松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

【解説・アップルiOS 14】AndroidにキャッチアップするiPhone (2/4)

文●松村太郎 編集● ASCII

2020年07月22日 09時00分

●iOS 14は、キャッチアップ要素が多い

 Androidとの競争は常に繰り広げられています。たとえばARを含むアプリAPIの整備状況・動作については、iPhoneが常にリードしてきました。プライバシーへの取り組みや信頼感も同様です。

 一方で、アプリの自由度、端末カスタマイズの自由度の面では、常にAndroidが勝利しており、むしろこの部分についてiPhoneはコンサバティブな姿勢を貫いています。筆者はiOS 14には、「体験のコンパクト化」というコンセプトを見出していますが、その中にはAndoridへのキャッチアップという要素も多く見受けられます。

 今回のテーマであるウィジェットについても、同様と言えます。

 ウィジェットは、iOS 8に登場し、通知センター内の「今日」タブに並べることができます。ウィジェットというと小さな枠の中に収まったミニアプリ、もしくは情報表示のイメージですが、iOS 8で実装されたウィジェットはどちらかというとショートカットやメニューリストを編集するようなイメージでした。

 そこから発展し、iPhoneのホーム画面へのウィジェット配置が(ようやく)可能となったのです。

●ウィジェットはショートカット的に活用したい

 iOS 14で対応するウィジェットは、簡単に言えば大・中・小の3サイズ。大はアプリで言えば4×4個分の領域を占有し、中は横長の4×2個分、小はスクエアの2×2個分です。

 アプリ開発者は、複数のサイズ・複数の種類ののウィジェットに対応させることができ、各サイズで何を表示するかを選択することができます。

 アプリを長押しするなど、ホーム画面の編集モードに入って、プラスボタンを押すことで、ウィジェットを追加することができます。ウィジェットを配置すると、その部分はアプリアイコンが避けてくれる仕組み。

 iOSにおけるウィジェットのコンセプトは、適切で一覧性が高い情報を表示すること。そのデザインの例として引用されていたのがwatchOSのコンプリケーションズでした。

 コンプリケーションズは文字盤に埋め込む情報表示機能で、カレンダーやストップウォッチなどの最新の情報を表示したり、タップすることでそのアプリへのショートカットにもなります。こうした使い勝手をiPhoneのホーム画面にも持ち込もうというアイデアだと理解しています。

 iPhoneのウィジェットのホーム画面への配置も、同じようなコンセプトで捉えると良さそうです。アプリを開くまでもなく情報を確認したり、その表示からより細かい情報を確認したり、操作したい場合にはタップすることでアプリに飛ぶ、情報表示機能付きのショートカットという位置づけ。

 一方、大きなサイズのウィジェットも用意されており、例えばカレンダーの場合、直近の予定と今月のカレンダーの両方を表示できます。この場合、カレンダーアプリを開かず、ウィジェットだけで事足りるわけで、中・大サイズは確認用、小サイズはショートカット、という使い分けを考えると、使いこなせそうですね。

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