松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」

ワカモノにホンモノを「823SH」 (3/3)

文●松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

2008年05月01日 18時00分

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テクスチャーを鑑賞するための「額縁」も


 これらのパネルを装着する823SH側にも工夫がある。秘密は、パネルをはめる部分の周囲にある蒸着の銀色フレームだ。これが額縁のようになって、パネルの中のテクスチャーをより美しく見せる場となっている。

 またほかの着せ替え端末のように、パネルが外付けですよ、とひと目でわかるような意匠になっていない。銀色のフレームの内側にパネルの爪を潜り込ませるようにして固定するので、表には一切、無駄な要素が出てこない。

銀色のフレーム

パネルを作品として鑑賞する「額縁」として銀色のフレームが周囲を囲んでいる

パネルの取り外し

パネルは、ディスプレー左下にある小さな穴に、専用の工具を押し込んで取り外す。パネルのデザインを一切邪魔しない



こう見えても「ワカモノ」向けなんです


 日本の伝統的なテクスチャーをケータイに取り入れたこれらのパネルだが、浦元氏によると、ターゲットはずばり「20代〜30代のアクティブなユーザー」、つまりワカモノ向けだという。

 もちろん中高年の世代にも楽しまれるかもしれないが、純粋に「漆ってかっこいい」「友禅ってカワイイ」と直感的に感じるワカモノが積極的におしゃれに取り入れていくことを想定しているのだ。価格を見ても、高くしすぎないという点でその心意気が見て取れる。

 ワカモノでも「いいな」と思ったホンモノを、ケータイに取り入れて楽しむことができる国って、ほかにあるだろうか? これだけの技術があることと、それを身近に楽しめるケータイがあることを、なんだかとても誇らしく思うのは僕だけだろうか。

 以前ご紹介したamadanaケータイの記事でも「このケータイを持って世界で活躍し、家電大国ニッポンをアピールしてきて欲しい」という思いが込められていることを紹介した(関連記事)。JAPAN TEXTUREの2種類もまた、世界でクールジャパンを紹介しうる素質を持った端末といえる。

 だからこそ悔やまれるのは、823SHが「世界ケータイ」ではないという点。次があるなら、国際ローミングへの対応が望まれるところだろう。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について探求している。近著に「できるポケット+ iPhoto & iMovieで写真と動画を見る・遊ぶ・共有する本 iLife'08対応」(インプレスジャパン刊)。自身のブログはTAROSITE.NET



*次回は5月15日掲載予定(次週はお休みです)


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