写真を撮るのが楽しくなる3メガピクセルカメラ
スピード以外では、300万画素の内蔵カメラにも注目したい。確かに日本の一般的な携帯電話と比べると画素数は少ないが、カメラが苦手な人でも楽しく気軽に撮れて、その写真を思う存分楽しめるという点においては、iPhoneの右に出る端末はないだろう(これについてはその2以降でさらに掘り下げたい)。
iPhone 3GSのカメラは、ポイント&シュートが基本だ。カメラを起動したら、被写体の方にカメラを向けて画角やアングルを決める。アングルが決まったら、被写体を指の先で触れる(タップする)。すると瞬時にフォーカス(焦点)と露出(明るさ)、ホワイトバランス(色味)が自動的に調整される。ピントを合わせる対象は、画面に映っているものを指でタップすればいい。
カメラのピントを合わせる
iPhoneのカメラのよさは、このようにすべてが全自動なことだ。初代iPhoneでは、シャッターを押す以外、まったく何も操作がなかったことから、カメラが苦手な人も気軽にたくさんの写真を撮れていた。iPhone 3GSでは、ここに被写体をタップという1アクションを加えただけで、よりピントや色味が合った写真が撮れるようになった。
フォーカスが合うスピードもそこそこ速い。これまでの多くの日本製カメラは画素数は多かったが、マニュアルでフォーカスを合わせようとするとなかなか操作が煩わしい。例えば、「機能」メニューのようなものを選んで、続いて「マニュアルフォーカス」を指定して、その後ボタンを連打といった具合だ。マニュアルフォーカス機能が付いているのは分かっていても、結局は使わない人も多かったのではないだろうか。
iPhone 3GSは、フォーカスと露出を個別に設定するような凝った撮影機能は切り捨てて、日々の生活の中で携帯電話で撮りたくなるような写真の9割近くを、最も少ない手間で撮ることに注力している。これがiPhoneのアプローチであり、だからこそ機械オンチの人に勧めたい携帯でもあるのだ。
iPhone 3GSのカメラは、より幅広い生活シーンへの対応を強化している。今回、その中でも特にうれしいのが暗所での撮影がきれいになったことだ。
実際にiPhone 3Gと撮り比べてみると、iPhone 3Gは、画面全体の明るさを基準に露出を決めているため、暗所では全体的にやや明るめに写ってノイズが目立つ。これに対してiPhone 3GSでは、タップした場所の明るさにあわせて露出を決めるので、やや暗めだが、しまりがあってよりノイズが少ない写真に仕上がるという傾向だった。
撮影した写真はメール、MMSとして共有できるほか、連絡先や壁紙に設定できるが、その場合は自動的にサイズ変更と再圧縮が行なわれる。300万画素の画質をそのまま生かしたいときは、写真の取り込みソフトを使おう。