■「完全無制限」に慎重になる理由
各キャリアが発表した「無制限」の中身を見ていくと、ドコモは期間限定の可能性があり、KDDIはスマホ限定、ソフトバンクは動画SNS限定、4Gサービスを始める楽天は自社エリア限定と、すべて「条件付きの無制限」となっています。
完全な無制限ではなく条件付きになる背景として、無制限のサービスが実際にはどれくらい使われるのか、予想することの難しさがあるようです。
たとえば5Gに期待される用途の1つに、固定回線の置き換えがあります。ドコモが発表したシャープ製のモバイルルーターは、固定回線がない場所でのクリエイティブやビジネス用途を想定しています。
こうした用途では、ルーターにぶら下がるデバイスの数によって使用量は大きく変わってきます。最近ではテレワークによるビデオ会議が増えているように、社会状況も変化しつつあります。
また、一部のユーザーが大量の帯域を占有することで、他のユーザーの通信に支障が出る場合もあるようです。ライブ動画のアップロードを続けるような用途以外にも、Windows Updateのようにバックグラウンドで走る処理もあり、通信事業者を悩ませています。
もし5Gを「完全無制限」として提供し、後になって「やっぱり無理でした」と取り下げることはかなり難しく、各社ともに慎重になっていることがうかがえます。