをかなりスムーズに見つけられる頼もしい機能です。
第2世代のAirTagはBluetoothチップを刷新したこともあいまって、「正確な場所を見つける」機能の探索範囲が広がっているようです。
筆者も自宅で新旧AirTagの実力を比べてみました。見通しがある程度良い室内では、初代のAirTagはiPhoneとの距離が3メートルぐらい離れた場所で反応してくれますが、第2世代のAirTagは9メートルぐらいの距離から検知され、iPhoneの画面に矢印が表示されます。
第2世代のAirTagではApple Watch 9以降、Ultra 2以降の機種とペアリングして、Apple Watchから直接AirTagの「正確な場所を見つける」機能が新しく加わりました。ところが、残念ながら現時点では日本国内の規制により、この機能が日本では使えません。簡単にまとめると以下のようになります。
・Apple WatchによるAirTag 2のUWB探索→日本では使えません
・Apple WatchによるAirTag 2のBluetooth探索→今まで通り使えます
・iPhoneによるAirTag 2のUWB探索→今まで通り使えます
・iPhoneによるAirTag 2のBluetooth探索→今まで通り使えます
アップルが公式に発表しているプレスリリースで、本機の仕様について「『正確な場所を見つける』機能は、超広帯域テクノロジーが制限されている国や地域では利用できません」と記載されています。対応するiPhoneからは普通に使えるので、よもやApple Watchからの場合、日本で使えないとは思っていませんでした。アメリカなど海外で試せる機会があれば、ウォッチから「正確な場所を見つける」機能が直接使える利便性について検証してみたいと思います。
AirTagが搭載するBluetooth Low Energyのテクノロジーを駆使すれば、UWBチップが探索できる範囲を超えた遠い場所に、AirTagを着けたまま紛失した持ち物が置き去りになっていても探せます。この機能についても、第2世代のAirTagはより強力なBluetoothチップを搭載したことにより、探索できる範囲が拡大しています。
筆者は海外旅行用のスーツケースにAirTagを入れて「探せる」ようにしています。最近は航空会社独自の荷物のトラッキングシステムが優秀なので、モバイルアプリから手荷物を探せるサービスもあります。空港のベルトコンベアに自分のスーツケースがなかなか出てこなくて、不安になることも少なくなりました。
でもアップル製デバイスのクラウドソースネットワークと、Bluetoothのテクノロジーを併用する「探す」ネットワークが併用できれば、ますます安心です。海外旅行・出張を頻繁にされる方は、Bluetoothによる探索機能が強化された第2世代のAirTagをぜひ活用するべきです。
家族とAirTag情報を共有したり
不審な追跡を防ぐ方法
なお、ユーザーが自身のAirTagの位置情報を、信頼できる家族や友人などに「共有」する機能もあります。AirTagを装着した持ち物が紛失した時に、一時的に位置情報を共有して「一緒に探す」こともできます。
この機能は2026年1月28日現在、アップルが36社の航空会社と直接提携することにより、ユーザーのプライバシーを保護しながら安全にAirTagの情報を共有できる仕組みができています。提携する航空会社に日本のJALとANAがまだ含まれていないことが残念ですが、近々追加されることを期待しましょう。
AirTagのようなスマートトラッカーを悪用する不心得者による迷惑行為を防止するため、アップルとグーグルは「Detecting Unwanted Location Trackers(不要な位置情報トラッカーの検出)」という業界規格を策定し、それぞれに最新のデバイスとOSに実装しています。
iPhoneの場合はiOS 17.5以降を搭載していれば、端末設定の「プライバシーとセキュリティ」から「位置情報サービス」をオンにして、さらに「通知」の設定から「トラッキング通知」の「許可」をオンにすると、万一、不審なAirTagなどのスマートトラッカーが自分の持ち物に着けられてた場合、これを見つけることができます。AirTagの場合、背面のフタを外して電池を抜くことにより、速やかに不審な追跡を無効化できます。
Androidスマホからも身の回りにあるAirTagをスキャニングできます。AndroidデバイスにAppleアカウントを登録できるわけではないので、たとえば自宅などまわりに人がいない場所で探索をかけて、身に覚えがないAirTagが見つかってしまったときに、怪しいAirTagのチャイムを鳴らして場所を特定、個別に対処という形になります
第2世代のAirTagは1個入りの価格が4980円、4個入りは1万6980円です。初代のモデルから価格変更はありません。約半年ほどでバッテリーが切れたら、電源であるボタン型電池(CR2023)を交換するだけで長く使えるところもAirTagの魅力ですが、この機会に新旧AirTagを買い足して実力を比べてみたり、家族にプレゼントしてもよいと思います。

筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。





























