ヨーロッパ最大級のIT関連展示会であるIFA 2025が今年もドイツ・ベルリンで開催された。スマートフォンの新製品の発表はサムスンの「Galaxy S25 FE」、TCLの「NXTPAPER 60 Ultra」があったが、それ以外にも気になる製品を見つけたので4機種紹介しよう。
高性能フリップスマホ
HONOR「Magic V2 Flip(ジミーチュウモデル)」
HONOR Magic V2 Flip2はHONORの縦折型スマートフォンの2機種目となる製品で、2025年8月21日に中国で発表されたばかりの製品だ。カラバリの中にはファッションブランド、ジミーチュウ(Jimmy Choo)とのコラボモデルがある。IFAに合わせたHONORのプライベートイベントでその製品に触れることができた。
チップセットはSnapdragon 8 Gen 3と一世代前だが、十分なパフォーマンスを持つハイエンドモデルだ。閉じたときの大きさは86.2×75.6×15.5mmで重量は204g。ジミーチュウモデルは、ヒンジ部分にその証が刻み込まれている。バッテリーは5000mAhでフリップモデルとしては最大クラスで、80Wの有線と50Wの無線充電に対応している。
ディスプレーは閉じた状態では4型、開くと6.82型となる。フロントカメラは5000万画素だ。ジミーチュウモデルは壁紙もそれに合わせた美しいデザインとなっている。またAndroid 15ベースのMagicOS 9はAI機能も統合されており、中国語ながら音声によるアシスタント機能も搭載している。
カメラは広角が2億画素、超広角が5000万画素。望遠はないものの、フラッグシップ級の性能だ。本体を閉じたままこの高画質なカメラで自撮りもできる。IP58とIP59の防水にも対応した安心設計も特徴。
電子ペーパーのDurebo「Krono」
IFA開催に合わせてクラウドファンディングで予約を開始した、Dureboの「Krono」は電子ペーパー搭載のブックリーダー型の端末だ。情報過多の現代社会の中で、本当に大事な思考やアウトプットに集中するため、あえて贅沢に「余白」を実現するモノクロ表示のデバイスである。
OSはAndroid 13だが、ホーム画面やメニューなどはシンプルなUIであり、意識を余計なことに奪われない設計だ。
側面のスマートダイヤルは指先で押す、回すというアナログ感覚を味わえる。回転で画面をスクロール、長押しでは音声メモを起動できる。音声メモは自動で文字起こしされ、AIが要約し要点のみを整理。簡単な操作で思考を簡潔にまとめてくれる。
背面はダイヤル部分を横に伸ばすことで幾何学的、ミニマルな美学を実現。DuReBoのロゴの上にあるスリット部分には6個のLEDライトが埋め込まれており、バッテリーのインジケーターや通知表示として使えるようだ。本体サイズは80×154×9mm、重量は173g。通信はWi-Fiのみでセルラー通信は非対応。
チップセットは非公開、オクタコアCPUを搭載する。メモリー6GB、ストレージ128GBでバッテリーは3950mAhを搭載する。ディスプレーは6.13型モノクロ電子ペーパーで1648×824ドット(300ppi)。
Androidを搭載しているため、電子ブックや電子コミック以外の用途として、メールや検索などスマートフォンのような使い方もできる。出荷は2025年11月を予定。
ホットスワップでバッテリー交換可能なタフスマホ
Ulefone「RugOne Xever 7」
Ulefoneのサブブランド「RugOne」がIFAで発表され、最初の製品「Xever 7」「Xever 7 Pro」の2モデルが公開された。同社が得意とするタフネス系のスマートフォンだが、これまでの製品とは異なる特徴を持っている。
タフネススマートフォンは本体サイズが大型だが、Xever 7は84.4×173.6×14.1mmと厚めに仕上げている。重量も325gとヘビー級。この大きさながらもIP68、IP69K、MIL-STD-810H準拠の防水防塵タフネスという仕様。ディスプレーは6.67型でフロントカメラは3200万画素、OSはAndroid 15である。
チップセットはMediaTekのDimensity 7025 5Gを採用、メモリーは12GB、ストレージは512GB。カメラは5000万画素広角と6400万画素のナイトビジョンの2つを搭載。Xever 7 Proはこれに加えて「FLIR Lipton 3.5」サーモグラフィカメラ(160×120ドット)も搭載されている。
Xever 7とXever 7 Proの差はカメラ性能とカメラ周りのデザインだけで、本体サイズや重量は同等だ。
バッテリーは5500mAhと、タフネスモデルとしては容量は少ない。その代わり交換式となっており、本体購入時には交換バッテリーが1つ付属する。
そして最大の特徴が、ホットスワップへの対応だ。80mAhの小型バッテリーを本体内に内蔵しており、最大3分間のスタンドバイに対応。この間にバッテリーを取り外し、予備バッテリーに交換できるのである。
さらにバッテリーと本体を充電できる、折りたたみ式のスタンドも付属する。折りたためばバッテリーケースとしても持ち運べる便利な設計だ。
発売日は近日中の予定。なお、Ulefoneのスマートフォンは技適を通ったものも多く、このXever 7もいずれ日本で購入できるかもしれない。
完全分解・修理可能なモジュラー型スマホ
Shift「Shiftphone 8」
「Shiftphone 8」は、本体が壊れても自分で分解修理が可能なスマートフォンだ。チップセットはクアルコムのDragonwing QCM6490、メモリー12GB、ストレージ256/512GBという構成で、ディスプレーは6.67型。バッテリーは3820mAhを搭載する。
バッテリーは背面のフタを外すとすぐにアクセスできる。カメラは5000万画素デュアルで、将来的にはアップグレードも可能だと同社スタッフは説明していた。本体は樹脂製だが、リサイクル系の素材を採用。傷がついても気軽に交換できるためケースなしでラフにも扱えそうだ。
本体は13個のモジュールに分かれており、バッテリー、カメラ、マイク、ディスプレイ、基板などそれぞれを個別に交換できる。基版の取り外しにドライバーは必要だが、両面テープなどは使われていないため簡単にモジュールを交換できる。
前述したように性能の高いモジュールが出てくればハードウェアのアップデートもできる設計だという。さらにカメラとマイクはキルスイッチがあり、セキュリティー対策も行なわれている。発売は近日中の予定だ。