KDDIは今日7日、新料金プラン「au バリューリンクプラン」および「au マネ活バリューリンクプラン」の発表会を開催した。発表会ではサブブランドのUQ mobileの新料金プラン「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」も発表された。サービス受付開始はいずれも6月3日から。
発表会冒頭ではKDDI 代表取締役社長 CEO 松田浩路氏が登壇。通信事業における「繋ぐ力」をさらに進化させ、顧客体験価値を向上させていく方針を強調した。その一環として、また社会全体の価格見直しや、電波を取り扱う上での電気代の上昇といった背景を踏まえ、auおよびUQ mobileの新しい料金プランの導入と、既存プランの改定を決めたという。
発表会では、以下の点が重点的に紹介された。
auの新フラッグシッププラン
「au バリューリンクプラン」
auの新たな料金プランとして、6月3日から「au バリューリンクプラン」および「au マネ活バリューリンクプラン」の受付を開始する。これらの新プランは、データ通信使い放題(テザリング、データシェアは合計60GB/月の制限あり)をベースに、5つの「繋がる」価値を組み込んだとしている。料金は以下のとおり。「使い放題MAX+」など既存のプランは新規受付を継続する。
au バリューリンクプランに組み込まれる主なサービスは5つ。
1、au Starlink Direct
衛星とスマートフォンとの直接通信サービスで、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信が可能となる提供開始したばかりのサービス。テキストメッセージの送受信(SMS/RCS/iMessage)や位置情報の共有、AndroidスマートフォンではGeminiによる調べもの、緊急地震速報などの受信ができる。au利用中の周波数の一部を衛星通信で利用できるようにしたため、対応機種であれば新しい端末を用意する必要はない。これはアジア初、世界でも3番目のキャリアによる衛星とスマートフォンのサービス提供である。
2、au 5G Fast Lane
対象顧客に無線リソースを相対的に多く割り当てる技術により、混雑時でもより快適な通信を実現する。KDDIのフィールドトライアルでは従来比1.8倍、大阪万博会場では一般通信比2.2倍の通信速度向上を確認したとのこと。このサービスは7月1日から提供開始で、5G SA契約と利用開始手続きが必要とある。
これは5G SAのスライシング技術を用いるものではなく、基地局が各端末の電波状態を管理し、割り当て確率を高める仕組みであると説明された。
3、au海外放題
日本で利用中のスマホが、海外でそのままデータ使い放題で利用できる(1ヵ月あたり15日分まで)。テザリングも可能。年間数回海外に行く人や、短期間の留学生にも適していると説明された。通常は1日1200円だが、新プランでは追加料金ナシで利用できる。
4、サブスクぷらすポイント
対象のサービス(Apple Music、TELASA、Netflix、YouTube Premiumなど)への加入で、Pontaポイント還元率がこれまでの最大15%から最大20%に増量される。バンドルプランでなくても、サービス単体で契約していてもポイントが加算されるとのこと。夏以降にはGoogle One(Google One AIプレミアムプラン含む)も追加される予定で、Google One AIプレミアムプランはキャンペーンと合わせて実質半額で提供するとした。
5、Pontaパス
月額548円のサービスがセットとなり、ローソンで毎週無料・割引クーポンや、Pontaポイント還元率の上乗せ(Pontaパス ブースト)、モバイルバッテリー無料レンタル(月1回30分)などの特典が利用できる。6月からはローソンでの特典がさらに強化され、月額料金はそのままにローソンで利用できる特典を月2000円以上パワーアップするとした。
なお、ローソンとのパートナーシップ強化によるリニューアル後、加入数は1.6倍、アクティブユーザー数は1.4倍、ローソン特典の利用数は2.9倍になったという。
UQ mobileの新プランもデータ容量増量
今回はサブブランドのUQ mobileの新プランも発表された。6月3日から新しい料金プランとして「コミコミプランバリュー」「トクトクプラン2」の提供を開始する。既存のコミコミプラン+、トクトクプラン、ミニミニプラン及びUQ親子応援割の新規受付は6月2日で終了する。
コミコミプランバリュー
月間35GBのデータ容量に加え、1回10分以内の国内通話かけ放題とPontaパスがセットになったプラン。月額料金は3828円で、自宅セット割、家族セット割、au PAYカードお支払い割は対象外となる。
トクトクプラン2
月間30GBまでのデータ容量が利用でき、月間データ利用量が5GB以下の場合は自動で割引が適用されるプラン。自宅セット割または家族セット割も適用可能。月額料金は、各種割引適用前で4048円。
また、UQ mobileの新プランは両方とも「au Starlink Direct」専用SIMを、月額550円で利用できる。
既存のUQ mobile料金プランについても、今後改定が予定されているが、時期は未定。今回の改定により、UQ mobileは今後2プラン構成にシンプル化していくと説明があった。
既存au料金プランの改定とサービス付加
8月1日からは、「使い放題MAX+」をはじめとした既存プランの改定が実施される。改定幅は月額100~300円ほど。この改定では、ただ料金が値上げされるのではなく、既存プランにもau Starlink Direct、au海外放題、au 5G Fast Lane、サブスクぷらすポイントといったサービスが付加される。
au Starlink Directが他社回線でも使えるように!
4月10日から日本初の衛星とスマートフォンとの直接通信サービスとして開始した「au Starlink Direct」。サービス開始から約1ヵ月で1日の利用者が4万人に近くまで増加したことが報告された。利用場所は海岸線や伊豆諸島、尾瀬や日光といった国立公園など、従来の電波が届きにくいエリアが中心だったようだ。
従来の衛星通信が地上の3万6000kmにある衛星を用い、特別な専用端末が必要だったのに対し、地上約540kmの低軌道衛星を利用することで、普段利用しているスマートフォンでの通信を実現している。auで利用中の周波数の一部を衛星通信でも利用可能にしたため、対応機種であれば何もしなくても使える。
また、auユーザーだけでなく、UQ mobileやpovo、そしてドコモやソフトバンクなど他社回線を利用しているユーザーにもサービス提供を拡大することも発表された。他社回線ユーザー向けには専用SIMを開発し、本日より提供を開始。専用SIMは月額1650円で、6月末までの加入で6ヵ月間無料となる特典も用意されている。専用SIMはauの4G LTEエリアで1GBまでデータ通信も利用可能だ。
申し込みはauオンラインショップで本日より、au取り扱い店では5月9日より受付を開始する。法人顧客にとっても、有事の際の連絡手段、従業員の安全確保、業務効率化、DX/IoT導入検討の加速につながる価値があるとして、漁業や山岳ガイド、再生可能エネルギー事業者などでの活用事例が紹介された。
値上げ幅は小さいが
付加されるサービスは賛否両論出そうだ
今回の改定は、月額料金の増加幅は小さく、付加サービスは多いので、なんとなくオトクに見えるが、海外に行かない人や圏外の場所に行かない人にとっては、ドコモのDAZN同様に望まないサービスの強制とも言える。このご時世、値上げは仕方ないと理解している人も多いと思うが、できればサービスの選択権があってもよかったのではなかろうか。