国内における動画サービスの本命?
3キャリア対応のニコニコ動画モバイル
そんなケータイ周辺の動画環境において、「ニコニコ動画モバイル」は3キャリアの公式サイト化のみならず、8月4日からはドコモ版において生放送にも対応を開始した。今回システムを開発したドワンゴの齋藤光二氏(齋藤P)、宮本 卓氏、福冨 諭氏に、ニコニコ動画モバイルに関して、また生放送の仕組みについてお話を伺った。
「ニコニコ動画本体がスタートしてから、マルチプラットホーム対応にはずっと取り組んできました。そもそもドワンゴはモバイルサービスで大きくなった会社です。モバイル向けサービスとしてみると、プレミアム会員の月額525円という金額は高い方ですが(プレミアム会員になるとPCとケータイの両方で利用できる)、ケータイを通じて決済ができるようになった点は大きいです」(齋藤P)
ケータイに対応したニコニコ動画はユーザー傾向にも変化が生じ始めている。
「モバイルのサービスに掲示板を付けてみると、最近では夏休みの話や恋愛の話で盛り上がっています。正確ではないかもしれませんが、よりライトで、PCを主に使っていない中高生が多いようです。例えば男女比率で言えば、モバイル版は10%ほど女性ユーザーの割合が多くなっています」(齋藤P)
これまでニコニコ動画にあまり触れてこなかった人たちが、ケータイを通じてニコニコ動画に流れ込む。PCから始まったウェブサービスと同じように、ニコニコ動画にもコミュニティーの変質が見られるようになるのだろうか。運営側は「モバイルはモバイルのランキングが生まれてきてもおもしろいのではないか」(齋藤P)と歓迎ムードだ。
ニコニコ動画の再生をケータイ上で実現する「ニコモバアプリ」について、福冨氏に聞いた。
「ケータイ用のニコニコ動画アプリは、まずソフトバンク版からリリースしました。ドコモとソフトバンクでは基本的に同じですが、ソフトバンクではキャリアによる回線容量の制限を受けます。そのためソフトバンク版は7分で切れると言う仕組みになっています。またドコモ向けアプリでは、ソフトバンク版よりも1秒あたりの動画のコマ数も高めています。サーバー側が環境に合わせて可変させているためアプリ側で変換しているわけではありません」(福冨氏)
動画に関してはサーバー側の送り出しで対応できると言うが、音声に関してはキャリアごと、端末ごとに違う音声チップへの対応が必要で、変換しなければならないそうだ。またauはBREWアプリでは1日の通信量制限に引っかかるため、Flashを用いて、ユーザーによる1プッシュの操作で3秒ずつ映像を読み込む方式で実現しているそうだ。
一方ニコニコ動画が楽しめるモバイル端末としてiPhone/iPod touchがあるが、ニコニコ動画としてiPhoneはビジネススキームとしてもPC版という位置づけだそうだ。
「iPhone向けはアプリを売り切る形でビジネスを進める必要があります。現状ではニコ動がiPhone対応しましたというPRから先に進めない状況です。ただ、iPhoneというプラットホームではかなりおもしろいことを実現できるポテンシャルを持っています。それぞれの端末でできる最大の開発をしていくつもりです」(宮本氏)。