ソニー、「Xperia 1 VII」の不具合原因を説明 製造工程の温湿管理不備を認め謝罪

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年09月17日 12時00分

 ソニーは、最新スマートフォン「Xperia 1 VII」で発生した電源関連の不具合について説明会を開催した。同社モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長の大島正昭氏は、不具合の原因が基板の製造工程における温湿度管理の不備にあったことを認め、ユーザーに謝罪するとともに、再発防止策を明らかにした。

原因は製造工程の温湿度管理
輸送中や使用中でも発生しうる

 Xperia 1 VIIでは、6月末頃から「まれに再起動する」「電源が入らない」といった報告が増加し、ソニーが調査を開始していた。大島氏によると、不具合の根本的な原因は、基板の製造工程において温度や湿度の影響を適切に制御できていなかったことにあるという。この管理不備により、製造された基板がその後の温湿度変化の影響を受けやすくなり、不具合が発生した。このため、現象の発生時期は一概には言えず、輸送中やユーザーの使用環境下など、あらゆる場面で発生しうると説明された。

ソニー モバイルコミュニケーションズ事業部 事業部長 大島正昭氏

 また、この問題が発生した背景として、Xperia 1 VIIから導入された特定の製造工程の変更があったことも明かされた。大島氏は、製造工場が中国の協力工場に変わったことの直接的な影響よりも、「工程そのものの変化」が原因であるとの見解を示した。本来であれば、工程変更の段階でより深く評価し、発見すべき問題だったとしている。

徹底した再発防止策と今後の取り組み

 ソニーは再発防止策として、以下の3点を挙げた。

1. 管理基準の見直しと工程追加:基板製造における温湿度管理基準を見直し、影響を適切に制御する工程を追加した。
2. 品質管理体制の強化:影響があった工程だけでなく、関連する類似の工程や設定値の総点検を実施。今後の機種においても、製品特性に応じた点検体制を構築・運用する。
3. リスク評価体制の強化:製造工程における品質リスク検証を強化する、新たな管理体制を構築。この体制は交換用製品の製造からすでに運用を開始している。

 大島氏は、「お客様に多大なご迷惑をおかけしたことを重く受け止め、今一度安心、信頼していただけるよう製品作りに真摯に取り組んでいきたい」と語った。また、今回の不具合を受けても、スマートフォン事業はソニー全体の重要な技術の起点であり、今後も継続して取り組んでいく姿勢を強調した。Xperiaの火はまだ消えなさそうなので、ファンは安心していいだろう。

【まとめ】失った信頼は大きいが
迅速な原因究明と真摯な対応は評価

 今回の説明会は、不具合発覚から比較的早い段階で詳細な原因を特定し、ユーザーに対して真摯に説明しようとするソニーの姿勢がうかがえた。特に、原因が「輸送中」や「使用環境」ではなく、自社の「製造工程」にあると明確に認めた点は、責任の所在を明らかにするうえで重要だった。

 しかし、フラッグシップモデルでこのような初歩的とも言える製造上の問題が発生したことは、長年積み上げてきたソニーの品質に対する信頼を大きく揺るがした。再発防止策の徹底はもちろんのこと、失った信頼を回復するには、今後の製品でユーザーの期待を上回る品質と体験を提供し続ける以外にないだろう。ソニーのスマートフォン事業にとって、まさに正念場と言える。

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