ついに発売! Apple M5搭載、14インチMacBook Proの変わったところ・変わらなかったところ (2/2)

文●山本 敦 編集●ASCII

2025年10月22日 09時30分

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AIコンピューティングの対応力を強化
グラフィックス処理は最大1.6倍高速化

 Apple M5は次世代のAIコンピューティングの時代を見据えながら、多様なAI処理に対する最適化を図ったチップです。CPU、GPU、Neural Engineなどの各演算ブロックには、それぞれの特性によって得意とするAI処理があります。Apple M5では新しくGPUにもニューラル・アクセラレータを追加したことから、チップ全体でAI処理の演算が効率化され、消費する電力も抑えられることが期待できます。

 各演算ブロックはSoC上に統合された物理メモリ領域である、ユニファイドメモリを共有することで、処理の遅延を抑えたり電力効率を高めています。Apple M5では演算ブロックとユニファイドメモリをつなぐデータ伝送経路をM4チップよりも約30%ほど太くして、約153Gbpsの帯域幅としています。M4は約120Gbpsでした。

 AI処理に限らず、マルチタスキングやゲーミングのユーザー体験も向上しました。アップルはM4搭載MacBook Proに対して、最新モデルのグラフィックス処理が最大1.6倍高速になると説明しています。ゲームでは最大1.6倍なめらかなフレームレート表示を実現するそうです。

 今回は先行レビューの公開前にベンチマークソフトを使った計測ができなかったため、Apple Intelligenceに関連する機能の処理速度を新しいM5搭載機と、筆者が所有するM3搭載MacBook Proを並べて比較しました。

 「写真」アプリの「クリーンアップ」は、静止画に写り込んだ人物などの不要なオブジェクトを手間をかけずに消せる自動画像加工機能です。新しいM5搭載MacBook Proの方が被写体の自動選択、および消したいオブジェクトをタップして消去する「速度」は、大きな差ではないもののM3機よりもM5機の方が高速でした。オブジェクトを消した跡を自然な画像に整える「精度」については新旧モデルの間で大きな差はなかったので、ここはクリーンアップのアルゴリズムによるところなのかもしれません。

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写真アプリのクリーンアップで被写体を選択。消したいオブジェクトをタップして消します

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消去の精度は新旧モデルで大きな違いはありません

M5 Pro/Maxは待たなくてもよさそう?
普通に使うだけでも十分すぎる性能

 英語のPDFファイルをプレビューアプリで開き、日本語に「翻訳」する際のスピード感も比較しました。英語(アメリカ)と日本語の言語をMacBook Proにダウンロードしてオンデバイスモードで比較しています。2ページにまたがる653ワードの英文で試したところ、訳文が生成されるまでにM5機とM3機との間で1~2秒前後の差がありました。

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Apple Intelligenceのテキスト翻訳。M5が最も早くタスクをこなします

 筆者が所有するApple M1搭載のMacBook Airとも比べてみました。M5機に対してクリーンアップによるオブジェクトの選択と消去、翻訳ともにより明らかな差が現れました。

 より高負荷なタスクで比較すれば、新しいM5チップを搭載したMacBook Proの処理性能は際立った優位性を示すと思います。Apple M5チップは、プロフェッショナル向けの高度なアプリケーションにおける要求はもちろん、将来的なAIコンピューティングの発展を見据えた、圧倒的なパフォーマンスをすでに獲得しています。

 新しいM5搭載MacBookは、いわゆる“Intel Mac”は言うまでもなく、M1・M2世代のMacBookからの買い換えにも最適な選択肢です。標準M5チップのモデルでも十分にパワフルなので、筆者のようにテキストを書いたりプレゼンテーションを作ったり、簡単な写真や動画の編集にMacBook Proを活用している方は、16インチの画面サイズが必要でない限り、M5 Pro/Maxのチップを搭載する上位モデルを待たなくてもよいと思います。

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

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