楽天モバイルが「料金値上げしない」宣言!「U-NEXT」との最強タッグでエンタメも無制限へ

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年10月01日 09時00分

楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長

 9月30日、楽天モバイル株式会社は都内で記者発表会を開催し、物価高騰が続く中でも現行の料金プランを維持することを宣言しました。さらに、動画配信サービス「U-NEXT」と連携した新プラン「Rakuten最強U-NEXT」を正式に発表し、データ通信と通話に加え、エンターテインメントコンテンツも無制限に楽しめることをアピールしました。なお、今日1日から利用できます。

物価高に逆行する「低価格継続宣言」の背景

 発表会の冒頭、楽天グループの三木谷浩史代表取締役会長兼社長は、食料品や生活必需品などさまざまな分野で物価上昇が続いている現状に言及しました。通信費も例外ではなく、電気料金の高騰、円安、人手不足などを背景に上昇傾向にあります。

 このような状況下で、三木谷会長は「楽天モバイルも値上げしますという発表ではなく、楽天はこの低価格無制限を継続します」と力強く宣言しました。

 この「低価格継続宣言」を可能にしている背景には、楽天モバイル独自のネットワーク技術があります。世界で唯一、ネットワークを完全仮想化していることにより、設備投資を約40%、運用費を約30%削減しているといいます。また、オープンな規格である「Open RAN」の採用により、特定のベンダーに依存せず、競争力のある価格で機器を調達できる強みも持っています。

 さらに、AIを活用した基地局の電力消費最適化技術「RIC(RAN Intelligent Controller)」を導入。これにより、年間で電力消費量を20%削減することに成功しており、電気料金高騰の影響を吸収していると説明しました。三木谷会長は、こうした「イノベーションに裏打ちされた低価格と高品質なサービス」の実現を強調しました。

エンタメも無制限へ!
新プラン「Rakuten最強U-NEXT」

 今回の発表会の目玉は、動画配信サービス「U-NEXT」との連携プラン「Rakuten最強U-NEXT」の正式スタートです。

 U-NEXTは、35万本以上の見放題作品数を誇る国内最大級の動画配信サービスです。映画やアニメ、国内外のドラマに加え、雑誌210誌以上、児童書3400冊以上も読み放題という充実した内容が特徴です。

 新プランでは、従来の「Rakuten最強プラン」が提供するデータ無制限(月3278円)と国内通話無料(Rakuten Linkアプリ利用時)に、U-NEXTのサービス(月2189円)が付帯します。通常、両サービスを個別に契約すると合計5467円となりますが、2026年1月31日までの期間限定キャンペーンとして月額3278円で提供されます。これは実質的にU-NEXTの月額料金分が無料になる計算です。キャンペーン終了後も月4378円と、個別契約よりオトクな価格で利用できます。

 この連携について、楽天モバイル 常務執行役員 CMOである河野奈保氏は「最強の日本企業がタッグを組む」と表現しました。6月から開始した先行キャンペーンでは、すでに10万件以上の申し込みがあるなど、ユーザーの期待の高さがうかがえます。

楽天モバイル 常務執行役員 CMO 河野奈保氏

「つながりやすさ」強化への揺るぎないコミットメント

 料金プランだけでなく、ネットワーク品質の向上についても具体的な取り組みが示されました。現在、楽天モバイルの契約者数は930万回線を突破し、ユーザーの月間平均データ利用量は31.2GBに達しています。

 この「データ無制限時代」を支えるため、同社は「つながりやすさ強化宣言」を掲げ、特に東京エリアを中心に基地局の増設や改善を進めています。山手線エリアでの5G基地局増設や、主要駅・地下鉄駅構内での対策を強化しており、ユーザーアンケートでは77.8%が「通信環境が改善した」と回答するなど、着実に成果を上げているようです。

 質疑応答では、ユーザー増加に伴う通信容量(キャパシティ)の懸念についても質問が上がりました。これに対し三木谷会長は、ソフトウェアのアップグレードや基地局増設に加え、5Gの「SA(スタンドアローン)方式」への対応を、来年中に実現する計画を明かしました。5G SAは、4Gのネットワークをアンカーとして使わないため、通信容量を大幅に拡大するうえで重要な技術であり、楽天モバイルのネットワークが将来にわたって高品質を維持するための鍵となるとのこと。

【まとめ】4大キャリアで唯一価格据え置きの楽天モバイル

 楽天モバイルは、2020年4月の本格サービス開始以来、「携帯市場の民主化」を掲げ、日本の通信料金引き下げに大きく貢献してきました。今回の料金据え置き宣言と新プランの発表は、改めてその姿勢を市場に示すものとなりました。

 物価高が家計を圧迫する中、技術革新を背景とした「低価格の維持」は、消費者にとって大きな魅力となるでしょう。また、強力なコンテンツを持つU-NEXTとの連携は、単なる価格競争から付加価値競争へとステージを移す一手と見ることができます。

 契約者数1000万回線という大台が目前に迫る中、ネットワーク品質のさらなる向上が今後の成長の鍵を握ります。同社がユーザーから「最強一択」として選ばれる存在になれるか、その挑戦はまだまだ続きます。

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