サムスン、日本市場での躍進を語る Galaxy日本上陸15周年の節目に見据える未来

文●スピーディー末岡 編集●ASCII

2025年10月02日 18時30分

 サムスン電子ジャパン(以下、サムスン)は、Galaxyブランドが日本に導入されてから15周年という大きな節目を迎えました。同社は先日、メディア向けのラウンドテーブルを開催し、日本におけるビジネス戦略やマーケティング戦略、そして近年の好調な実績について説明しました。その内容を基に、サムスンが日本市場でどのように存在感を高め、今後どこへ向かおうとしているのかを解説します。

好調な販売実績が示す市場での存在感

 サムスンは、近年の日本市場において目覚ましい成長を遂げています。特に、フラッグシップモデルである「Galaxy Sシリーズ」と「Galaxy Zシリーズ」がその勢いを牽引しています。

 今年2月に発売された「Galaxy S25シリーズ」は、前作比で150%(プラス50%)という驚異的な伸びを記録しました。この好調の背景には、長年のパートナーであるドコモ、KDDIとの良好な関係に加え、10年ぶりにソフトバンクでの取り扱いが再開されたことが大きく貢献しています。この結果、2024年度第2四半期の日本スマートフォン市場において、サムスンのシェアは前年同期比で60%ものプラス成長を達成しました。

最初にプレゼンをした、サムスン電子ジャパン 常務/MX事業本部 副本部長 大橋秀俊氏

 また、折りたたみスマートフォンである「Zシリーズ」も極めて好調です。特に「Galaxy Z Fold7」は前作比で180%(プラス80%)という高い販売実績を記録しました。わずか1年で大幅な薄型化を実現した技術革新は、業界関係者からも「久しぶりに製品にワクワクした」との声が上がるほど高く評価され、他社製品からの乗り換え需要を喚起しています。

多様なニーズに応える製品ポートフォリオ戦略

 サムスンの強みは、フラッグシップモデルだけではありません。多様な価格帯の製品を提供することで、幅広いユーザー層の獲得を目指しています。

 フラッグシップモデルのSとZシリーズは、先進技術とプレミアム感を追求し、競合他社が追随できない独自の強みを市場に提示し続けるとのこと。また、Aシリーズを始めとするミドルクラスモデルは、AI機能をより身近にするため、「Galaxy AI」を体験できるモデルを投入しています。特に「A30シリーズ」やエントリーモデルの「A20シリーズ」も好調で、国内シェアの拡大に貢献しているそうです。

 サムスンは、特定の層だけでなく、すべての価格帯で製品ラインナップを強化し、ユーザーの選択肢を広げる戦略を取っています。

サムスン電子ジャパン MX事業本部営業 Team長 谷口慎一郎氏

「体験」を重視したマーケティングとタッチポイントの拡大

 直接製品の魅力をユーザーに直接伝えるため、サムスンは「タッチポイントの強化」に注力しています。テレビCMなどの映像だけでなく、ユーザーが直接製品に触れ、その革新性を「体感」できる場を積極的に増やしています。

 具体的には、全国の量販店にSIMフリーモデルを取り扱うコーナーを設け、体験型の「Galaxy Studio」をヨドバシカメラの秋葉原店と梅田店に設置しました。年内には横浜と京都にも拡大する予定です。さらに、水族館でのポップアップスタジオ開催など、ユニークな体験イベントも実施しています。

 こうした物理的なタッチポイントの拡充と並行し、ブランド理念である「Innovation for All」というメッセージを、より深くユーザーに届けるコミュニケーションを展開しています。特に折りたたみスマートフォンに関しては、「折りたたみスマホならGalaxy」というメッセージを掲げ、日本独自のテレビCMを制作するなど、市場のリーダーとしての地位を確固たるものにしようとしています。

Galaxy日本上陸15周年、そして未来へ

 Galaxyブランドが日本で最初のモデルを発売してから、今年で15周年を迎えます。この間、サムスンは常に「人が主役のイノベーション」を追求し、少し先の未来を手元に引き寄せるような製品を提供し続けてきました。

 かつて、マーケティング戦略の一環としてブランド名「Galaxy」を前面に出し、「Samsung」のロゴを控えていた時期がありました。これは、製品名の認知度を上げるための戦術的な判断でした。しかし現在では、企業としてのブランド価値を高めるため、再び「Samsung Galaxy」としてコミュニケーションを行なっています。

サムスン電子ジャパン CMO/MX事業本部 Marketing Team長 小林謙一氏

 今後、サムスンは以下の3つの方針を掲げています。

1. 「Innovation for All」のブランド理念の浸透
2. 「AIならばGalaxy AI」というリーダーシップの確立
3. 折りたたみスマホを筆頭とする「モバイルデバイスのパイオニア」としての存在感強化

 これらの戦略を通じて、デバイスだけでなく、ソフトウェアやAIを融合させ、人々の生活をより豊かに変えていくことを目指しています。

【まとめ】Galaxy期からSamsung期へ
フラッグシップモデルを武器に市場を切り拓く

 サムスンは、技術革新を詰め込んだ魅力的な製品群と、ユーザー体験を重視した多角的なマーケティング戦略を両輪に、日本市場で着実な成長を遂げています。特にフラッグシップモデルの驚異的な販売実績は、同社の戦略が市場に受け入れられている証左と言えるでしょう。

 Galaxy日本上陸15周年を迎え、改めてそのブランド理念に立ち返りながら、AIと折りたたみデバイスを軸に未来のスマートフォン市場を切り拓こうとする、サムスンの次なる一手から、今後も目が離せません。

■関連サイト

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング