石川温のPCスマホニュース解説

ドコモ「home 5G」固定回線競争に拍車 (1/4)

文●石川温 編集● ASCII

2021年09月09日 09時00分

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 携帯電話各社が最近になって「固定通信」に注力し始めている。

 NTTドコモは8月27日より「home 5G」の提供を始めた。home 5Gは家庭用のWi-Fiルーターで、工事不要でコンセントをつなぐだけで5Gもしくは4G回線に接続し、周辺にWi-Fiの電波を飛ばす。

 月額4950円と安価でありながら、スマホとセットで契約するとスマホの料金が月額最大1100円割り引かれる。

 綾瀬はるかさんが出演するCMでは「世界は変わる。驚くほど簡単に」「驚きでしょ」と語っているが、何のことはない、ソフトバンクが何年も前から提供している「SoftBank Air」のパクリ、いや追随であることは間違いない。

ドコモ子会社化で「home 5G」誕生

 NTTドコモがhome 5Gを出せたのは昨年秋に同社の社長に就任した井伊基之氏の存在が大きい。NTT出身の井伊氏がNTTドコモ社長の就任した後、「ソフトバンクAirがうらやましい」ということで、home 5Gの商品化にゴーサインが出た模様だ。

 昨年秋にNTTドコモはNTTの完全子会社となっている。それまでNTTドコモは、NTT東西の主力商品である光回線サービス「フレッツ光」の領域を脅かすような商品を出すのを遠慮したようだ。どんなにソフトバンクがソフトバンクAirで固定回線市場を奪おうとも、NTTドコモは黙って指をくわえて見ているしかなかった。

 しかし、NTT出身の井伊社長になり、完全子会社となったことで、NTTとNTTドコモの垣根は取り払われ、NTTドコモの4G/5G回線に接続して、家庭内でWi-Fiが使えるhome 5Gが誕生したというわけだ。

 4Gや5Gを利用した家庭用Wi-Fiルーターは、工事不要ですぐに使えるというのが魅力だ。ただ最近は、テレワークの普及で朝から晩までビデオ会議という人も多い中、「マンションの通信回線が遅すぎて使い物にならない」という不満の声も聞く。そもそもマンションに敷設された通信回線が遅いだけでなく、近所の住人もビデオ会議をするために、さらに混雑しているというわけだ。

 マンションなどの集合住宅では、住民が自由に固定回線を工事して導入するというわけにもいかない。そうしたニーズを「home 5G」やソフトバンクの「SoftBank Air」、auの「ホームルータープラン 5G」で対応するというわけだ。

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