有機ELを使った同社のフレキシブルディスプレーは厚さがわずか0.1ミリで、これは世界最薄とのこと。さらにその上にフレキシブルなタッチパネルを重ね合わせることでスマートフォンやタブレットにも使える折り曲げ可能なタッチパネルディスプレーを実現したのです。
RoyoleはFlexPaiの発表前、2018年7月には7.8型の同じディスプレーを埋め込んだTシャツと帽子を発表しています。ウェアラブルディスプレーとしてイベントなどで使うことを目的とした製品ですが、自社のフレキシブルディスプレー技術をデモンストレーションするための製品とも言えます。9月にベルリンで開催されたIFA2018ではその製品のデモが行われたほか、小型にしたフレキシブルディスプレーを搭載したスマートフォンのコンセプトモデルのモックアップも展示されていました。
しかしこのIFA2019の時点で、RoyoleはFlexPaiの本生産をひっそりと始めていたようです。そしてサムスンが11月7日に折り曲げスマートフォンを発表することが明らかになった時点で、それに合わせるようにFlexPaiを発表。「コンセプトではなく、実製品」とアピールし世界中の注目を集めることに成功したのです。
電子ペーパーのフレキシブルディスプレースマホは幻に
2013年にサムスンが発表したフレキシブルディスプレー搭載スマートフォンのコンセプトビデオは今でもYouTubeで見ることができます。必要な時に開き、コンパクトに畳んで持ち運べる、当時はそのアイディアは斬新すぎて「必要なの?」と思った人も多かったに違いありません。
しかしサムスンのコンセプトが登場する前から折り曲げられるディスプレーの研究は進んでいました。たとえばPolymer Visionは折り曲げできる電子ペーパーを使った高性能携帯電話のアイディアを2007年に発表しています。液晶や有機ELより構造が簡単でモノクロ表示の電子ペーパーであれば自由に曲げられるディスプレーの開発はより容易だったのかもしれません。ただしこの製品はタッチパネルを搭載せず、操作はディスプレー横のボタンをタッチする方式でした。
この端末はイタリアのキャリアから販売予定でしたがその後登場しませんでした。2007年といえばiPhoneが登場した年で、スマートフォンの概念が一変した年でもありました。従来型のスマートフォンや携帯電話の延長的な存在では製品として生き残れない、そう判断されたのか、あるいはフレキシブルな電子ペーパーの商用化が難しかったのか、真相はわかりません。
2013年にはサムスンの「Galaxy Round」、LGの「G Flex」と曲面ディスプレーを搭載したスマートフォンが登場しています。G Flexは若干力を加えるとわずかにたわむディスプレーを搭載していましたが、「曲げられる」と言えるものではありませんでした。その後G Flexは複数モデルが出た後に終了してしまいます。曲がったディスプレーを求めるユーザーはいなかったのです。
それ以降のスマートフォンの進化はディスプレーの単純なん大形化が進み、2017年後半からは18:9などのアスペクト比を搭載するワイドディスプレーの搭載が主流となっていきました。2枚のディスプレーを閉じたり開いたりできる折りたたみ型スマートフォンもいくつか出てきましたが主流にはなっていません。
2019年はフレキシブルディスプレー搭載スマートフォンが次々と登場する予定です。通信回線も高速になり、高画質なコンテンツも手軽に見ることのできる時代だけに、必要な時に大きい画面を利用できるフレキシブルディスプレーの需要はこれから増えていくに違いないでしょう。























